GPSとストーカー。


私は36才の時、二番目の夫から昼逃げをした。
この人は私を束縛するダメンズだったが、
その後お付き合いした人も、同じように
束縛系ダメンズだった。

恋愛パターン、
我ながらおそるべし。

どうしてこんなに束縛されるんだろう?
信じてもらえないんだろう?

彼とのおつきあいに疑問が浮かんでも
別れるとなるとさみしいし、
起業した仕事が忙しいこともあって
あまり考えないようにしよう。と
なんとなくおつきあいを続けて3年が経とうとしていた。

そんなある日。
疲れて子供と一緒に寝てしまい、
夜中に目が覚めて、携帯を見ると新着メール100通超え。

「メール返事ないけど?」
「どこで何してんの?」
「今どこ?」
「誰といるの?」

まっくらな子供部屋で、
ガラケーの画面を見ながら呆然。
「あぁ、いつまでこんなこと繰り返してるんだ私」

これがきっかけで
一念発起。

お金に余裕の無いシングルマザーだったので
図書館に通いつめ、自己啓発・心理学の棚はもう
借りる本がないほどに読み漁った。
娘向けに借りた小学生向けの児童文学書も、
思いのほか勉強になった。

心理学のワークを自作してみたりして、
自分の課題が見えてきた頃、ふと

「あ、もういいや。ひとりになろう。」
と思った。

彼との別れを決めた。
でも、はいそうですか、とはならなかった。
揉めた。

「君がひとりで生きていけると思ってるの?」
今までの私なら、
愛されてると勘違いするところ。

「俺が守っていくから心配しなくていい。」
今までの私なら、
キュン死してるところ。

「ごめんね、楽しかった。ありがとう。」と
伝えた私に、彼は
「たぶん、また戻ってくると思う。待ってるよ。」
と笑って手を振った。
その笑顔に、ゾクッとしたのをいまだに覚えてる。

1週間後のある日、仕事の取引先担当者から
「こんなFAX届いたけど大丈夫ですか?」と
おそるおそるといった感じで連絡があった。

ただならぬ雰囲気が気になって
先方に伺うと、FAXを見せてくれた。
「僕は騙されました」というような内容が
ぎっしり書いてある。
騙された?
なにを?
血の気が引く。

嫌な予感がして、思いつく限り連絡してみると、
もれなく届いていた。
税理士の先生のところにまで。

「すぐ破棄したから気にしないで」と
言って下さる方ばかりだったが、
あまりのことにショックで謝罪しかできなかった。

そうしたら、
メールを着信拒否したはずの彼からメール。
「戻っておいでよ。待ってるから」
違うメールアドレスを取得して送ってきたんだ。
もうここまでくると怖い。

その上、
「昨日、●●で買い物してたでしょ?」と
ドンピシャのことを言われて
つけてたってこと?!
何、この人。
さすがに、警察に相談に行ったが
彼ともう少し話し合ってみたら?とか
彼の友人に入ってもらったら?といったアドバイスで
結局取り合ってもらえなかった。

ちょうどその頃、
信号待ちで止まっている時、後ろからコツンと当てられた。
物損事故。

友達の旦那さんが勤めている、
自動車修理工場にお願いして数日。

車を引き取りに行ったら、
「この車、そんなに愛着あるん?」と聞かれた。
「何?特にないけど?」と言った私に、

「いや、このランクの車(ソリオ)に
盗難防止のGPS つけるくらいやん(笑)」

盗難防止?GPS?なんのこと?
「え?何それ。もともと付いてるもの?」
といった私に、友達の旦那さんはポカーン。
私もポカーン。

「あのさ、標準でついてるわけないやん。
つけたんやろ?」
「つけてないってば。そんなお金ないもん。」
「お前、これ誰かにつけられたんちゃうか?
彼氏と仲良くしてんの?」

えーーー!そういうこと?
まじか・・・。

小さなGPS発信機が
ソリオに取り付けられていた事実。

震えながら、裏面に載っていた警備会社に電話。
私「このID番号の持ち主を教えてください」
>「契約者の情報を勝手に教えられません」
私「勝手に取り付けられていたんですけど、規約違反ではないのですか?」
>「そのような使い方を想定しておりませんので今何とも言えません」
私「取得物として取りに来てください」
>「持ち主がおわかりなら直接ご連絡してみてください」

全く話にならず、押し問答の結果、
友達の勧めもあって警察に相談したものの、
気持ち悪くて怖くてたまらなかった。

結局、友達の彼にお願いして、話し合いをして、
二度と近づかないという約束をしてもらった。

それでも、気持ち悪くて怖くて
結局、車を乗り換え、駐車場も別のところに変更したり、
いろいろと面倒だった。


その後、メールだけは半年くらい届いていたが
無視し続けてやっと静かな日々になった頃、
今の夫に出会った。


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