見出し画像

ショーター部長のあるブツアゲ(入札編)

前回のnoteに続き今回も物上げ系のお話しです。

【案件との出会い】

物上げするにあたり、普段の情報源は仲のいい地場仲介さん・飛び込み・既存客からの紹介・電ビラ、ポスティングの反響が主なんですが年に数本、成約ベースで言うと5本前後かなぁ、ブローカーからの情報がきっかけになることがある。

今回はブローカーからの情報だった。
会社は買取再販主体でブローカーからは売却情報をもらうわけですが、たまに売買ではなく、融資希望者の紹介を受けることがある。
今回のは融資案件だった。
借り換え希望ね。

当然ブローカーからの情報なんで資料はないw
話だけ。
今回は概略を聞いて「あ、これイケるかな、面白そうだな」と思った。
だから自分で謄本を取った。
ブローカーに対象地は何筆何棟か聞くのは愚の骨頂。聞いても抜けてることが多々あるからw
なので公図から対象地、その隣接地を全て取る。
※謄本取る時に共同担保目録(略:共担)をつければ筆数棟数がわかります。

謄本見たら、乙区に歴史あり。
過去に数度、競売申し立てをされている。
競売を申し立てされては借り換えのループ。
今回もまた直近で借りた先への期限の利益喪失により競売を申し立てられてる。そして過去に同じく借り換え希望。
このように、過去に何度も借り換えを行っている場合、借入金額が首筋いっぱいまできてるので担保余力<抹消金額となっていることが多い。

債権者は2社。
1順位が本件不動産の担保評価ギリギリと思われる金額を融資して、期限の利益喪失からの競売申立。
2順位の融資金額は1順位の10分の1以下。
残債は2社ともほぼ丸々残ってる。

>>2順位の融資金額は1順位の10分に1以下。
この借入状況からも、もう助からない(借り換え不可能)ということはわかった。

付き合いのある不動産担保ローン会社にも本情報を出してはみたけどやはり厳しい。
自分自身での物件評価出しでも金額は必要金額に届かない。

これは借り換えではなく売却返済しかない。
しかし相談者と数度面談したが売却には応じない。

(今回の図式)
相談者はA。
債務者はAの親族。したがって担保物件の名義人。
親族から担保提供してもらって得た資金はAが全額事業資金等に使用。
親族がAに担保提供した状況なので、本物件には親族が住んでる。
なのでAは売却返済に応じない。

厳密には名義人ではないのでAはどうでもいい。
宅訪して不動産の名義人である担保提供した親族と話をする事にした。

一回、二回と宅訪。
毎回「売りません。Aに責任を取らせます」の一点張り。
埒が明かない。進まない。

既に競売申立されている。
時間がないのだ。
裁判所の現況調査も終わっていてこのままいくと4~6ヵ月後には入札日がくる。
今回は残債からして借り換えは無理・不可能。
となると、債務者の事を考えたら今回は明らかに任売で落着させた方がいくらかはマシ。
何故なら任売なら例え50万でも手残りがでる可能性があったからだ。

入札開札までいっても自分が予想する売却基準価格から落札金額を想定すると残債を下回る可能性が高い。
そうなると落札金はまるまる申立した債権者にいってしまう。
債務者には一銭も入らない。

しかも競落されたら立ち退き費用すら出ない。
※競落者が代金納付と同時に「引渡命令の申立」→「強制執行の申立」をすると出てきたくないとゴネても最後は「断行」という流れで追い出されます。

  

だからそのことを債務者に根気よく説明した。
極力わかりやすいストラクチャーにして。

しかし、債務者は応じない。

【商 売】
任売に応じない以上、債務者側についても商売にならない。競売申立されているので時間に限りもある。
だから債権者側についていくらかでも金にするしかない。
多少の経費はかかってるし、ここまでタダで動いたわけじゃないしね。
(中元や歳暮のやり取りしてるんじゃない。

ここから先は

4,175字

¥ 500

愛のビールをお恵み下さい。