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小説|ココロのクサリ②

私は彼との結婚をとても望んでたし、彼も望んでいると思っていた。

ところが先日2人で霊視をしてもらってから、彼が何となく少しだけ結婚に対する感情が揺れているような気がした。

あれから一週間と経たない内、慎吾からのメールに私は返信に困った。

「あの霊能者の所にまた行こうと思うんだけど、一緒に行く?」

まだ一週間も経ってないし、顔合わせの日も決めてないのに、何を聞きに行くんだろう。今の仕事のこと?
それとも、家族とかご先祖さま?
私は慎吾が何を考えてるか知りたかった。

「いつ行くの?なんで?」

慎吾からの返信はなかなか返ってこなかった。

しばらくすると、慎吾から電話がかかってきた。

「もしもし、慎吾?」
「奈緒子。ごめんな、返信してなくて。
いや、なんか色々気になっちゃってさ。俺、もう少し色々聞きたくなって、結婚以外のこととかも色々聞いてみようかなって思ってさぁ」
「ふーん、そーなんだ。」
「せっかくだし奈緒子も一緒に行くかな?って思って」
「いつ?」
「それが、明日なんだ。今日電話したら明日なら空いてるって言われたから、お願いしますって返事しちゃったんだよね(汗)」
「え!?明日?!
うーん、明日は仕事休めないしなぁ。ごめん、行けないなぁ。」
「そっかー。俺もまさか明日になるとは思わなくてさ。急な誘いになってごめんな。ちなみに夜は空いてる?」
「うん、夜は大丈夫(^-^)」
「なら明日、夜一緒にご飯食べようか。」
「オッケー。じゃあ、また明日ね!」
「おう。また明日!」

慎吾があんな風に早く行動するの珍しいなと思った。私はふと、前回花実さんに言われた内容のメモのことを思い出した。

あ、顔合わせの場所の話しなきゃ。言われた通りの場所でいくつかめぼしいお店をピックアップしたから、彼に話そうと思っていたんだった。

慎吾、気に入るかなぁ〜
明日の夜にでもその話しよーっと♪

次の日の夜、私たちは行きつけの居酒屋で待ち合わせた。

┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈

「お待たせ〜」
慎吾が少し遅れてきた。

「何時から霊視だったの?」
「3時半からだったんだけど、次の人の予約ないからって少し長く視てもらえたんだ」
「そうなんだぁ。で、どおだったの?」
「まずは乾杯しない?」
「うん、そうだね。」

慎吾と奈緒子は注文などしながら、暫くたあいない会話をした。

少しお酒もまわり、奈緒子が思い出したように切り出した
「で、どうだったの??」
「あー、そうだった。」
慎吾は箸を置き、少し遠くをみるような目をして、何から話そうか考えているようだった。
「まずは、両親との顔合わせの場所について。それについては俺も少しリサーチしてて、大体の目星はつけてたんだ。それで何軒かリストを出したら、このお店が良いって教えてくれて」
奈緒子は不意をつかれたようで、少しだけ驚いた。

慎吾はスマホの画面をみせた。
それは、創作和食のお店だった。

「へー、そうなんだ。」
「それで、日にちは9月25日か18日だって。」
「そうなんだー。ご先祖さまの事とか聞いたの?」
「それがさ、すっごく面白くて・・・」
慎吾は楽しそうに話を続けた。

「まぁ、そんな感じだったんだ。とりあえず、顔合わせの日程については奈緒子の両親にも聞いといてもらえる?」
「うん、わかった。」

奈緒子は慎吾の様子に少し違和感を覚えながら、とりあえず両親への連絡をと事を進めた。

その後顔合わせが9月25日と決まり、段取りよく事が進んだ。

そして当日
奈緒子と慎吾は服装なども気をつけて、無事に両親との顔合わせを終えた。

式についても、両親を交えて話し合い、とあるお寺で行うことになった。

慎吾はあれから2週間に1回くらいの頻度で花実さんの霊視を受けに行っていた。

奈緒子は何をそんなに聞くことあるのか分からなかったけど、仕事のこととかも聞いてるのかなと、あまり詮索しないようにした。


式の場所や日程も決まり、様々な準備を進める中、ある日、式の後の二次会の話をしようと奈緒子は慎吾に相談した。
奈緒子はどちらかと言うと、式とかよりも二次会でドレスきて、友達同士で過ごすのを何よりも楽しみにしていた。そして慎吾も同じ思いでいて欲しかった。

「ねー、慎吾、二次会は何着る?タキシード?それともスーツ?どうする??」
「あー、二次会かー。何でもいいよ。」
「でもさ、みんながいるんだし、せっかくならカッコ良く決めようよ!やっぱりタキシードとかの方が良いんじゃない?」
「うん、まぁ、奈緒子がそう言うならそれでも良いし。」
あまり乗り気じゃなさそうな慎吾をみて、奈緒子は少し不安になった。

「ねえ、なんか乗り気じゃないの?」
空気を変えるように慎吾が立ち上がった
「いや、そうじゃないけど。とりあえず、また二次会のことも花実さんに聞いてみるわ」
と、言って慎吾はトイレに行った。

奈緒子は慎吾に対しての不安が日に日に大きくなるのを感じた。
トイレから戻った慎吾に
「私も一緒に行く」
と奈緒子は唐突に伝えた。

慎吾は少し驚いたが
「そっか。また日程決まったら言うな」
とだけ言った。


……つづく


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