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エルヴィンとリヴァイの友情 【進撃の巨人10周年】

進撃の巨人10周年というお題企画が開催されてるではありませんか。
これは参加しないわけにはいかん。


私が『進撃の巨人』と出会ったのは、
宝島社の「このマンガがすごい!」で、2011年版のオトコ版にこの作品が選ばれたときでした。

漫画喫茶で3巻くらいまで面白く読んだのを覚えています。
ですがその後、5巻くらいからは読まなくなってしまい、
再びこの作品に触れるようになったのは、アニメの方でした。

今年の4月~7月に放送されていた、Season 3 Part.2にも喰い付くように毎週観ておりました。
そして、コミックの方も今年になって買い揃えたという次第です。

アニメSeason.3のPart.2で、
最も好きだった回について語りたいと思います。

※以下ネタバレ注意


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取り上げるのは、私がこの作品で一番と言っていいほど好きなキャラ、エルヴィン・スミス調査兵団団長と、その戦友リヴァイ兵士長についてです。

先日、東京観光で『進撃の巨人展FINAL』に行った友人が、
エルヴィングッズを買ってきてくれました。


彼は主人公エレン・イェーガーや、読者から熱狂的人気を誇るリヴァイ兵長の所属する「調査兵団」の団長を務めるリーダーです。

巨人からの支配に終止符を打つために、壁の外へ出て巨人の討伐・捕獲・調査をする調査兵団は、壁の中の人類にとって一筋の希望の光であり、彼らは人類を救うという大義と使命を背負い、人類のために心臓を捧げることを誓っています。

その調査兵団のトップである彼は常に冷静さを保ち、時には冷酷に、人類の勝利のために仲間や部下の命を切り捨ててきた経験を持ちます。

一方で胸のうちには熱い野望を秘めているのも彼です。
その野望とは、亡き父が彼に語った、ある“仮説”の真偽を確かめることでした。

彼は人類のためを思い誰よりも果敢に巨人に戦いを挑み続け、
そして何よりも、自分自身と亡き父のために巨人の真実を追求し続けてきたのです。

「いつかこの世界の謎を解き明かし、知る」ということが、彼の原動力だったのだと思います。

調査兵団団長である前に、彼は“エルヴィン”であり“スミス“であったのです。

アニメ第53話「完全試合」には、

彼が初めて見せる表情がありました。
もう少しで真実に手が届きそうな状況にある中、
彼はある作戦のために自分も含めた調査兵たちの命を捨てることを決断しなければなりませんでした。

今まで多くの仲間の命を人類のために差し出してきた彼ですが、
いざ自分の命を差し出すとなった時、さらに自分の夢が叶う可能性が目の前にある状況の中で、
「未練」が生じたのです。

そこで彼は、最も信頼の置ける部下であり戦友のリヴァイに対して、
団長としてではなく、エルヴィン・スミスとしての本音を語りだします。
彼が団員の前で溜め息をついたところは他に観たことがありません。

「・・・何度も・・・死んだほうがマシだと思った・・・。
・・・それでも、父との夢が頭にちらつくんだ。
・・・そして今、手を伸ばせば届くところに“答え”がある…!!
すぐそこにあるんだ・・・」

しかし同時に、彼の背中には心臓を捧げて死んでいった仲間たちの姿がありました。

「・・・だがリヴァイ、
見えるか 俺達の仲間が。
仲間たちは俺らを見ている。
捧げた心臓がどうなったか知りたいんだ。
まだ戦いは、終わってないからな。」

「全ては俺の頭の中の、子どもじみた妄想に過ぎないのか…?」と虚ろな目で問うエルヴィンに対し、

リヴァイは少し沈黙した後、エルヴィンの前に膝をついて口を開きます。

「・・・お前はよく戦った。おかげで俺たちはここまでたどり着くことが出来た。」

そして、

「俺は選ぶぞ。」
「夢を諦めて死んでくれ。新兵たちを地獄に導け。
獣の巨人は、俺が仕留める。」

あえて力強い口調で、エルヴィンの目を見てそう告げるのでした。

その言葉を聞いたエルヴィンの表情の変化の描写がすごいと思いました。
一瞬驚いた表情を見せましたが、

やがて何かを悟ったように、最後には静かに微笑みました。

単に「ふんぎりがつかない自分を後押ししてもらった」というだけでは説明できない深さがこのシーンにはあります。

ここでの二人のやりとりはもはや意識的なレベルの交流ではないと思います。

実はリヴァイは直前まで、エルヴィンと主人公エレンの命だけでも助かる方法を提案していました。

それはリヴァイが、
“人類が生き残るために必要不可欠な知能と発想力、人格を持っているのはエルヴィン・スミスの他にいない”
と信じていたからだと思います。

それまでリヴァイはエルヴィンのどんな突飛なアイデアや指揮に対しても、
「お前の判断を信じよう」と従ってきました。
それは単に上司と部下の関係性から来る従いではなかったことでしょう。

あの気高きエルヴィンが、死を前に戸惑い、うろたえ、葛藤する姿を見せた。
それは、共に闘ってきたリヴァイに向けてしか出せないある種のメッセージでもありました。

きっとエルヴィンは、
ここで死ぬことが最善であるとの理解に既に至っていたのだと思います。
しかし、夢を諦めることへの後悔や無力感が、それを言語化することを阻んだ。

メッセージを意識的にか無意識的にか受け取ったリヴァイは、
いつものように「お前の判断を信じよう」と言う代わりに、
「俺は選ぶぞ」「夢を諦めて死んでくれ」と、
絶対に死なせたくなかったその相手に対して告げたのでした。

まるでエルヴィンの中の“調査兵団団長”が、エルヴィン・スミスへの最後の指令を出すのを代弁するように...。

エルヴィンの最後の笑みは、
リヴァイに対する「分かってくれてありがとう」という感謝、
「もう十分に使命を果たした」という自己への労り、
そのどちらも含まれているように私は感じました。

そして彼は心臓を捧げ、
敵である獣の巨人へ新兵を連れて突撃します。

彼の生死がどうなるかは次回以降の話で明らかになるでしょう。

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私は『進撃の巨人』のストーリーや伏線回収も大好きですが、
それ以上に、キャラクター一人一人の人間性の見事な描写が好きです。


夢に向かって「進み」続けるエルヴィン。
答えのない状況の中でも意志を持って「選び」続けるリヴァイ。
支配を憎み、自由を求めて「戦い」続けるエレン。
残酷な世界で美しさを知り、誰かを「愛し」続けるミカサ。

それぞれの登場人物の中できっと大切な動詞(それはその人の価値観を反映する)があり、
それを追求する上で生まれてくる苦悩が、
リアルに描かれている作品です。

皆さんにも自分を重ねてしまうキャラが一人は、いるのではないでしょうか。

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