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ヨーダの物語 69

【前回までのあらすじ】
 少年ヨーダはジェダイ・アカデミーに通うジェダイ・イニシエイト。
 親友ギークは、元シス・ツキシマとの戦いで顔に傷を負い、さらに謎の老人レイゴウと戦うが完敗する。そしてレイゴウのもとで修行をし、ダークサイドに堕ちてしまう。ジェダイ・マスターふたりを殺し、ヨーダにも圧倒的に勝つ。
 負けたヨーダは、新たな修行の旅へ向かおうとしていた・・!


 新しいホバーボートに乗ってみると、もともと自分が乗っていたホバーボート同様、後ろ部分に足の指を引っかけるバンドがあり、足を固定できた。
 ヨーダの股の下に、QQ11がやってきて座った。足の中指を曲げて踏み込むとホバーボートは上昇し、前へ進んだ。操作の仕方は自分のものとほぼ同じだと思っていると、ボバーボートは急加速し、ヨーダの体はうしろに振り落とされそうになった。大きな耳は風圧でなびき、必死の形相で元の体勢に戻った。ヨーダが使っていたホバーボートと比べると足の中指のほんの微妙な動きで加速度が大きく変わることがわかった。ヨーダは試し試し高く上がったり地面すれすれを疾走し砂埃をあげたり、急カーブをやってみたり、だんだんと乗りこなせるようになってきた。

 シューマのところに戻ると、QQ11の案内でガレージに行った。そこには小型の古い宇宙船があった。それにかけてあるシルバーシートをひっぺがすと、砂と埃が舞ってヨーダは目をこすった。本当に飛ぶのか心配だったが、シューマの言うことを信じる他はない。運転席に乗りこむと、QQ11も入ってきていろいろなスイッチをいじりだした。ヨーダはアカデミーで基礎的な宇宙船の操縦は習っていたが、ここまで古い宇宙船の操縦は習っていなかった。それでもひとつひとつスイッチやレバーを確かめながら、なんとか操縦はできそうだった。最悪、QQ11が操縦をしてくれるだろうと、楽観的に考えて不安な心をやり過ごした。

 朝日が上がってきて、いよいよ出発の時が来た。シューマ博士はまだベッドから起き上がれる状態ではなかったが、窓越しにヨーダの乗る小型宇宙船を見送った。船がゆっくりと浮き、加速度を上げながら雲の中へ消えるころ、老博士は小声でつぶやいた。
 「ヨーダよ、強くなれ。強くなってギークを連れ戻せ。
 フォースとともにあらんことを・・」

 その頃ヨーダの家では、トワイレック種族である母のロザリータが目を覚ました。ベッドから起き上がり窓の外を見た。朝日がまぶしく目を細めた。ヨーダの部屋のドアは半開きになっていて、入るとヨーダのベッドは空だった。食卓のテーブルに手紙が置いてあった。母はゆっくりとそれを開いた。すでにヨーダが出ていくことは覚悟していたので、慌てることはなく、愛する息子が書いたその手紙を、椅子に腰掛けてゆっくりと読み、その後ひとり分の朝食を作った。

 (ヨーダの物語 『後編』へつづく)