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誰でもわかる!?優れた技術の見極め方

新しい技術の良し悪しって、どうやって見分けを付けるかご存知ですか?

「エンジニア(技術者)じゃないからそんなのわからないよ!」

って方もいらっしゃると思います。
でも実は誰でも簡単に見極める方法があったりします。

随分前に大手メーカーで長年品質保証のお仕事をしていた友人から教えてもらった一番簡単な方法です。

それは

『部品点数を比較して、少ないほうが優れている』

というものです。(※同じ機能を実現している機構であることが前提)

たとえば、従来技術では部品点数が100個だったとして、新技術では80個などに削減できていたら、良い技術。逆に増えていたら、それは技術の筋が悪いということです。

「そんなの限らないじゃん!」

って思う人も多いかと思いますので、根拠を説明します。

部品点数と信頼性には反比例の関係になっていると言われています。

簡単に言うと部品点数が多ければ多いほど、問題が起きやすいというこです。ひと昔前は宇宙ロケットの発射でよく失敗して爆発しましたが、これは一つのロケットを作るのに数百万といわれる部品が必要だったからです。一つ一つの部品の不良発生率が低くてもそれが大量になると不具合の発生率は累積で跳ね上がるためです。

部品点数が多いということは部品費や製造費もその分高くなるということです。でもユーザーは部品点数ではなく、機能で製品を選ぶため、同じ価格帯で製品を作らないと物は売れません。だからメーカーは部品をより安く入手する必要があります。また部品点数が多いということは重量が大きくなり、組み立てにもその分時間がかかります。必要な検査や調整作業などを省略してしないといけないなどいろいろと無理をすることなります。結果、製品の信頼性が下がって、故障しやすい製品になるわけです。

これを簡単に図解するとこのような関係になっています。

無題2

◇部品点数多い→信頼性 Down

◇部品点数多い→重量・コスト UP

技術がメカトロではなく、ソフトウエアの場合はコード数で比較することができます。

複雑なコードほど信頼性が低くなることはSE業界では当然のことで、リファクタリングと言って、信頼性を高めるために内部構造を単純化することがよく行われます。複雑なメカトロ技術ほど、構造が複雑化し高度なソフトウエア制御が要求されるため、難しい技術になるわけです。

複雑になればなるほど中身がブラックボックス化してしまうのはメカもソフトも同じですね。逆に単純になればなるほど、製造コストは下がるし、寿命も長くなるわけです。Simple is the best !

ここまで説明すると、部品の数が少ないほうがいいなんて当たり前じゃない?って気付く人も多いと思います。自分も当たり前だと思っています。でも現実を見ると、「新しい技術」という甘い言葉に騙されて、超有名な企業もこの法則を破り、現在進行形で失敗している製品が意外とあることが分かります。

身近な実例を二つほど紹介します。

1つ目は家庭用FAX。

FAXなんてもう使ってないよって人は多いと思いますが、実はインクリボンタイプの古いFAXを今でも現役で使っている家庭は意外と多いようです。相方の実家もそう。年配の方は今もインターネットよりFAXで通販の注文をしたり、家庭用のちょっとしたコピー機として利用しているのです。構造がインクジェット方式に比べると非常にシンプルであるため、設置サイズが小さくて軽い。また使ってなくてもインクが勝手になくなってしまうインクジェット方式特有のデメリットがなく、インクリボン方式は普段は電話機で使いたいときだけFAXやコピーができます。壊れることが少なく、非常に長い間使える特徴があるため、年配の方をを中心に根強い人気があります。

現在はFAX機能が付いているインクジェットの複合機などへの置き換えが家電量販店やメーカーからは推奨されていますが、たまにFAXやコピー機として使うくらいで、写真などを家でプリントする機会がない家庭では重くて大きいインクジェット型のFAXは無用の長物でしかないのです。(年間のランニングコストを考えると明らかに不利)

でも残念ながら、現在はインクリボンタイプのFAXは生産が中止されており、生産しているメーカーは日本国内にはないようです。そのためか、残り在庫品には希少価値が付いて、未だにインクリボン型のFAXがいっぱい機能が付いたインクジェットプリンタ型のFAXと同等の価格帯で売買されていたりします。機能と価格は比例しないいい例だと思います。以前、FAXを作っていたメーカーは真の顧客要望に気が付いて欲しいものです。

2つ目の例はTOYOTAのミライに代表される燃料電池車(FCV)です。

従来技術のガソリン車の部品点数は一般的に3万点と言われており、電気自動車(EV)は2万点です。そしてFCVは明らかにされていませんが、構造上ガソリン車よりも部品点数が多いと言われています。しかも、構造はEVよりもかなり複雑になります。だって、EVはモータを動かすための電気をバッテリで供給していますが、FCVはこれは燃料の水素から電気に変換する機構を持つ必要があるためです。そりゃコストが高くなるのは当たり前ですよね。日本では官民挙げてコストダウンに躍起ですが、EVより安くなることは絶対にありません。FCVは環境に優しいと言っておきながら、水素生産するために、現状は大量の電気を消費しているのですから、テスラのイーロン・マスクが燃料電池(FC)のことをFool sell(愚かな電池)と揶揄したのも無理はありません。FCVはより単純な構造の水素エンジン車に確実に淘汰されていくと思っています。

分かりやすく説明したつもりですが、わかりにくい点などがあればコメントで教えてもらえると幸いです。

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