意を決してルーマニアに行ってみたら古き良きヨーロッパがそこにあった。バイオハザードにも登場?味のある古都シギショアラ編
ホテルからの歓迎とあれこれ
さて前回、ダブルツリーバイヒルトン・シギショアラホテルに到着した私はチェックインを済ませた。早速ヒルトン流のおもてなしを受ける。
そしてカーテンを開けてみると、なかなかの眺めが私を出迎えてくれた。
しかし、ただでさえのろのろとした電車がさらに遅れて私はお腹が空いていた。何か食べたい。調べてみるとホテルの裏にケバブ屋があるようなので行ってみることにした。
ルーマニアまで来てケバブ食べるのもどうかとは思ったが、来たばかりの町でどこに何があるか分からないし、とりあえず食べられるときに食べないとバテてしまうかもしれない。前日までの疲労感もまだ残っていた。
ところで突然だが、私は前回のイラン旅行中にmirindaという謎のオレンジジュースにハマっていた。オランジーナに似た味で、すっきりと飲みやすい。てっきりイランの飲み物なのかと思っていたら…
なんとルーマニアでもmirindaに遭遇した。
さっそく私は中東風のケバブ屋のアンちゃんにこのジュースも売ってくれと頼み、私とmirindaの馴れ初めを滔々と語った。するとアンちゃん、俺パキスタン人だよと言う。イランとパキスタンは隣国であり、思わぬところで仲間を見つけた気がした。まあ私はイラン人でもなんでもないが。
(ちなみに気になって調べてみたらmirindaはインドの会社らしい。)
こうして私はとりあえず食料を手に入れ、ホテルに戻ることができたのだった。mirindaと共に。
SIMカードを買おう
さてこのダブルツリーだが、とても快適なホテルである。有名ブランドだけあって建物内はどこもきれいでとても過ごしやすい。その割に値段も手ごろで、立地も悪くない。シギショアラにお越しの際は滞在を考える価値は十分にある。
だが一つ大きな問題がある。Wifiが滅茶苦茶遅いのだ。以下はWifiに接続した状態で回線速度テストを行った結果である。
1.92Mbps!!!これは尋常ではない遅さだ。しかも安定して接続されるならまだしもブチブチ切れる。
私はYoutubeヘビーユーザーだし、家族とのSkypeもしたい。そうするとこの回線ではまるでやってられないのである。すでに購入してあるスマホのモバイル回線を使う手もあるが、いざという時にデータ通信量が無くなってしまったら大ピンチだ。
そこで私は追加のSIMカードを買いに行くことにした。旅行に持参したタブレットはSIMモデルなのでカードが刺さる。タブレットに刺せば動画もSkypeも見やすいし、調べもの等に使うスマホのSIMを消費しなくて済む。
まず私はOrangeのショップに向かうことにした。OrangeとはVodafoneと人気を二分する通信会社で、日本で例えるならドコモのような会社である。だが、この日は土曜日で時短営業であり、既に閉店していた。
ううむ、困った。そこで周囲を見渡すと、Orangeショップと道を挟んで反対側に、よくある「ドコモとかauショップみたいな公式じゃない携帯ショップ」があった。こちらのお店はまだ開いていそうだ。
なんか店番のアンちゃんが外でタバコを吸っていたが、私が入りたい素振りを見せると中に案内してくれた。いい奴だ。
SIMカードが欲しい旨を相談すると、もちろんあるぞとパッケージを取り出してくれた。800円で60GB。安い、安すぎる。イランのSIMカードも安かったが、それに輪をかけて安い。
私は何度も6GBじゃなくて?と確認したが、60GBで間違いないという。他の人の旅行記を見ると、OrangeのショップでSIMを買うと6GBでももっとするはずだ。10倍以上安い。
私は迷わず購入することにした。
ところで、このSIMカードにはPINナンバー(パスワード)が掛かっているという。店員によると「four zero」だそうだ。ふーん。パスワードは4,0ね。
さっそくSIMカードを差し込んでみると4ケタの数値入力を求められた。あれ、4,0では…と思ってパッケージをよく見ると、
4,0じゃなくて、0000ってことかい!
(そんならquadruple zeroとか言って欲しかった…)
そしてこのSIMカード、差してみると3Gの電波しか拾わない。
これじゃあ遅いホテルのWifiと変わらないじゃないか!失敗した!と思って翌日になったら、何故か4G(LTE)の電波を拾うようになっていた。君寝てる間に進化した?
そんなわけで、ルーマニアでSIMを買うときはOrange公式ショップで買うよりも第三者携帯ショップで買った方がいいかも、という話でした。
シギショアラを観光する
さて余計な話が長くなったがようやくシギショアラ観光である。観光の中心地は何といっても時計塔だ。まずはそちらに行ってみることにした。
人によって「ヨーロッパ」という言葉に対するイメージは様々だろう。ひょっとしたらドイツの高速鉄道とか、パリのディズニーランドの方により「欧州」を感じる人もいるかもしれない。
しかしこの写真の風景を見て、私は「ああ、ルーマニア来てよかったな」と思った。シギショアラはハッキリ言って田舎だ。高速鉄道も無いし、オシャレなショッピングモールも無い。テーマパークなんてもってのほかである。
しかし、それでいいのだ。ここには田舎がある。欧州の古い町並みがある。伝統がある。
伝統だったらアジアにもあるだろうと言われればそれまでなのだが、私はヨーロッパコンプレックスをこじらせているのだ。いいだろ、別に!
比較的近代的な民家やレストラン群を抜けると、中世に迷い込んだかのような風貌へと周囲が変化する。
写真ではなかなか伝わらないのがもどかしいが、ここだけ切り取ったら1,000年前のヨーロッパにタイムスリップしたのではないかと錯覚するかのような空間だ。周囲を行き交う観光客がはたといなくなる瞬間は、本当に迷い込んだのではないかと薄っすら怖くなるほどだ。
さて中に入ろう。ゲートをくぐってみると、意外にもそこはそれなりに観光地化していた。とはいえやはりマイナー国、人が多すぎて困るというほどではない。
主観的説明になって申し訳ないが、「そこそこいる」が「多いと感じるほどではない」と言った感じだ。
余談だがここで綺麗な英語を話すおじさんとおばさんとたまたま同じベンチに座った。恐らくは英国からの旅行客だろう。やはり基本的には欧州(ルーマニア含む)からの観光客が多いように感じる。
ところでここで注意喚起を一つ。シギショアラの歴史地区だが、当時の建築を守っている為か道がでこぼこの石で敷き詰められていて非常に歩きにくい。写真では立体感が分かりづらいかもしれないが、石は丸々としていて足の裏を的確に抉ってくる。
私はこんなこともあろうかと登山用のトレッキングシューズを持参していたので大活躍した。そこまでするのは極端にしても、歩きやすい靴で来ることをお勧めする。間違ってもハイヒールとかで来てはいけない。
ところで売店でホットアップルジュースを買った。滅茶苦茶身体に染み渡る味で美味しかったです。
有名な階段を上った先へ
さて先に進んでいくと、有名な階段を発見した。
これは私見だが、恐らくこの階段はバイオハザード8(バイオハザードヴィレッジ)で精肉工場の隣にあるあの階段のモデルではなかろうか?違ってたらすいませんカプコンさん。
この比較のために急いでバイオハザードを再インストールしてスクリーンショットを撮ってきたが、あまりのそっくり具合に結構びっくりしている。
カプコンのスタッフたちがシギショアラまで視察に来ていたのかな…と思うと感慨深い。私はカプコンのゲームが大好きだからだ。逆転裁判やストリートファイターに育てられた世代と言っても過言ではない(バイオどこ行った?)
なお同じく注意喚起なのだが、この階段もメチャクチャ足場が悪い。マジで足を滑らせて滑落して大怪我しかねないほど足場が安定しない。階段は石ででこぼこで、ツルツルして、ちょっと傾斜が付いていて、手摺も無いためだ。間違ってもバイオの主人公・イーサンのように駆け巡ってはいけない。ゆっくりゆっくり、足元を確かめながら進もう。
ところでこの写真を見てもらうと分かりやすいが、町全体が謎の霧に覆われていた。
そして、ホテルにいるときからなんか煙いなーとずっと思っていた。
ひょっとしてこの日は特別な祝日か何かで、町中で線香でも上げていたのだろうか…いや、きっとそうに違いない…
ともあれしばらく山頂を散策して、私は再び例の階段を下って時計塔まで戻った。時計塔のそばにも展望台があり、そちらからの景色も見ておく。
この屋根の眼のような工法は明り取りの窓らしいが、どう見てもちょっとニヤケた眼である。
悲しきグローバル化の弊害
基本的にルーマニアはマイナー国でもあることだし、観光客も多すぎず非常に快適に旅を楽しむことが可能だ。私だって観光客だから偉そうなことは言えないが、オーバーツーリズムは現地の趣をぶち壊しにしてしまうから観光客はもっと分散するべきだろう。
が、とはいえグローバル化の波はいくらマイナー国でも避けられない。先ほどのシギショアラ歴史地区でも、大音量でマライア・キャリーの「All I want for Christmas is you」が掛かっていた時はやめろや!!と言いたくなってしまった。
そんな世界中のどこでもクリスマスになると流れる曲をルーマニアの田舎町で流すなよ!せめてルーマニアのアーティストの曲とかにしてくれよ!日本で言えば山下達郎のクリスマス・イブとかさあ!!そういうの一曲くらい、ルーマニアにもあるだろう!?
あとはまあ、これである。↓
これ要る!?歴史地区やぞ!?
例えばこれが京都にあったとして、喜ぶ観光客はいるのだろうか?まあ和傘でやればギリ受け入れられるのかもしれないが…
シギショアラにはこんな小手先の技に頼らなくても十分なくらい魅力がある。変にグローバル化せずに、むしろローカル化を進めていただきたいと切に願うものである。
そんなわけで多少の疑問も持ちつつも、美しいシギショアラ歴史地区を堪能したのであった。
次回はシギショアラ後半戦という事で、歴史地区でない普通のシギショアラの町並みをお送りしていきたい。
次回、シギショアラの普通の町並みを散歩します。
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