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ヨーダの物語 80

【前回までのあらすじ】
 少年ヨーダはジェダイ・アカデミーに通うジェダイ・イニシエイト。
 親友ギークは、元シス・ツキシマとの戦いで顔に傷を負い、さらに謎の老人レイゴウと戦うが完敗する。そしてレイゴウのもとで修行をし、ダークサイドに堕ちてしまう。そしてジェダイ・マスターふたりを殺し、ヨーダにも圧倒的に勝つ。
 ヨーダは、師匠となるグラドゥの住む星へ到着し、賞金稼ぎ集団(傭兵)に襲われるがみごと全員倒し、いよいよグラドゥのもとで修行が始まった!!


 「重心、その一点に集中、ですね」
 ヨーダは大きな鉄くずの重心を意識してフォースを使ってみた。ただ見るだけではどこに重心があるかはわからない。先ほど板を手で触って重心の位置を探ったように、こんどはフォースを使って鉄くずの形や重さを感じ、重心と思われる箇所を特定していく。
 すると、フォースがピタっと定まる一点があった。ここだ、これがこの鉄くずの重心だ。この一点にのみ集中し、なるべく力まないようにしてそれを持ち上げてみた。巨大な鉄くずはフラフラすることなく、スッと持ち上がった。多少揺れたが、それは空気の流れによって「揺らめいている」程度だった。
 「重心をとらえたようだね」
 グラドゥはうなずきながら言った。
 
 ヨーダは次々と鉄くずを運んでいった。さまざまな形の鉄くずの重心を捉える時間が次第に短くなっていった。
 また、重心を捉えることで力まずフォースを使っているので、最初の頃より疲労感は格段に減ったのが実感できた。

 「ひとつのモノを浮かせて運ぶのは慣れてきたようだね」グラドゥが切り株から立ち上がって言った。「同時に二つのモノを運んでみぃ。二つで慣れたら今度は三つじゃ。三つで慣れたら・・」
 「とりあえず二つでやってみます!」
 これ以上言わせてはならないと師匠の言葉をさえぎり、ヨーダは次に運ぶ鉄くずを探しに行った。(マジかよ・・やっとひとつで慣れてきたのに)と思いながら。


  *

 黒く光る大きな羽根をもつ船が宇宙空間を移動していた。星全体を雲が覆い、常にどこかで絶え間なく雷が光り豪雨の降る、銀河の地図にも載っていない惑星へそれは入っていった。
 その船にはギークが乗っていた。

 (ヨーダの物語 81へつづく)