見出し画像

試写『スノー・ロワイヤル』(2019年の映画) +追記『ウィンド・リバー』も見ました。

2015年WOWOWの予告欄にすごいやつが出現した。

『ファイティング・ダディ 怒りの除雪車』(2014年の映画)

これに私の超直観おもしろ映画センサーが反応した。

「これあれでしょ。リーアム・ニーソンみたいな除雪おじさんの怒りが爆発してヤクザハウスの軒先を雪まみれにしたり轢殺したり氷いちごにするやつでしょ? 絶対おもしろいじゃん!」

ところがこの予想は完全に裏切られた。期待を上回る満足感によって。

物語は猛スピードで予想のつかないスリップを繰り返し、除雪おじさんは除雪車をヤクザハウスへ突っ込ませるタイミングを逸したまま地元ヤクザ対移民ヤクザの対決を加熱させる火種となり続ける。

地元ヤクザの愛息との切ない邂逅の後に迎える無情の大見せ場、そして絶句する他ないラストカットという。完璧なブラックコメディを見せつけられた。感服。

以降、ことあるとごとに「見ろ!」と触れ回ってきた映画ですが北欧産の地味目な映画のせいか邦題の振りキレっぷりのせいなのか配信手段が不遇であり、なかなか容易に観ることのできない映画でした。米リメイクの噂はあるけれど、なかなか情報もなくタイトルも変わり、いまいち期待ができない状況。

やがて記憶が薄れ、ステラン・スカルスガルドとリーアム・ニーソンの区別がつかなくなり、雪のないメキシコのオレンジ農場でワイフと共に老い、やがて死ぬ。そのはずだった。

しかし、2018年12月。
いきなりAmazon PrimeやGYAOで配信開始。
瞬く間に胡乱界隈に広まり好評を得る。

Togetterでも話題のイチオシに。

そして、2019年6月。
暴走除雪車おじさんは帰ってきた。リーアム・ニーソンの姿を得て。

『スノー・ロワイヤル』(2019年の映画)

というわけ本題です。こんばんは、お望月さんです。Filmarks試写会に応募したら呼ばれたので行ってきました。

鑑賞前の不安点は1つだけ。
「リーアム・ニーソンのセガール化」です。

監督は原作と同じ。ステラン・スカルスガルド(身長191cm)をリーアム・ニーソン(身長191cm)に置き換えただけという「みんなが見たかったやつ」というか「タイトルで幻視したやつ」なので誤作動はあり得ないのですが「96時間シリーズ」以降、役者自体に味付けがされすぎている(お前ニーソンだろ)(ニーソンじゃん)(ダークマンじゃん)という先入観が鑑賞の邪魔にならないかという点が心配です。

「なめてた親父が殺人マシーン」は地味目なおじさんだから有効に働くんです。ここまで味付けされてしまったニーソンはうまくなめられることはできるのか。どうか「これじゃない」となりませんように!!

なお、先日、After6junctionで放送されていた「リーアム・ニーソン総選挙」が、かなりふわふわ総選挙であり「この人のことはよくわからない」と結論づけられていたことを付け加えておきます。

◆試写会を終えて◆

詳しくはリンク先で!(Filmarks試写会だからね)

簡略にまとめると、原作ファンは裏切られることはありません。安心して見に行ってください。そして、現代的になったヤバヤバブラックジョークを楽しんできてください。ちゃんと笑いがこぼれます。人もたくさん死ぬし、墓標も浮かぶ。完璧だ!!

たのんだぞ!

◆追記「ウィンド・リバー」を見ました◆

『スノー・ロワイヤル』と同じくネイティブアメリカンの「保留地」を舞台にした『ウィンド・リバー』を見ました。こちらは静と動のメリハリの利いた強烈な物語であり、クライマックスの多重メキシカンスタンドオフの緊張感は近年まれにみる傑作シーンだと思います。

本来の居場所を奪われて保留地へ送られた先住民が生きるために手を汚し、搾取され、それでも希望を夢見ることを忘れてはいけない。共通点があるからこそ、描き方の違いや社会的なスタンス、血の歴史について考えてみるとさらに深く楽しめると思います。

この記事が参加している募集

コンテンツ会議

いつもたくさんのチヤホヤをありがとうございます。頂いたサポートは取材に使用したり他の記事のサポートに使用させてもらっています。