『ルパパト』と「ニチアサ」とギャラクシー賞と

ギャラクシー賞月間賞

ギャラクシー賞2月度月間賞が以下の通り発表されました!

●BS1スペシャル「ボルトとダシャ~マンホールチルドレン20年の軌跡~」(NHK)
●『快盗戦隊ルパンレンジャーVS警察戦隊パトレンジャー』(テレビ朝日)
●NHKスペシャル『東京リボーン』第2集「巨大地下迷宮」(NHK)
●『報道特集』「独自取材!最強のイージス」(TBS)
http://www.houkon.jp/galaxy/gekkan.html

硬派なドキュメンタリーの中で異彩を放つのが、 『快盗戦隊ルパンレンジャーVS警察戦隊パトレンジャー』。通称『ルパパト』。
子供向け特撮ドラマ枠「ニチアサ」の「スーパー戦隊シリーズ」のひとつです。
恐らく、子供向け特撮ドラマがギャラクシー賞を獲ったのは初めてなんじゃないかと思います。
でも、「ニチアサ」というのは、アニメとか以上に日本のテレビ文化の中でガラパゴス的に進化していったもの(1年間にわたって、子供の情操教育を担いながら、若手俳優の成長も見守ることができるというのは他に類を見ないでしょう)で、『ルパパト』はその大きな成果のひとつだと思います。
純粋にドラマだけのクオリティを問うようなドラマ賞ならともかく(そこにノミネートすらされないのは個人的におかしいとは思いますが)、「放送文化」全体の顕彰を謳うギャラクシー賞なのだから、無視するわけにはいかないんじゃないかと思います。
個人的には2000年以降の「ニチアサ」では、00~01年の『仮面ライダークウガ』、09~10年の『侍戦隊シンケンジャー』がクオリティ的にも表現の革新性や意義的にも、“10年に1本”くらいの傑作だと思っています(次点は07~08年の『仮面ライダー電王』)。18~19年の『ルパパト』はそれに続くものじゃないかと。
そんなわけで、選ばれた時は嬉しかったです。と同時に、ちょっと発表後の反応が怖かったりもしました。もちろん僕1人が選んだわけではなく、12人の選考委員で選んだわけですけど。でも、受賞に相応しい作品だという確信もあったし、賞としてもこういったジャンルに光を当てるっていうのは意義深いんじゃないかって思ってます。
(本当は『クウガ』や『シンケンジャー』とかが先に賞に選ばれていたら、もっと推奨しやすかったんですが。)
あと、『ルパパト』以外の作品も全部面白いです。特に『ボルトとダシャ』は絶品! 地上波でも放送して欲しいです。

「ドラマ」としての「ニチアサ」

僕が特撮モノを見始めたのは大人になってから。妻の影響でした。
子供の頃もうっすら見ていた記憶はありますが、あまり好きではなかった気がします。子供ながらにヒーローモノのお約束に醒めていて、こんなのあり得ない、おかしいだろなんてことを思っていたと思います。アクションとかも好きじゃなかったし。
また、78年生まれなので、ちょうど「仮面ライダーシリーズ」が中断していた世代だったっていうのも影響していたかもしれません。
正直言って、特撮モノは「ドラマ」としては「下」みたいな偏見や先入観がありました。

だから、大人になって妻に半ば強引に勧められて後追いで見始めた『仮面ライダークウガ』に衝撃を受けました。最初はオダギリジョー目当てに渋々見始めた『クウガ』でしたが、回を追うごとにのめり込んでいきました。
『クウガ』は、リアリティなドラマ重視の作品。なので、僕の特撮モノへの出会いは「ドラマ」としてでした。僕が惹かれるのはヒーローと怪人たちとのアクションとかではなく、1年間という長い期間を使って描かれる、彼らの群像劇。もちろん、特撮にはそれ以外でも様々な魅力はありますが。
その後、『アギト』などを後追いしていきましたが、それは変わりませんでした。
リアタイし始めたのが『響鬼』だったのも幸運だったかもしれません。賛否両論ある作品ですが、この作品の前半は僕にとって理想的な特撮を使ったドラマだったのです。

そして、小林靖子作品に出会います。
『仮面ライダー電王』の楽しさ、エンターテイメント性、そして緻密さは衝撃的でした。新人離れした佐藤健の演技と周りを固めていたイマジンを演じていたのが手練の声優たちだったことも手伝って、まったくストレスなく没頭することができました。
さらに『シンケンジャー』が始まります。本当にこの作品が特撮モノの中で一番好きです。というか、歴代のドラマ全体を含めても上位にくるくらいです。とにかく主人公(松坂桃李)のみならず、戦隊側はもちろん怪人側(外道衆)に至るまで一人ひとりに濃密な人間ドラマがあり、それぞれの関係性が時に温かく、時に切なく、時に残酷に、描かれています。特撮モノに対する偏見や先入観でこのドラマを見ないとしたらこれほどもったいないことはありません。
ちょうど現在、10周年記念で東映特撮 YouTube Officialで無料公開が始まって いますし、Amazonプライムなどでも配信されていますので、未見の方は是非見て欲しいです!(本稿の後半はこれが言いたいためだけに書いてます)
ちなみに「文春オンライン」の「テレビっ子」インタビューでも小林靖子さんにインタビューしました。
http://bunshun.jp/articles/-/4622
http://bunshun.jp/articles/-/4623
http://bunshun.jp/articles/-/4624

で、『ルパパト』。脚本は香村純子。彼女も小林靖子同様、子供や特撮ファンといったそれまでの特撮モノの視聴者層の枠を超えた層にも響く「ドラマ」を特撮を巧みに使いながら描くことのできる脚本家です。『ルパパト』の深みのある魅力的なキャラクター造形(演者も素晴らしかった!)と複雑な人間関係を、あくまでも明るく楽しい世界観で描き切ったのは本当に見事でした。そして、あの最高にカッコいい最終回!
NHKでドラマ化された『トクサツガガガ』でも特撮モノの魅力が描かれていましたが、今回の『ルパパト』のギャラクシー賞受賞と併せて、これらを機会に「ニチアサ」のような異文化に少しでも触れてくれる人がいるといいなと思います。


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