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【映画感想】「ターボキッド」 世紀末ボーイミーツガール

(これまでのあらすじ)
両親を闇金持ちゼウスに殺され自身も死の淵にあった少年キッドはかつて憧れた未来武装《ターボライダー》を発見し超常的な力を手に入れた。彼は《ターボキッド》として蘇り、さらわれた美しきアップルを救うべく復讐の戦いへ自転車で向かう。彼の武器はチャージブラスターと信念と気概だ。つまりこれは真の男の物語である。ゼウスよ! ノームの怒りを思い知れ!

「ターボキッド」(2015/ニュージーランド・カナダ)(WOWOW情報

よくきたな。オレは毎日よくわからない文章を書いているが誰にでもわかるように書いているつもりはない。なんかのパッションが誰かに伝わってクリティカルヒットすることを願ってランダムに白羽の矢を放つ業務をしたり、王宮の小枝をお前を燃やすために集める業務を生業としているものだ。 *Ojigi*

今日はWOWOWで見た真の男の映画「ターボキッド」の話をする。

《自転車版マッドマックス》では済まされない

この物語はいわゆるポストアポカリプス世界を描いたマッドマックスのようなバイオレンスアクションだ。最終戦争により大地は荒れ果て重金属酸性雨により水源は汚染された。残された人類はわずかな資源をめぐり弱肉強食のスラムを築き大陸は血と暴力の国と化した。

この時代最大の動力源として利用されているのは人力発電と自転車である。ガソリンエンジンが存在しない環境では凶悪自警団であっても自転車で移動してチェーンロックをかける。そのため作中のハードなチェイスシーンは自転車だし、凶悪軍団はBMXをキュコキュコさせて集結する。とんでもないゴアなバイオレンスとキュートさすら感じる自転車文化のアンマッチ。これはただの《マッドマックス風》ではない。もっとおぞましい何かだ。

ぼくのヤバいヒロイン

ターボキッド本人はなかなか強いキャラクター性がある。タフな真の男女である両親から受け継いだDIY魂とターボライダーに憧れる正義の心を持ち荒野で1人で暮らしてきた真の少年だ。ただし行動の動機がない。ゾンビランドのあいつのように安全第一、ルールを作り、その殻を破らず、自身の生存を第一目的とするもやし野郎に成り下がっている。

そんな彼の元に破天荒な少女《アップルちゃん》が押しかけてくる。彼女は少年にバインディングブレスレットを装着させ常に居場所を追跡、少年を説き伏せて共に荒野をサバイブするようになる。

アップルちゃんは親切だが、思考はやや奇妙である。死体を恐れない、顔が近い、死体と会話したりする、顔が近い、カラフルなものを喜ぶ、顔が近い、自転車二人乗りでハグしてくる、顔が近い、作戦はノータイムで決断的に実行、顔が近い、躊躇と慈悲はない、顔が近い、キッドは次第に彼女に惹かれ彼女がさらわれた際にはついに動機を爆発させて悪党の根城へ殴り込むことになる。アップルちゃんはぼくの生命を危機に脅かすヤバいヒロインだ。大好き!

真っ当なアクションと成長物語だ

そんなわけで《チャリンコマッドマックス》のような評価をされがちな「ターボキッド」ですがもはやその枠に収まる作品ではなく独自の魅力を放っています。

サブキャラクターも魅力的でカウボーイのアイツはゾンビランドのあいつのようなタフさがあり、悪役ゼウスやパズソーマンも容赦のない悪役としてラオモトとダークニンジャのような残酷さを見せます。

容赦のないゴアなアクションにもキレがあり、アップルちゃんからキッドに授けられる《インストラクションワン》やテンドン気味な頭部切断アクション、サンシタタワーバトルなどの見所もたくさん。戦闘シーンにも逆転の布石が散りばめられており最終決戦にブラスターなしで己の力のみで挑むターボキッドの真の男の眼差しも含めてアガります。

チャンスがあれば観たほうが良い

完全に劇場公開とかのタイミングを逃して後追いで観ましたが、この映画からは何らかの何かを得る何かがあると思います。ウジウジしないスピーディな展開やあくまでキャラクターは真剣なのに笑ってしまうアクションやガジェットのチープさはストレートな楽しさがあります。個人的には寂しげなテクノ調BGMも好きです。(筆者はロイクソップがだぁい好き)

これはニンジャスレイヤーファンにも声を大にして勧めたい。絶対楽しいよ。逆噴射映画祭にかけるにはニッチすぎると思うのでセルフでしよう。いいですね?質問はありますか?ありません。ノームの怒りを思い知ってください。

旧世紀VHSを燃料にして星を見ながら野宿するシーンが好きです。いとしさと切なさと心強さがある。

#映画感想 #コンテンツ会議 #映画 #ターボキッド #サイバーパンク #ポストアポカリプス

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