ディレクターとAD

こんばんは。

昨日の記事で書き忘れたことがあったので、その点を書いていきます。

ADという職業の働き方改革が進み、一番損をしたのは誰か、という話です。

お金としては、テレビ局の負担が増えたのは間違いないのですが、何よりも苦労を強いられたのはディレクターです。

そもそもディレクターとは、

・会議で決定した企画の準備

・構成を考える

・出演者との打ち合わせ

・収録時の指示

・収録で撮影した映像を編集

などが主な業務です。

この全ての作業を行う上で、常に隣にはADがいます。

番組によって、ディレクターそれぞれに担当ADがいるケース、企画によって担当ADがいるケースなど様々ではありますが、どの作業もADの雑用があって成立していました。


例えば、

「話題のグルメのVTRをスタジオで流す」

という企画があったとします。

この話題のグルメを決めるのはディレクターです。※総合演出までお伺いをたてるケースも多いですが

ただ、話題のグルメをリサーチし、資料にするのはADです。

実際にお店が決まり、撮影に行きます。その時のお店への許可取り、スケジュール設定、当日のカメラのレンタル・運搬を行うのはADです。

話題のグルメの撮影が終わり、そのテープを編集するためのフォーマットに変更するのもADです。

いざスタジオ収録当日。出演者と打ち合わせを行う時、台本を印刷し、必要なものを用意するのはADです。

収録時、カンペを出すのはディレクターですが、そのカンペを作るのはADです。

収録が終わり、ディレクターが編集作業をしますが、その際の諸作業はADです。番組内で使用する宣材写真の使用許可取り、トークに出た企業のロゴや参考写真の手配、オンエア時に入るテロップのためのトークの書き起こし作業、そして編集中の食事(出前)の手配、などなど・・

以上のように、ディレクターの行う全ての作業に、ADという雑務をこなす存在がいることで、快適に、集中して編集作業を進められるのです。

これが、テレビ業界が変化する前のディレクターとADの関係性でした。


しかし、ADの働き方改革により、これらの多くの作業をやらなくていいという指示がプロデューサーからされました。

特に、編集時の付き添いは必要がないというケースが多く、ディレクターはこれまでのように全てが揃った状況で編集するということができなくなりました。

これが良いのか、悪いのか、立場によって意見は違うとは思います。

ただ、ディレクターはADを経て、ようやくディレクターになったという方々です。

文化が変わるということは、どうしても負担を強いられる世代が発生します。

ここ数年でディレクターになった方が一番損をした世代です。

しかしその反面、現在のADの多くは自分の時間があり、技術やアイデア力は向上している世代なはずです。

数年後、または10年後以上かもしれませんが、きっとテレビ業界も素晴らしい人材が増え、メディアとして新しい風を吹く存在となると思います。



本日はこんなところで。

お読み頂き、ありがとうございました。



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