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まだ名前のついていないゲームの世界へ『ザ・ビデオ・ゲーム・ウィズ・ノーネーム 』(2017年の小説)

Amazon レビューより

★★★★★ ゲームに時間を奪われたことのある人、必読。
この物語はフィクションであり「存在しないゲーム」のレビュー群である。
しかし、そこに流れる人生のREALは真に迫るものがあり時と共に失われていく人間性や人間はどこまで人間でいられるのかという問題提起とそれを乗り越えるための強い結末には心踊らされる。
「未来世界の珍ゲーム」が巻き起こす騒動に笑わされながらも、そのゲームが生み出された理由、レビュアーの彼がクソゲーを愛していた気持ちには同意する場面が多く泣かされてしまう。ゲームに我を忘れたことがある人、時間を奪われた経験がある人は必読です。

よく来たなお望月さんだよ。
今日はビデオゲームに関する「私小説」『ザ・ビデオ・ゲーム・ウィズ・ノーネーム 』を紹介する。

ゲームプレイヤー小説の金字塔

2100年代。侵襲式フルサイバネが浸透して脳を自由にいじれるようになった時代、"彼"は古式ゆかしいゲームレビューサイトを立ち上げて思い出の「ナツゲー」を語り始める。

これはゲーム小説でもゲーム開発小説でもゲーム世界に飛び込んだ小説でもない。一人のゲームプレイヤーが思い出語りをするゲームレビューサイトの体をとっているが「ゲームプレイを通じて人生を語る」私小説だ。

それぞれのゲームごとに隠されたエピソード、クソゲーと評価されるようになった理由、それでも作品を愛する姿勢、一つとして「出来が悪いクソゲー!遊ぶ価値なし!」という態度で評されたものはありません。(愛のある酷評はある)

100年近く前のVRゲームから始まり最新の痛みを伴う体感アクションゲームまでカバー。読み進むにつれて明らかにされるレビュアーの素性、アンドロイドの葬式、肉体の衰えとサイバネ置換、そして。

彼がなぜレビューの形でこの世に記録を残したのか。彼はどこへ行くのか。私は最終エピソードの一行ごとに泣いてしまった。ゲーマーだもんな。ゲーマーならそうする。誰だってそうする。

そして彼は「まだ名前のないビデオゲーム」の世界へ。

私にとっては決して肉体から引きはがすことのできない作品でした。

エピソードごとの感想

1エピソードごとにTwitterに記録を残したのでTogetterへリンクする形でエピソード解説とさせていただきます。

▼ぬきがきレビューここから

▲ぬきがきレビューおわり

ぼくらが記録と記憶を残す意義

ゲーマーには二種類いる。
ゲームをやったらずっとゲームになっちゃう人。
そして、ゲームをやりながらセカンド自分がレビューや感想文を書くこと自体をゲームとして楽しみ始める人だ。

プレイしながら「オイシーわ」「みんなにも教えよう」という気質の持ち主は、どんどん記録を残していってほしい。ゲーム上の珍事やゲームで考えたこと。ゲームをしながら思い出した実際の事件、アンドロイドの墓参り、色々なことを教えてください。

なお、私が特に強く共感したエピソードは「Veritas Vincit Omnia」で発生した「過疎MMORPGに聖母降臨」という事件で、短編映画の題材としても完璧なプロットであり「はやくブラッドピットは読め」という感じなんですけど、UOのことを思い起こして、いくつか思い出し記事も書きました。こういう珍事や事件はどんどん載せていきたい。

▼プレイヤーの倫理観と運営に村を焼かれた話

▼ゲーム内でのリアル歌手活動の記録。実話。

未来へ

「カクヨム/小説家になろう」系の小説というとワンパターンのライト風ノベルが跋扈している印象が強いのですが、これまで文壇に分断されて日の目を見ることが少なかったニッチジャンルや「ノーネーム」のような私事煮凝り作品等の歯ごたえのある「語りがいのある作品」も存在しています。

偏見に負けず作品を掘り返してみてはいかがでしょうか。

【お得情報】

未収録エピソードや色々がこちらに残されているようです。まだ残っていたのか!?


いじょうです。

#コンテンツ会議 #小説 #ゲームレビュー #人生 #哲学的ゾンビ #私小説 #映画化しろ #はやくブラッドピットは読め

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