テレビ業界が変わった日

本日は、このnoteを始めた日から、絶対に書こうと決めていた内容です。

今回はそのまま、本題に入ります。少し重いですが、ご了承ください。


以前から私は、私がADとして働いていた時と、現在のADの方の働き方が違うということを前置きとして説明してきました。

テレビ業界は、この4年で大きな変化を遂げました。

現在のADの方の多くは、一日8時間労働、週休2日というのが当たり前になってきています。

そのきっかけとなったのが、電通社員の自殺事件です。

この事件が起きた時、私はタレントのマネージャーの仕事をしていました。

すでにADの職は離れ、同じ業界で別の業務内容で働いていました。

事件が起きた直後は、業界内でも様々な反応がありました。

正直な話、私の最初の感想は「100時間の残業で自殺する人もいるのか・・」でした。多くの関係者もそう思ったと思います。

実際はサービス残業やセクハラ、パワハラなど他の要因もあったのだと思いますが・・



電通はテレビ業界とは深い関係がある会社です。

体育会系で、高給取りで、華やかで、美男美女が多くて・・ついでに過酷な労働をしている。

そんな認識。

この事件が起きた後、連日報道はありましたが、その多くはネットでの情報だったと思います。

夜になると電気が落ちる、そんな噂をネットで見た後、仕事でお話した電通社員の方は、むしろ作業が会社でできないため、家で仕事をしていると語っていました。



この事件と、その後の電通の対応により、働き方への考えはテレビ業界全体に広がっていきました。

ここからは私の個人的な目線ですので、話半分で読んでください。



まずテレビ局で最初に動いたのは日テレだったと思います。

まずADの人数を急激に増やしました。そして、プロデューサー管理の元で、残業や休日取得について、とてもうるさくなりました。

ADの労働環境が悪いと、局員のプロデューサーが責任をとるということを、会社の方針として掲げました。(よく考えれば当たり前の話ではありますが)


番組制作費はADを増やした分だけかさむことになりますが、当時〜現在の日テレは視聴率一位のテレビ局であり、その体力があったのだと思います。

その後、テレ朝、テレ東なども日テレを追いかける形で、TBS、フジテレビは最後に動き出した・・というイメージです。ただ、日テレ以外の局は、細かく見ると今だにブラックな環境で働いている方もいると思います。

また、日テレの番組であっても、局が完全に管理していない、制作会社がメインとなって進行されているものは別かもしれません。


この変化と同時に、パワハラ、セクハラなど、働き方に対する決まり事や罰則が明確になりました。

知り合いのとても温厚なプロデューサーは、優秀なADに、もっとできるはずだ!という愛を込めた説明をした結果、上司から反省文を書かされた、という話も聞きました。

日テレ局内のエレベーターホールには、ワークライフバランスを考えましょう!というポスターも貼られています。

日テレを崇めているわけではありませんが、この働き方に対する取り組みは他の局とは別格だと思います。



テレビ局が変われば、関係する会社も変わらざるを得ません。

タレントプロダクションの多くも、変化しています。

最初は吉本興業、松竹芸能だったかと思います。

吉本はそれまで、1人のマネージャーが10組前後のお笑い芸人を担当していました。その10組も、テレビで見たことがある人ばかりの10組です。

そのため、マネージャーはほとんど現場に来ず、メールなどでスケジュールのやりとりをしています。(吉本ではマネージャーではなく、エージェントと呼ぶそうです)

しかしここ数年で、マネージャーを倍増させ、場合によっては2人1組体制で、マネージメントを行う方針に切り替わったそうです。

そして、週に1〜2日は絶対に休日を取らせるようになりました。





一連の働き方改革によって、現在もテレビ業界は変わり続けています。

電通社員であった、高橋まつりさんの自殺

この事件を賞賛するわけではありません。ただ、今後失われる可能性があった、たくさんの命が救われたと思います。

テレビ業界は夢が溢れている場所ではありますが、同時に、夢を食い物にしている世界でもありました。


この事件を忘れず、テレビ業界がより健全に、これまで以上に華やかで、素晴らしい世界となるよう、願っています。

故人へ、ご冥福をお祈りいたします。






この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?