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日曜日のクルーメイト #0038 雲居るいデビュー!!

こんにちは、クルーメイトの皆様。今週もやってきた日曜日、いかがお過ごしでしょうか?
冲方は、動画を頂いて、江戸に行ったり、竜宮島に行ったりしつつ、〆切をこつこつ乗り越える一週間でした。

さて。今回のトップ画像は、この秋に出た、文庫三人衆。
奇しくも、全部江戸。三色チラシみたいになっております。左で江戸が燃え、真ん中で花が咲き、右でやはり江戸が燃える。史実的に正しい絵面です。江戸は薪のごとく燃えます。それを決して焼かせなかった男たちの物語が『麒麟児』なのです。

なお、真ん中だけ名義が違います。そうなのです。なんと再デビューしてしまいましたよ!
そんなわけで、今週もさっそく参りましょう。

雲居るいデビュー! 新名義ご応募感謝!

何やら、わくわくしております。

文庫の後書きにも書きましたが、作家としてデビューした頃など、ああせい、こうせい、と人から言われる他発の何かが多かったのものです。
そしていつしか、お前の中から出てくる自発の何かだけでいいとされるようになり、他発がだんだん消えてゆくわけです。

自発だけ、他発だけでは、人は飽きてしまう。
そんなわけで、他発の最たるものとして、おのれの名付けを他者に委ねるということを体験したかったのですが、素晴らしい名を頂きました。ありがたき幸せに存じます。

「雲居」とは、雲の中でさまようのか、雲の上から見渡すのか。
「るい」が「塁」なら積み重ねる、「累」ならしがらみに縛られる、「類」なら友を呼ぶ。
今後の雲居るいが何をするのか、しないのか、まったくわからないというのが良いですね。白紙の未来でございます。

さて。ご応募頂いた新名義、多数の中から選ばせて頂きましたが、ここで惜しくも選外となったものをいくつかご紹介。

春画秋丁

しゅんがしゅうとう。春夏秋冬にかけて、春画に丁の字を組み合わせた、シンプルながらも工夫されてますね。

梅女田託舞(うおた たくぶ/UOTA TAKUBU)

こちらは巧みなアナグラムで別名を作っております。舞を託すという字面がいい。登場人物の名前として使いたいかも。

かまどうまほとどきす


こういうセンス好きです。とっさに呪文かと思います。

花雫凛音

綺麗な漢字をずらっと揃えた感じでゴージャス。何かのキャラ名にいいかも。

唐津屋渓斎

実際にいそうです。この字面のセンスもいい。

浅原寿海(あさはらひさみ)

こちら横線が多くてストライプ感が面白い。登場人物につけたい名です。

11トン・サワラギ・ペンタクルス

そしてこちら。なんと最後まで、雲居るいと競りました。このインパクトがたまりません。11トンは外して、サワラギ・ペンタクルスだけでも良い感じです。沢良木とか鰆城とかサワラギの字面でも遊べる。
いっとき「原作:サワラギ・ペンタクルス 作:雲居類」にしようかという案が出たほど。さすがに、ややこしすぎるので実現しませんでしたが。

他にも二百余りの名前があり、三十分くらいで終わるだろうと思っていたところ、何時間もかけての楽しい選考となりました。
ご応募頂きました皆様に感謝!

『麒麟児』 発売中!

こちら、刊行・発表ラッシュの大トリとなりましたのが『麒麟児』。

連載時の獅子猿さんの絵もパワフルでしたが、こちらも激しい吶喊の声が聞こえてきそうな迫力あるカバーとなっており、大変素晴らしい。
タイトルのデザインも素敵。

実際に江戸がこうなっていたかもしれない、幕末のせめぎ合い。
勝海舟と西郷隆盛という二人の麒麟児が成し遂げた「無血開城」の内幕とは?
彼らが守り通そうとしたものを、ぜひ見届けて下さい。

なお、あえて無血で、つまり戦いを行わずに明け渡したことで戦火を免れ、後世に姿を残すこととなった地の一つが、日光です。
あの一帯が焼き払われていたら、東照宮も鬼怒川温泉も、今のようにはなっていなかったことでしょう。
個人的には、戦火を避けることがいかに大事なことかを教えてくれる場所です。

『剣樹抄』&ドラマ『光圀公と俺』

さてこちら。連載では、まさに日光編の真っ最中。極楽組を追って、了助が日光道を旅しております。

ドラマは早くも第3話! さすが毎週放送、ペースが速い。
登場人物同士の濃密な関係が、たっぷり描かれた回でした。

こちらのスタッフブログも面白いです。
また、「眉毛が白くなってしまった錦氷ノ介」は、小説でもやろうかと思わされました。
ヒノスケギリとガメラ。未知の剣技が創案されております。
こういう他発のオンパレードは大変刺激的で、本編を書く前に見たかったと思ってしまうほど。

小説もドラマもぜひ合わせてお楽しみ下さい!

『蒼穹のファフナーThe Beyond』公開中!

パシフィコにて二日連続イベントをするそうで、すごいですね。まさにファイナル・パーティです。

いつだったか――パシフィコで出演したとき、小野賢章さんからですかね、「『EXODUS』ののち、彗は、里奈の〇〇〇を、しっかり見ることができたんでしょうか?」という感じの質問がありました。
こやつ、今後のネタバレにつながりかねん質問をしおったぞ、と思いましたが。
そのときの質問の答えが、『ファフナーThe Beyond』で出ましたね。何しろ数年もの間、彗はずっと見つめ続けることになったのですから。カプセル越しに。

果たして彗は「しっかり見ること」ができたか、ぜひ劇場でお確かめ下さい。

あと、ちょっと冲方の周辺で話題になった「口パク」ですが、一応、セリフはあります。
そのうち公式か誰かが、公表するだろうと思っているのですが。
もし誰もやらなかったら、いつか落ち着いた頃にでも答えを出しましょうか。

余談ですが、十七年で、ずいぶんドラマ作りの大前提が変わりました。
最も変化したのは、「説明」に関する態度。
十七年前は、「説明しない方がカッコイイ」「全部説明されると想像の余地がなくなる」などとされていたもの。

冲方はどちらかというと「バランスの問題であって、説明しなければいいというわけでもない」と思うほうで、アニメに初参加したときは、説明セリフがものすごく嫌がられることにちょっと驚きました。
作品によっては、説明のためのシーンをばっさり切り落としたり。それで視聴者に伝わるのだろうかと疑問に思うこともよくありました。

それが今では、「説明不足でよくわからない」ことのほうが嫌がられるようになり、「とにかく説明を増やす」という別の態度になってきました。
説明のみならず「解説」まで作中でやってしまったり。

この辺りは長くなるので、個人の創作講座noteで、もっと突き詰めて考えたいところ。

コメント・トーク

さて、ここからは恒例のコメントご紹介!

シシオリシンシさんからのコメントです!
というか力作です!

ものすっごい立体把握能力です。ブロックで作ってしまうのがすごい。
今にも飛びそうですよ。素晴らしい。
大変な祝福をありがとうございます!

新条拓那さんからのコメントです!

浅草御門で、何か派手なことが起こったら面白いのではと考えたのですが、かなりすごいことになりました。こういうのがフィクション寄りの時代小説の楽しいところですね。

日光街道は、そんなに距離がないのでドライブや旅歩きにもお勧め。
仰るとおり、当時の多くの人々にとっては、一生に一度の大イベントだったことでしょう。
他方で、一里塚の設置など、街道作りに人生を献げた人々もおり、道の一つ一つに歴史が秘められております。

森人さんからのコメントです!

ドラケン、咄嗟に昔の『ドラッケン』というゲームを思い出しました。
光圀公は、ムキムキの美男だったという逸話が、かなり沢山残ってまして、きっと本当にそうだったんだろうと冲方は思っております。
船から落ちた人間を片手でつかみあげたとかですね。着物姿でびしょ濡れですから、ものすごく重いわけです。それを、ひょいとまた船に戻したことに、一緒に乗ってる人々が仰天したとか。
あと十代で隅田川を泳いで渡ってますからね。アスリートです。

土方歳三、歌のほうはちょっとうむむな感じ。

再び森人さんからのコメントです!

これ面白いですね。明治チャンバラものをやるなら、この視点はありだと思います。

薔薇肉船舶さんからのコメントです!

モニターの技術が発達して、ものすごく何でも映りますね。
これ、昔のアニメだとセルが透けてしまっているカ所まで見えてしまうので大変だとか。
実写でも、髪の毛一本一本見えますし、ライティングがくっきりして、当時、どんな風に着物や建物が見えていたか参考になります。
古びた寺や建物も、当時はばっちり彩色されて、きらっきらだったりしますから。

了助、いい感じで野性味のある少年で、ぼさぼさ髪が似合います。
脱ぐとがっしりですが、ほんとに爽やか光圀公ですよね。きっと城中や公的なところでは、ドラマのように颯爽と振る舞っていたのでしょう。

今日こそ明日から(とんかつ)さんからのコメントです!

安部公房、懐かしい。読み返したくなりました。
なぜそのルビを振ったのか。我ながら不思議ですが、やはりしっくり来ると今でも思っております。
〈カトル・カール〉といい、お菓子は邪悪なものだと思い込んでいるのでしょうか。
焦げつきというフレーズも、確かに当時から念頭にあったもの。
焦燥感にとらわれた人々は、まだしばらくテーマの一つになりそうです。

再び、薔薇肉船舶さんからのコメントです!

見せなければいいという謎のエクスキューズをしてしまいましたからね。
判断基準についてしっかり考えるのではなく、見えなければ何でもいいという思考放棄をいつまでやるんでしょうね、日本人は。

おかげで、どんな議論も議論にならず、何が問題なのかも曖昧なままです。そうなると禁止することだけが成果になって、和解やケアや救済がどこかに行ってしまう。
官能ものを書く気が起こらなかった(今でもそうなんですが)理由が、モザイク文化です。

かのこさんからのコメントです!

少年了助の、成長、恋、友情、色気、修行、と確かに盛り沢山。
お鳩のライバルとして、小町ちゃんは再登場してほしいところ。

ぜひ続きをお楽しみに!

Kei.さんからのコメントです!

しばしばスパイが紛れ込んだりUFOが降りてきたりするのでしょう。
服飾規定が厳しいはずなのに、ノーネクタイのみならず真冬でも半袖の編集長に今でもお世話になっております。

あとがき

秋のお仕事ラッシュに没頭するうちに、すっかり冬めいております。
長い物語が結末に辿り着き、新たな物語が始まる。
年末がそろそろ近づいてきたこの冬を、次の作品作りに備える季節としたいところ。

どうぞ暖かく、楽しい日曜日をお送り下さい!
冲方丁でした。


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