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【NJSLYR】 チューブド・マグロ・ライフサイクル【第二部感想#06】

我々はそろそろ真剣に、ヨロシサン最強バイオ生物決定戦の弊害とヨロシサン不採算部門の低品質台車問題について考えるべきではないか。

前説:チャンピオンRED誌上でのコミカライズ版「ニンジャスレイヤー:キョート・ヘル・オン・アース」開始を記念して『ニンジャスレイヤー:第二部:キョート殺伐都市』のTwitter版連載を再読して感想を書きます。これは時系列順で読みます。文学的な解説とかは期待しないでください。第4部進行中の未来視点でコメントするので軽度のネタバレ警戒重点。

チューブド・マグロ・ライフサイクル

培養され搾取される下層民

キョートの下層民ヨシチュニはアナカと同じく上昇志向のある労働者だ。アンダーガイオンからはい上がるためにはマネーが必要であり蜘蛛の糸を掴むようなリスクを負う必要があるが、それを仲介してだまし、食い物にする悪徳業者が後を絶たない。まるで養殖チューブを泳ぐマグロのような生活環境。そこに出口はない。外に出られるのは出荷の時だけだ。(そう「スシ物語」のように)

台車にまつわるエトセトラ

シカ研究所の責任者ヨシダ先生はヨロシサンのグレーター研究員と思われる。いわゆるヨロシサン製薬名物の《俺の好きなどうぶつが一番つよい》という主張を掲げた研究所である。研究室には「鹿の可能性」のノボリや「品質より納期が大事」が貼られていたということは想像に難くない。

このシカ研究所はどうやら不採算部門のようだ。補修されない廊下や低品質のガラガラ台車描写からうかがい知れる。なぜなら 高級な台車はガラガラ音がしない。滑らかに柔らかな台車の回転で実験対象を優雅に運ぶラグジュアリーさが求められるからだ。

なお、ニンジャスレイヤー全体の台車描写に関する記事はこちら。

生存競争の果てに搾取される研究員

ヨシダ先生は「失敗作ながら唯一の成功例」であるセントールの存在に蜘蛛の糸めいてしがみつき労働者と鹿のバイオ合成実験を促進するべくシカ最強派の営業社員にザイバツや暗黒メガコーポ各社への資金提供を持ちかけるように指示。この焦りがニンジャスレイヤーを実験施設へ呼び寄せるきっかけとなってしまう。

劣勢にあっても「貴重な被験体」を保護するように指示したり記憶を失った研究員であっても「唯一の成功体験」の再現のために呼び戻す。彼もまた乏しい想像力で目の前のチャンスに飛び込むイケスのマグロであった。彼にも出口はひとつしかない。

チューブの中のマグロ、大海を知らず。
しかし、大海でも通用するマグロもいたはずだ。ヨシチュニ……マグロになるんじゃ!大海原を飛び跳ねる殺人マグロのように!!

初心者にもおすすめ

ニンジャスレイヤー第二部で特徴的な《複数の勢力が入り乱れる乱戦模様》が少なくストーリーや戦闘描写に混乱がないため「エッジ・オン・ザ・ブルータルホイール」に並び第二部を読み始めるエピソードとしてもオススメだ。リキシャーと一緒にチェックしてマッポーのキョートを体感しようぜ!

#ニンジャスレイヤー #DHTPOST #初心者向け #キョート殺伐都市 #小説感想

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