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【後編】MJ'S FES みうらじゅんフェス!~みんなどうかしてるよ!~

そろそろ会期が終わっちゃうので駆け込みの後編レポートです。少しでも気になったら行った方が良いですよ。マジで。(会期:2018年01月27日-2018年03月25日)

みうらじゅん。60さい。還暦。
様々な肩書や活動やマイブームを持つ謎のみうら人生を極端に高解像度な曼荼羅表現で展示しているイベントが川崎市市民ミュージアムで開催中の「MJ’s FES みうらじゅんフェス!マイブームの全貌展 SINCE 1958」です。やっと訪問してこれたので簡易レポートをします。(【前編】なるべく客観的な紹介【後編】なるべく主観の感想)

アクセスや会期は「川崎市市民ミュージアム」をご参照のこと。
https://www.kawasaki-museum.jp

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みんなどうかしてるよ!(大好き)

ということで、おさらいも兼ねて総合的な感想を述べると「幸せ」な空間でした。みうらコレクションの価値を理解する主催者(どうかしてる)がいて、それを適度な距離感で見守る観覧者(どうかしてる)がいて、みうらじゅん本人(どうかしてる)も楽しみながら解説をしている。これが幸せでなくなんであろうか。

やはり第二部の構成が圧巻で、第一部でMJの人物描写をした後は圧倒的な物量に来館者を放り込むことでみうらじゅんワールドを体験させるというジェットコースター的な展開がすごいですね。なるべく一般向けにかみ砕くという無駄な努力はしない。とにかく大量の実物がもつ圧倒的な説得力に任せるという方針は素晴らしいです。展示品のもつ力を信じた企画側の勝利だと思います。

注目の「マイブーム」

これ以上、みうら文化論を始めるとキリがないので展示物を並べていきます。きみのみうら因子は燃えているか!

※みうら因子:想像上の因子でありみうらさんが面白がりそうなところへ積極的に首を突っ込むやっかいな感じの因子であり人類の2%~3%が保持しているとされる。みうら因子をもつ人類は誰にも頼まれていないのに個別の「マイブーム」を持ち、それは誰にも顧みられることなく荒野に打ち捨てられる。現実は非情である。

たくさんならべると強い

みうらさんの手法として、個体差がわかりにくいプロダクトを大量に集めることで個体差を際立たせて付加価値をつける、というのがあると思います。この手法を使う場合はカタログではなく実物がウワッってくらいあると迫力が違います。

あまえた坊主のプラズマクラスター個体(激レア)

マスク狩りをしたネプチューンマン(ヘルミッショネルズ)みたいに天狗面を展示するとテングー達の個性が際立っていく。天狗も色々。人生も色々。

飛び出しぼうや。これは個人的に注目してたんですがなかなか出会えないので良い出会いでした。経年して欠損していたり色が落ちてデッドリーな個体を発見すると興奮する。

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ひとつの切り口で並べると強い

みうらキュレーションの手法としてはひとつのテーマをもってなにかをくくり名前をつけるというワザマエがあります。

《崖》というキーワードで集めたなんかの集合体。検索エンジンで画像検索したような脈絡のなさと統一感が気持ち悪い。この手法を用いれば東尋坊とセガールを違和感なく並べることができる。

後述のSINCEなどにも応用されておりみうら因子のやっかいな強かさがある。

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思い入れの強い「マイブーム」

割と個人的にMJがフックアップするまえからブーム化している「マイブーム」があります。

これも個人的に追いかけている謎英文シリーズ「バック・オブ・英字ス」
安い洋服屋(G〇や〇U等)とかでTシャツにダサい謎英語を付け足して商品価値を低下させる部門の気持ちとか考えると結構グッとくるよね。

最近では草Tシャツワゴン(伝われ)「GIRL」とだけ書かれたワゴンTシャツを見かけた時に言葉にできないおもしろみがあった。しかも4色くらいある。カラバリ。誰が着るんだろう。それを着る人は誰でも「GIRL」になれるのだろうか。それともTシャツの文字なんて気にするのは我々だけなんだろうか。(物販コーナーのSINCEシャツもどうかしてるよね)

みうらじゅん氏のコラムを発見したのでリンクします。
http://www.sankei.com/life/news/160518/lif1605180006-n1.html
(なお、このブームはそれほど長続きせず「ないブーム」であるとタモリ倶楽部内でMJが明かしていた)

これも個人的に面白くて注目してたSINCEブーム(定礎ストーンも好き)。2016になって急にMJの中でもブームになったようでめちゃくちゃフィーチャーされてた。展示内容としては地味。

SINCE●●●●。おおよそ店舗の看板やロゴに記載されている謎の数字。これはどうやら開業年を記載する符丁でありSINCE値が小さいほどパワーが強くなる。
「SINCE 1928~」は老舗としての重みがあり威圧的ですらある。
「SINCE 2017~」 今年だし弱い。逆にこれから老舗になるぞ!という意気込みを感じる。
以前からSINCE値が低い店舗を注目して数年かけてSINCEエイジングに注目していたのですが、飲食店の寿命は2年続けばよいほうという修羅の国のため低SINCEのまま息絶えていく姿を見守ってきました。若SINCEがんばれ。生きろ!!

SINCEというのは書かれている数字が小さいほど強くなる謎のシステムでみうら因子を持つ我々は無意識にSINCE威圧感にさらされている。

「SINCE」でくくることでどんな店でも老舗でも新興店でもキュレーションすることができ、それをレジャーシートにすることで年輪を踏み台にした己を確立できるというとても言葉で表しにくい感情をくすぐる展示品だ。

クソダサいキャップ。
「AMAKUSASHIRO」と書かれている。そう書かれているのだ。この面白さがわかる人と出会いたくもあり理解されると逆に(どうかしてる)と引いてしまう自分もいる。

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「マイブーム」から普遍的な「ブーム」へ

隣の芝生は青い。
こんなくだらないマイブームで喜んでいるのは自分だけなのでは……?そんな己自身を失いかけた時には人気投票コーナーへ行ってみよう。ここには同好の士(どうかしてる)の記録がたくさん残されています。あなたの好きなマイブームの人気はどれくらいかな?

このエリアは《他人の目線を気にせずに自分だけのブームを追求するマイブーム精神》と矛盾したアイロニカルな展示品の1つかもしれません。

しかし、自分だけが面白いと思っているものを発表することで(ボクも!私も!)と後塵が続くこともあり先駆者と出会えることもあります。個人的ブーム行為を続けながら常に新しい空気を入れていく。ループオンマイブームによってマイブームが伝播して真の普遍的なブームとなる。なんと聞こえの良い言葉か!

なんかいいこと言った気がするので、このままいい話みたいな空気でまとめてしまおう。

(なお、マイブームの押し付けやマウンティング行為《サブカル棒で殴る》は褒められたムーブメントではないのであくまで奥ゆかしくしめやかに行いましょう)

★人気投票の様子(2月半ば)★

仏像ブームが強い。MJが生まれた環境(キョート)がMJを鍛え上げたという印象がある。立体物がある「ゴムヘビ」「テングー」「ゆるキャラ」はキッズ人気が高い。

カスハガは実物のパワーが強く15-30いいねくらいつきそうな写真ばかりだ。トマソンやVOW的なおもしろさは現代SNS社会にも息づいている。

フェロモンレコードはご年配の方に大ヒットしておりMJの力というよりは「懐かしいねー」という空気があったので癒し。(特に正しいタコの茹で方🐙は癒し)


異常に充実しているスタンプ台

投票コーナーと併設してスタンプコーナーがあります。全県ゆるきゃらスタンプとかイベント時に用意されていたスタンプとか多数放出。おしまくれ!おしかたにも個性が出るぞ気をつけろ!

※ちょっとどうかしているスタンプの正しい押し方

おつかれさまでした

ここまでで3時間くらいかけてギブアップして退出しました。1日で巡るのは精神力を削るのでお勧めできません。二度三度と訪れてあたらしい気づきを得ましょう。

なお、会場内にメダリオン販売機はない。悲しいけど物販が充実しているので寄って帰ろうね。

未来へ

なお、今回の展示物の中にはみうらじゅん自身が失敗した/飽きたと宣言している「ないブーム」も混在している。カニパンフ(どうやら毎年同じ内容だと気付いた)とか英字バッグ(そもそも母数がない)とか。ゆるキャラも本人の思惑とはかけ離れたところで商業化しているのでテンションは低い。マイブームに我々が追いついた時点でみうらさんは飽きていることが多い。

しかし「ないブーム」も続ければ「みうらさんまだやってたのかよ!」という新たなおかしみも増していくので、あなたも一度あきらめたなにかもゆるゆると持続をすればよいのではないだろうか。アンチ断捨離!!キープオンエントロピー増大!!

前編はこちら。


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