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Go To トラベル キャンペーンの光と闇

こんにちは。うぶちくです。GoToトラベルキャンペーン始まりました。業界の端っこで細々と働いているので期待と不安と少しの憤りを抱いています。つらつらと思うことを記録整理していこう。

Go To トラベル キャンペーンとは

国の貯金から1.7兆円ほど使って(旅行代金を実質半額補助して)多くの人に旅行に行ってもらい広く観光業界を立て直していこうというもの。詳細は下記のJATAのサイトを見てください。

国土交通省 観光庁 パワーポイントによるまとめhttps://www.mlit.go.jp/kankocho/content/001351403.pdf

またyoutubeやnote、ブログなどで多々話題になっているので興味があればさらに他の人の意見を深堀してみるのもいいかもしれません。

Go To トラベル キャンペーンが目指した場所とは

僭越ながら業界に身を置く個人として意見を言わせてもらうと、何がしたいのかという目的がパッとしない。旅行を安く提供する(手段)ことで業界の落ち込みを立て直すこと(目的)がシンプルに目指すべき場所ではなかったのか。本当にこれに基づいて制度設計されたのか疑問である。

「1兆7000万円で旅行のできる世の中を買う」と表現された龍崎さん。確かにその通りだと思った。この業界は特に、単純にそのモノ(新幹線、飛行機に乗ること、ホテルに泊まること)を提供しているのではなく、そのモノによって得ることができるコトを提供している、そう思って考えて従事している人がほとんどであると思う。そんな視点が欠けたような制度設計、スタートである。

また上記のPDFを見る限りでは(特定の)旅行会社にお金が流れる仕組みを露骨には作れないのでGo To トラベル キャンペーンという隠れ蓑を使ったのではないかと思う。

旅行業、宿泊業、運輸業に伴う予約消費の非同時性

また旅行は「予約(購入)すること(厳密には予約と購入も同時ではないがここでは同時とする)」と「出発(消費)すること」は同時性を持たない。明日から飛行機に乗って沖縄へ2泊3日で行く!なんてことは旅行商品としてはできないのである。業界の立て直し、これ以上に傷口を広げることができなことから急いで7/10リリースで7/22(出発分)から開始とした判断にとやかく言うつもりはなかった。しかし、東京を発着地、目的地とする旅行は急に除外する、キャンセル料は自己負担なんて言い出すから現場は大混乱である。朝から電話はひっきりなしになってキャンセル料を返せと言われて疲労したコールセンターのおばちゃんの声が本当に辛かった。

なぜかJATAでは見つからず、ANTAのサイトより。

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21日前まではキャンセル料が発生しないので7/10のリリースで8/1出発分からにしておけば取消料の発生期間による予約にならず少しはキャンセル料問題も緩和されていたかもしれない。またホテルによる機会損失も少なくて済んだかもしれない。

キャンセル料は丸儲けって思っている方が多いと思いますが、そんなことはございません。予約の時点で貴方用に手配をして(無料で)確保しています。先に述べた予約と消費の非同時性の弊害が生れています。飲食店で悪質なキャンセル問題が起きていましたが、あれはこの弊害よりもさらに大きく卑劣なものです。友達と遊ぶ予定で急に前日、当日にドタキャンされたと時に早く言ってくれていれば別の予定を立てれたのに・・・・というのと同じです。友達は無償ですが、ビジネスは有償です。

7/27~のGo To トラベル キャンペーン ver1.5(専用の旅行商品の販売開始)

7/27より各社よりGo To トラベル キャンペーンに対応した商品が発売されます。これによって旅行後の申請により割引分を還付する手間はなくなります。※7/22以降の旅行を既に予約している方々については、旅行後の申請により割引分を還付です。(これも急に9/1帰着分に変更されました)

この業界って華やかに見えて、一部を除いて薄利多売の苦しい商売をしていると思っています。今やネットで販売できるものを人件費とテナント費を払って販売して、時代に逆行しているのですからね。会社が違えど同じ内容を売るとなると価格競争になり、どこまでの薄利に耐えれるかの体力戦をしています。

おそらく7/27~のパッケージ旅行は内容(観光チケット付き、お部屋がグレードアップ済etc)が盛り沢山になるでしょう。JATAの旅行広告のマニュアルでは➀旅行代金②旅行代金への支援額(旅行代金の35%)③お支払い実額(旅行代金の65%)を使うように決められています。下記参照。

https://www.jata-net.or.jp/gttravel/pdf/manual/2020_gttravelngttdlettermanual.pdf

旅行者視点に立てば③お支払い実額がツアーの内容に見合っているかを見極める必要があります。旅行業者視点に立てば旅行代金を決定し、取り分をどこまで最大化できるかを見極めないといけません。下記の例ですが、表のように7/26まで(GoToトラベルキャンペーン適用前、旅行代金=お支払い実額)原価6万円の商品を旅行代金(=お支払い実額)7万円で販売していた商品は、7/27から旅行代金10万円でお支払い実額は6万5千円(旅行代金の65%)となり5千円安くなり、旅行会社は取り分を3万円増やすことができます。画像3

これは極端過ぎますが、旅行者はおそらく一番上の表にようになると思われているのでないでしょうか。旅行会社としても一番下をすると競合他社に勝てないので1段目と2段目の間で落ち着くのではないでしょうか。

GoToトラベルキャンペーンは旅行者だけを救うのではなく、業界全体を救う施策ということを少しでも思い出して頂きたいです。ツイッターやyoutubeではGoToのオトクなライフハックのように紹介されたりもしていて、それ自体は否定しませんし、なるほど!と思うこともあります。ただ自分だけが安く享受できたらいいなんて思うと、それこそ手段も目的化が起きてしまいます。もちろん最下段のような旅行会社は淘汰されていけばいいとも思います。

地域限定クーポンについてては旅行代金の15%で1,000円未満は四捨五入なのでもとの旅行代金は1,000円(支払い実額が650円)高くなってもクーポンで1,000円の差がでるので旅行代金は23,000円より24,000円、29,000円より30,000円、36,000円より37,000円のほうが350円オトクになる。こんなことまで考えて旅行するのって楽しいのだろうか。旅行代金を23,000円にする旅行会社はセコイなんて言われる日がくると悲しい。

クーポン

Go To トラベル キャンペーンの行く末について

走り出してしまった以上、止まることはできない。やっぱりやめたでリセットもできない。この先どうなるかは、このゲームのプレイヤーの大多数しめる旅行者によるだろうな。旅行なんて命懸けでするものではないので、静観するも行動するもどちらもいいのだけど、やっぱり旅行には行って欲しい・・・。withコロナに向き合うために関係各所は万全に万全を期すように受け入れ準備をされている。そういったところには、今度は行かないことが首をしめることになる。

今、想定してる以上のトラブルが待っているとは思う。Go To トラブルなんて揶揄されているが旅行なんて多少のトラブルはつきもので、それすらも思い出になればいい、命は健康な身体があってだが。Go To トラベル with トラブル。観光業界に幸あれ。


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