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セプテンバー書体のこと

きょう4月10日はフォントの日だそうだ。
「4(フォン)と10(ト)」との語呂合わせから、2017年に日本記念日協会により認定されている。
ということで、本日は朝からフォントの話題…。

Adobe Fontsに3ウェイト分のフォントを追加提供し、数日前から全ウェイト使えるようになった「セプテンバーN」書体。

これまでは、タイプラボがBOOTHで自主販売している以外、他のフォントベンダーからは販売されていなかった書体…。

そのあたりの事情を少し書いてみたいと思う。

じつはこの書体、F社から販売してもらうつもりで制作していたのだ。
むかしむかし、F社が外国企業だった頃…。
社長だったR・E氏は「今後ウチの会社は、サトーサンの作る書体はすべて商品化して販売する」と、私と約束を交わしてくれた。

その言葉どおり、アニト、かな書体のえれがんと・NTLG(ニタラゴ)・わんぱく・キャピー・ハッピー・墨東が、次々とF社で商品化されていった。

そこで私は安心して、1998年にセプテンバー書体の制作を始めた。
出来上がったのは2003年…。
その間にF社はすっかり日本の会社になり、社長も替わっていた。
そして完成した「セプテンバー」書体を、F社は受け入れてくれなかった…。

これは、はっきり言ってショックだった…。
続いてM社にもプレゼンしたが、こちらも「セプテンバー書体」を販売してはくれなかった…。
ということで仕方なく、タイプラボは2003年7月からベクター・プロレジでセプテンバーフォントの自主販売を始めた。
他に手書き風の書体がなかったせいか、そこそこ売れて印刷媒体をメインに使われていった。

2010年12月18日の新聞全面広告

ベクター・プロレジの手数料が高かったので、2007年12月から2018年11月までは、DL-MARKETで販売していた。

2015年に発行された書籍表紙

今回、Adobe Fontsに加わったことで、セプテンバー書体が見直されて、また多くの人に使われるようになるといいな…。
この書体専用の掲示板→九月の空


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