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おまけの3月23日

髪の毛をほどく瞬間の心地よさと、ブラジャーを脱ぐ解放感、裸足で土をふむ興奮は、変え難い好きな瞬間だ。

久しぶりに抹茶を飲みにきて、水の音を聴いていたら外だけど無性に髪の毛をほどきたくなった。髪ゴムをぐいと引っ張って、解放する。頭皮が喜ぶ。ため息が溢れるような。
初めてポニーテールをして泣いた幼稚園生の頃とは違って、わたしの髪の毛はくくられているのが定番だ。毛量が多いから。それでもできることなら、放り出したい。そんな気持ちもどこかにある。髪をほどくのも、ほどいてもらうのも、何かを許されたようなそんな気持ちになる。外じゃなくて、内に入ったような心持ち。

ブラジャーはつけていた方が楽な日もあれば、苦しい日もある。支えられている気持ちになるときもあれば、押さえつけられている感覚のときも。どちらにせよ、脱ぐ瞬間は解放だ。心許ない気持ちもありつつ、自由とはそういうものだとも思う。

靴をぬいで、靴下も放って、土の上に足を下ろす。意外とひんやりとしていたり、砂利が食い込んで痛かったり、ふかふかの感触にうっとりしたり。日頃、味わっていない感触に、文字通り浮き足立つ。楽しい。泥なんか最高だ。最初は恐る恐るだけれど、そのうち気持ち良くなってしまう。

好きな瞬間を数えたのは、何となく嫌だなという気持ちが付き纏っているから。静かにお茶を飲みたいお店で、ずっと隣で話している親子の声のトーンがちょうどあわなくて、何となく気持ちが晴れない。リフレッシュに行った場所で嫌だなが積もる時ほど悲しい。
早く家に帰って、髪の毛ほどいてブラジャー脱いで、裸足になろう。

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