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#23 あの人の演奏を生で見たかった


小澤征爾さん…

昨日、突然の訃報をテレビで知りました。

私の心の中にある「一生のうちに一度は見に行きたいコンサートのリスト」に刻まれていた人でした。


勝手ながら小澤征爾を身近に感じていた

私は、中学生のとき吹奏楽部にいたので、毎朝7時から8時まで、授業が終わって、放課後16時から大体19時まで、土日祝日は9時から18時まで、お正月以外のほぼ全てを楽器の練習に捧げておりました。

まさに青春って感じです。

あるとき、音楽系の学校に進んだOBの先輩が、久々に部活にやってきました。

指導とかアドバイスくれるんかなー?と思っていた私は、早速「久しぶりじゃないですかー!」と近づいて行きました。

すると、先輩はおもむろに、何かが書かれた白い紙を見せてきて、

先輩:おまえにスゴイものを見せてやろう。
   ほれ。わかるか?

おれ:えーっと、ん?「お、ざ、わ、せ…」 
   おっ…おっ、小澤征爾!?

なんと、直筆のサインだったのです!

先輩:ウィーンに行ってきたけぇ。
   小澤征爾ってすごい気さくな人だったわ!

おれ:すげぇ…金持ちやーんセンパーイ。
   オーストリアやん。ウィーンやん。
   マエストロやん。俺も会いたいわー。
   羨ましすぎるわー。


ドキドキして待ってました!


そして、ついにガサゴソし始めたので、私にもサインをくれるのかと首を長くして、カバンを覗き込んでました。


先輩:あ、あった。お前にはこれをやろう。

おれ:アザス(?)


先輩がくれたのは、当時、アジア人で初めてウィーンフィルハーモニー管弦楽団に合格したチューバ奏者、杉山康人氏のサイン!

いやーー!小澤征爾の方が欲しかった!

とはいえ、杉山氏のも激レアなんですけどね!

多分、私のnoteを読んでくださっている人の中で知っている人は皆無でしょう!

例えるなら、アジア勢で初めてマスターズ優勝した松山英樹選手です!

※私は一切ゴルフができませんので正解かどうかはわかりませんが。

そんな激レアサインを、実家を引っ越すときに紛失してしまいました…先輩ごめんなさい🙇‍♀️

小澤征爾のだったら無くしてなかった自信がある!(いや、引っ越し後に杉山氏のサインも一日中探しましたよ!)

っていうか先輩!あれから20年たっちゃって、連絡先わかんなくなったんで、もしこのnoteを見つけたらコメントください!

社会人以降も、小澤征爾に助けられた

小澤征爾さんは、本を書いています。

それがこちら。

あぁ、装丁だけでワクワクが甦る。
↓小澤征爾が語っているのはASMRよね?

まったく知らなかったものを知る、見る、ということは、実に妙な感じがするもので、ぼくはそのたびにシリと背中の間の所がゾクゾクしちまう。日本を出てから帰ってくるまで、二年余り、いくつかのゾクゾクに出会った。

神戸から貨物船に乗って出発、四日目に、ぼくにとって、物心ついてから最初の外国であるフィリッピンのエスタンシヤという島が見えだした時――

六十日余りの気の遠くなるほど長い長い船旅のあと、何日ものスクーター旅行でパリにだんだん近づき、やっとパリのセーヌ河のふちにたどり着いた時――

Amazonの本の概要欄より抜粋


私が読んだのは29歳頃で、仕事に行くのがかなり辛かったときでした。今みたいに余裕もなく、毎日、ただ消化試合を鬱々と過ごしていました。

とにかく疲労もあったし、人間関係にも疲弊していたときに、これを読んだんです。

24歳のときに、神戸から貨物船でヨーロッパ?あげく、スクーターでパリまで?

俺よりも5歳も若い時にこんな感じって!
行動力やばすぎ!小澤先生!

もう、楽しくて楽しくて!

人間的な魅力と、音楽的な魅力と、深夜特急みたいな旅行記要素もあって、最高の体験となりました。この物語を知って、ほんと人生が豊かになったなぁ。

小澤征爾さんの人柄の良さが滲み出ていました。

白髪で長髪の人がすぐ目の前まできて、手を差し出してくれて、生きるチカラを貰えたような、そんな感じがしました。

本読んでるだけなのに、オケの音まで聴こえてくるんですよ、すごかったなぁ…

やっぱり、生で聴いてみたかったなぁ…

世界のオザワさん…

生に勝るものはないですもんねぇ。



人は、いつ会えなくなるかわかりません。

自分もいつまで元気かわかりません。

家族も、親友も、同期も、先輩後輩もそう。

行きたいと思ったときに行く。

やりたいと思ったときにやる。

考えるのもいいけど、ときにはそういう勢いも、直感に身を任せて、やっていかなきゃなぁ。

小澤征爾さん…

ご冥福をお祈りしますとともに、生では見に行けなかったけど、これからは小澤征爾の残した想いと、作品を、人生の中で味わっていきたいと思います。

ありがとう!

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