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小網代の森に行って感じたこと

先週末、ほぼ日の学校ダーウィン講座の一環で、小網代の谷に行ってきました。フィールドワークの授業です。

小網代の森についてはサイトもいくつかあるのですが、せっかくなのでこちらを見ていただくのが、歴史も含めわかって良いかもしれません。

首都圏にここしかない、まるごと自然のまま残された場所、と聞くと、相当な密林、ハードコアな野生体験になるのかと、普段はナチュラリストを気取りながら虫も怖くて手で掴めない僕は身構えていました。

しかも注意書きには「黒服はスズメ蜂に刺されるので危険。絶対にNG」なんて書かれているのを読むと、軽装で行っちゃって大丈夫か…という心配もマックスに。

しかし、バス停を降りた先は、まるでイオンのようなショッピングセンター然とした場所。

こんなところに、「本州でも有数な多様性豊かな場所があるの??」と拍子抜けした気分…。

それもそのはずで、小網代の森は、もともと三浦半島の先端のリゾート開発(ゴルフ場の予定地)を企業・行政を交渉していって実現させた「奇跡の場所」だからです。民家や宅地開発されたエリアのすぐとなりに70haの広大な森が存在しているのです。

ショッピングモールから歩くこと数分。

一歩足を踏み入れると、そこは森と湿原の自然豊かな空間。

なんというトリップ感。

アカテカニが子を海に放つところは天候と海水の状況で、残念ながら見れなかったのですが、自然を満喫なツアーになりました。

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NPO法人小網代野外活動調整会議の代表で、小網代の保全の最前線で活動されてきた岸由二さんの言葉が印象に残っています。ざっくり記憶を頼りに要約すると…

「手つかずの自然なんて幻想。小網代は、原生の森をそのまま残したものでは決してない。人間が手を入れて、管理・保全してこそ、多様性ある自然が保たれる。活動家や自然を愛するナチュラリストほど、「自然に手を入れるな。そのままにせよ」とそんなことをいう。けれど、それは間違っている」

環境の専門家でも勘違いがある、というその言葉には、実行者の確信がこもっていると思いました。放置されて乾燥しきった草地に、水を上手に引き、湿地として「作り上げた」からこそ、多様な生物が戻ってきた。日本の原風景、棚田も、かつての百姓がつくった人工的なものであるからこそ、あそこまで美しいのです。

人間と自然が共生している場所でこそ、多様性が担保されるのはとても素敵な発想だなと思いました。

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そして、ここからは飛躍があるかもしれないけれど・・・

いかに人間は、これまでの常識で物事を理解した気になっているか。

勝手に作り上げたイメージで、人を断罪し、正義を押し付け、根拠のない確信で自信満々で改悪に手を染めてしまうか・・・

自分の思い込みが剥がれる様な体験でした。

ほんとうに、最近は、いろんな場所で、思い込みで暴走する言論風景ばかりを目にし続けている気がするけれど・・・

99%が賛成しているところにこそ、嘘や間違いが潜んでいるかもしれない。世の中に、絶対はないし、非常識なことにこそ「別のただしさ」が潜んでいるかもしれない。組織や大多数の側ではなくて、その、小さなマイノリティの側に、つねに寄り添っていないといけない。出版とは、そういうものではないか〜〜と。

本にかかわるものとしての想いを新たにしたのでした。

今後は、カニのお産を見に行きたい!

この記事は「投げ銭」記事です。サポートいただいたお金は、家庭菜園で野菜をつくる費用に投じていきます。畑を大きくして、みなさんに配れるようにするのが夢です。