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死因は『ドラゴンクエスト ユア・ストーリー』です。

※お知らせ1:購入数が一定を超えたので劇場鑑賞をしてきました。
有料部分の要約を記載しているので、お急ぎの方はそちらでどうぞ!
※お知らせ2:寄せられたサポートでノベライズ小説を購入して読み解きました。ありがとうございます。総まとめ的な内容になります。

新宿の街はまるで様変わりしていた。何年ぶりだろうか。路地の本数は変わっていないはずなのに居並ぶ店や人々の雰囲気は記憶のそれではなかった。

「知らない街に迷い込んでしまった」という不安感を抱えたまま、私は『サマー・オブ・84』を鑑賞するために新宿シネマカリテへ向かった。

シネマカリテは大変な小劇場で探すのに苦労した。スマホのナビに「シネマカリテ」と音声入力をしたら「尻労(しつかり)」へ連れていかれそうになったほどだ。大衆酒場に紛れて見逃しがちだが、一度認識できれば迷うことはない。

2019/8/9(金)深夜。『サマー・オブ・84』を鑑賞し、本気で怖くて涙をこらえていたころに訃報が伝えられた。

映画鑑賞中に電源OFFしていた携帯電話に無数の通知。私に直接を連絡をしてくる人間は限られているので誰からの連絡か、どんな用事かはすぐにわかった。共同執筆パートナー(以下GTとする)からのエマージェンシーコールだ。

たすけて
たすけて
つらい
がっかりした
死んだ

「どうした」

事情を聴く。

GTは『ドラゴンクエスト ユア・ストーリー』を鑑賞して死んでしまったという。

【解説】共同編集の当アカウント「お望月さん編集部」通常はF&Aの2名体制だが協力者としてのGTやZの存在がその公転軌道から予測されていた。なお、GTはバリバリのビアンカ派、ペットはゲレゲレ。

詳しくはこうだ。

ドラゴンクエストVのストーリーを超圧縮・ショートカットしながら、高品質なCGでキャラクターの演技もよくてね、多少無理のあるストーリーだけど2時間以内に収めるには仕方のない尺だと思う。花嫁選びもさもありなん。ブオーンも良いやつでゲマ達も存在感たっぷり。

なるほど、よさそうじゃん。

まあ、パパスの出番が短かったり仲間モンスターが少なかったり双子が一人いなかったり急に変なことをいうマスタードラゴンとかもいるけどそれはそれ。近代的な改変なのかな。そのぶんサンチョとかもよかったしね。

メッキーいないのか。ある程度は仕方ないけど残念だね。

そしてクライマックスでさ、ついに宿敵ミルドラースに立ち向かうぞ!! よっしゃラスト10分!! 覚悟を決めて見届けるぞ!!ってときになって

ああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああ!!!


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ご臨終です。死因は『ドラゴンクエスト ユア・ストーリー』です。

"医師"が診断を告げた。GTは感情が擦り切れ(フラットライン)て死んでしまった。

教会へ連れて行き蘇らせる。

完全にドラクエの物語を追体験する作品だと思ってみていた。予告とか映画宣伝企画でも、そういう場面はないしね。それがさ、ラスト十分、さあラスボスだぞ!って場面で

ああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああ!!!


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ご臨終です。死因は『ドラゴンクエスト ユア・ストーリー』です。

"医師"が診断を告げた。GTは感情が擦り切れ(フラットライン)て死んでしまった。

教会へ連れて行き蘇らせる。

そしたら、青い山寺宏一が「ウィルス」を除去する願いをかなえてやろうみたいに出てきてさ。

ウィルスミスだ。

そうそう(笑)

あの人、いつも青いな。

あの「声」を聴いた時点でダメだったね。(作り物すぎて)スーッと冷えちゃった。

アイツお仕事大王だもんね。むしろアイツの方が怒るべきだ。

GTは、己の反省を語りだした。

実は最初からおかしいと思っていた。あのゲーム画面で違和感に気が付くべきだったのでは。近代化された登場人物、作中のメタ発言。オプションスイッチの設定も示唆されていたはず。楽しめていない私が悪いのでは。ドラクエは悪くない。ドラクエを悪く言いたくない。私が悪い。ドラクエは悪くない。私が

ああああああ!!!!!!!

「思い出保護免疫過剰ショックだ!」"医師"が診断を告げた。

「やめろ!」 肩をゆすぶり正気を取り戻させる。

「現実を見るなインターネットに目を背けろ!」

思い出保護免疫過剰ショック(テクノブレイク):思い入れの強い特定コンテンツを保護するため不測の事態に免疫過剰反応が発生してショック状態に陥ること。この場合「ドラクエはよかった」「CGもよかった」「彼らはフェアにこれが"ゲーム"であるとヒントを寄越してきた」「見抜けなかった私が悪い」「あの人にも優しいところはある」として、摂取したコンテンツを擁護することで自らを守るための免疫機能を働かせること。いわゆるDV(ドラクエバイオレンス、ドラえもんバイオレンス)の際に多く発生する。

GTは、これまで遮断してきた感想情報を吸収しはじめ、軽い興奮状態と共に平静を取り戻しはじめた。

そうだよね。
さすがにこの映画はひどいよ。
みんな同じ気持ちだったんだね。
そうだよね。ひとつのNGで全部ダイナシだよね。

「感想や感情の共有は悲しみをやわらげ、楽しさを増幅させる」"医師"が語る。悪しざまではない感想も散見される。よかったところは素直にほめ、そうでないところは徹底的にカラテのめす。感情の棚卸をしてカルマを整えていくべきなのだろう。

ゲームを題材とした映画作品が多いがはこの感想文が非常に優れているので以下に引用する。

30年前、20年前、15年前、10年前に僕らが言われた「ピコピコばかりしてるとバカになるぞ」「ゲーム脳で社会不適合者になるぞ」「フローラを選ぶヤツは死んだ方がいい」「せっかくだからって赤い扉を選ぶな」「ポケモンは人生じゃないぞ」「オンラインゲームの向こうに友人なんていない」そんなことなかったよね?

もはや我々の人生とゲームやホビーは不可分のものだ。だからこそ、ゲームを愛する文化をいつくしみ、2019年も「名探偵ピカチュー」等ゲーム映画が豊作であったことを後世に伝えていくべきだろう。

◆以下は有料エリアとなりますが笑いどころは含まれませんので、ここまでで十分です。また、文中にある通り私は「ドラゴンクエスト ユア・ストーリー」を鑑賞していません。本文章は映画を見て死んだ人物の検視報告書です◆


「この様子なら君が居ればGTは大丈夫だろう。きっと笑いに変えて、良い思い出だったと語れる日が……うぐっ、ガハッ!!

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