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意を決してルーマニアに行ってみたら古き良きヨーロッパがそこにあった。 ヘトヘトのクルジュ=ナポカ~シギショアラ編

旅行疲れモード、発動

諸君、私は疲れていた。

 いきなり何かと言うと、前回ティミショアラからクルジュ=ナポカまで移動した私だったが、翌朝目が覚めてみると疲れすぎていてベッドから起きられない始末。
 元々睡眠不足に弱いタチなのだが、時差ボケによる睡眠障害に加えあちこち散歩した疲れがある状態で2回も飛行機に乗ったものだから、疲れがピークを超えてしまったらしい。
 なんとかホテルの朝食を取って部屋に戻り、また一眠りして昼過ぎになってようやく行動を開始した。

 ちなみに上が宿泊したホテル。比較的安価なビジネスホテルだがセンスが良く、気持ちの良い滞在ができるのでオススメだ。

ホテルの前の道。なんか左手に工場ない?

 ホテルは坂の途中にあったが、坂を下ってみるとヨーロッパらしい可愛らしい街並みが見えてきた。

奥の時計塔がそれっぽい
「WC」を主張しすぎな公衆トイレ。でも怖かったので中が綺麗かどうかは未チェック。すまぬ。
左手に見える無骨な集合住宅は共産圏の匂いを感じる
ルーマニアの家屋は「屋根」が可愛いと思うのは私だけだろうか?

 そうこうしているうちに、街の中心に位置する「ウニリイ広場」にやって来た。ここには街のシンボルである聖ミカエル教会が鎮座している。間近で見ると、実際でかい。が…

クリスマスマーケット建設真っ最中

 なんかテーマパークみたいになってる…

 むろんこれは間もなくやってくるクリスマスに向けての飾りつけなのだが、厳かな教会がこんなことになってて良いのか…?

 と思ったけど日本人も新年に神社の境内にめっちゃ出店だすわ。ならええか。

クリスマスマーケットがすでに出来上がっている。

 とりあえず私はその辺のレストランで昼食を食べることにした。正直ウニリイ広場に面したレストランは観光地価格だと聞いてはいたのだが、疲れ切っていたのでもうどこでもいいから入ろうという感じだった。適当なレストランに入り、鶏むね肉のローストとポテトウェッジを頼む。

今見るとシンプルな構成だが、食べてる間は信じられないくらい美味に感じた。約2,500円。

 これがなかなかウマイ。私は元々自宅で鶏むね肉をよく食べる。脂っこい肉が苦手だからだ。欧州の食事というのはどうしても油が多めになりがちだが、このサッパリとした鶏むね肉のウマイこと。
 体が弱ってる間は、やはり食べ慣れた物がうれしいものである。

 さて店を出ると、脂っこいものが苦手とのたまっておきながら、せっかく欧州のクリスマスマーケットに来たのでココア(ホットチョコレート)を頼んでみた。何しろ気温は相変わらず零度近辺で寒いし、温かいものでも飲んで暖を取りたいところだ。

外国でココアを頼んだらマシュマロを入れる派に所属のC.S.です。

 なお、訴訟対策なのかココアはめっちゃぬるかった。無念。

 ここらで本当はエロイロール通りという大変興味深い名前をしたメインストリートまで出向きたかったのだが、頭は痛いわ身体はだるいわで、今後の行程を考え私はホテルに戻って休むことにした。

 もともとクルジュ=ナポカは移動の不便なティミショアラからの中間地点、次の目的地シギショアラまでの繋ぎと思っていたので、そういう意味では当初の計画から外れてはいない。

 しかし、実際に来てみたらクルジュ=ナポカはおしゃれで洗練されており、もっと回ってみたいと思わせる魅力がある街だった。実際に来てみないと分からない事がある。それが旅行の醍醐味だ。ネットの情報で分かった気になってはいけないのだ(旅行記書いてる人間の言う事か?)。
 それだけに体調不良で見て回れないのは残念だった。次に来る機会があれば、ぜひもっと回ってみたいものである。

帰り道、靴屋さんの店頭に並んでいたハンドバッグ。謎の日本語が刻まれている。買っとけば良かったかな?

夜の教会に繰り出す

 私は休んだ。頭痛でガンガンする頭をロキソニンで鎮め、可能な限り水を飲み、横になって耐えた。
 そして何とかある程度回復したので、夕飯を買いに夜の街へと繰り出した。もっとも、昼の間に開拓できていないので同じくウニリイ広場に向かったわけである。

恐らく何らかの公共施設なのだろう、ルーマニア国旗色にライトアップされている。オサレ。
単なる脇道も夜になれば秘密の抜け道のようだ。

 さてウニリイ広場へと戻ってきた。周辺は暗いが、きれいにライトアップされていて、そして人が行き交い観覧車は回る、写真家にとっては地獄のようなスポットだ。
 私も何とかカメラ設定を色々いじってみたが、なかなかいい写真は撮れなかった。せめてもの写真が以下である。

暗く写ってしまった。謎のゲートが紫色にライトアップされていてきれい。
実際はここまで明るくは無いが、雰囲気は伝わるのではないだろうか。

 なお特設ステージでは若者たちがQUEENとデビッド・ボウイの合作「Under Pressure」を歌っていてQUEENファンの私としては嬉しくなった。名曲である。
 令和の時代に何を言っているんだという感じだが、かつての社会主義国でQUEENが聞けるというのは、何とも言えない満ち足りた気持ちになる。

右側にあるのが特設ステージ。とても正面にはたどり着けないので横から撮影。

 そして何という事でしょう、ここで初めて日本人夫婦を発見する。年の頃30代半ばくらいだろうか。話を聞いてみると、仕事でルーマニアに来ているのだという。なんでもここクルジュ=ナポカは学生街であり、IT系企業が卒業したばかりの有望な若手を青田買いしているのだとか。
 やはり時代はITなんだなあと痛感する。IT系スキル+マイナー外国語スキルがあると世界に活躍の幅が広がるのかもしれない。
 これを読んでいる若者のみんな!マイナー言語を学ぶとニッチな需要があるぞ!!

 とかなんとかやってのち、私はケンタッキー・フライド・チキンにてバーガーセットを買って帰った。マックがあればそっちの方が良かったんだけどね!
 しかし困ったことに、マックの方はオーダーマシンに英語表記があるのだが、なんとケンタッキーには言語選択が無いのだ。とりあえず写真とカンを頼りにオーダーはできたが、お持ち帰りに出来たかどうか分からない。
 カウンターにいた店員のお姉さん(多分インドネシアとか、アジア系)に英語で事の次第を説明し、持ち帰りにしてくれと頼むと、キチンと持ち帰り袋に包んでくれた。ありがたや~。

クルジュ=ナポカから電車でシギショアラへ

 さて短いクルジュ=ナポカ滞在も終わり、移動の日がやって来た。私はホテルからUberを呼びクルジュ=ナポカ鉄道駅へと移動した。

立派な駅舎だなあ。

 なおこれは駅舎の雰囲気を説明するために撮った写真だが、別に駅舎に入らなくても普通に外からプラットフォームにアクセスできてしまう。なんか欧州だとこういうシステムの駅多い気がするんだけど、私だけ…?

よく見ていただければ分かる通り、歩道(手前の石畳)からプラットフォームまで普通に道が続いている。

 チケットはすべてスマホで管理するので(ハイテク!)、スマホ画面を駅員に見せてどこで待てば良いか聞くと、プラットフォーム3Aとのこと。そちらに行って待つ。すると滑り込んでくる一両編成。

え、まさか、これ…!?

もちろん違った。

 もうしばらく待つと、ちゃんとそれっぽいのが来た。なんと定刻通りに。外国で定刻通りに電車が来ることに感動を覚える。

ちゃんと長い電車が来た。とはいえそんなに速そうではないな…
私の座席。一応ファーストクラス。とはいえ約3時間半の行程で3,300円だ。安い。
車内全体の雰囲気はこんな感じ。若い白人の旅行者が多かった。
「スーツケースを置く棚がある」という記載が公式ウェブサイトにあったのだがこんなに小さい。大型スーツケースは入らないことに留意すべきだろう。しかたないので席と棚のすき間に差し込む。
フットレストがあるし、小さなゴミ箱もある。
テーブルも出せる。何かと便利だ。

 さすがに日本の特急列車のようにクリーンネスが行き届いているわけではないが、設備的には十分豪華だ。座席の横幅は広いし、ひじ掛けもある。ヘッドレスト、フットレストもあるし、なかなか快適と言って良いレベル。

 やがて列車は出発した。定刻から15分遅れで。
 なんのために定刻ぴったりに入って来たんだろう…

 そして、一つ言いたいことがある。

遅すぎじゃない!?

 これもう鈍行の速度だろ!とても長距離走る列車の速度ではない。私はクルジュ=ナポカ→シギショアラの約180km区間を乗るわけだが、これは東京→静岡間に相当するという。新幹線なら約80分で済む距離を、この速度で3時間半かけて進むのである。これは体力的にキツイ。
 しかもこれ、別に街中だからゆっくり走ってるというわけではない。ずっとこの速度なのだ。

途中でもっと速そうな列車を見かける。あっちがいい!!

 しかも本来3時間半の所をどんどん遅れだす。どのくらい遅れているかは公式アプリで逐一教えてくれるが、遅れ具合を教えてくれるくらいなら遅れないように努力してくれ。

チケットアプリの画面。クルジュ=ナポカからスタートして、Aiudという駅に到着した時点で既に30分遅れているわけだから、4時間コース確定である。

 とはいえ、もうこうなったらジタバタしてもしょうがない。車窓の風景を眺めながらのんびり行くしかないのだ。山あいは電波が入らないところも多く、文明を忘れてしばし欧州の田舎に浸る。

 そういえば、バイオハザード8(バイオハザードヴィレッジ)の舞台はルーマニアだという。どことなく「お村」の雰囲気を感じながら、のろのろと進む電車に揺られていく。出発から4時間15分ほどして、ついに私は45分遅れでシギショアラ駅へと到着した。

写真を撮り忘れたのでGoogle Mapsから駅舎を映す。どういうわけか駐車場はいつもいっぱいだ。

 なお駅の中にはエレベーターやエスカレーターなど無いので、重たい荷物をお持ちの方は自力で階段を引っ張り上げてください。パワー!

こういう階段しかない。欧州はどこでもバリアフリーが進んでるだなんて幻想である。

 さて私はいつもの如くUberを起動してタクシーを呼んだ。いや、正確には呼ぼうとした。
 Uberが、いない。
 アプリを起動して呼び出しボタンを押すことはできる。しかしマップ上にタクシーのシルエットが一台も無い。つまり、シギショアラにはUberが(ほぼ)いないことになる。

 うーむ仕方がない、ホテルまではそこまで遠くないし荷物を引いていくしかないか…そう思って駅前の坂を下っていくと、坂を下って道路に面したところにタクシー乗り場があった。案内書いといてよ~。

案内書いてとは言ったが、そこに書くな。

 シギショアラは風光明媚な田舎町、恐らくルーマニア国内からも観光客が沢山訪れるのでタクシーも必要という事だろう。
 こうして私は無事足を手に入れ、ホテルにたどり着いたのだった。ほんの5分ほどの移動で、わずか300円ほどだったと思う。タクシーが安い国は助かるなあ。

なんと私にしては珍しくヒルトンである!(ダブルツリーだけど)

 さて今回はここで一段落としよう。次回はシギショアラの美しい古都をご紹介したい。

 次回、シギショアラ探検編。

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