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ヨーダの物語 68

【前回までのあらすじ】
 少年ヨーダはジェダイ・アカデミーに通うジェダイ・イニシエイト。
 親友ギークは、元シス・ツキシマとの戦いで顔に傷を負い、さらに謎の老人レイゴウと戦うが完敗する。そしてレイゴウのもとで修行をし、ツキシマと再び戦って圧倒的な力で勝つ。一方ヨーダは・・。


 「お願いします!」
 ヨーダは深々と頭を下げた。いまのヨーダに頼れるのはもはやシューマ博士しかいなかった。老博士はしばらく天井を見つめ、ヨーダに向き直った。
 「アウターリムの、名前は忘れたが岩ばかりの巨大な星に、グラドゥというジェダイ・マスターの老人がひとりで住んでいる。わしくらいの年寄りじゃが、数々のジェダイを育ててきた経験がある。今はそれも引退して、隠居生活を送っている。わしから見てもかなり偏屈な老人じゃが、きみが今のギークに対抗できるようになるには、グラドゥの下で修行するのが一番じゃろう。グラドゥはジェダイ評議会とはとうの昔に縁を切っておるから、評議会には知られる心配もない」
 「ありがとう、シューマ博士。前から気になってたんだけど、博士はレイゴウのことも知っているし、ジェダイの知り合いが多いから、もしかして・・」
 「今ごろ隠してもしようがないな。わしはジェダイのなりそこないじゃ。自分に才能のないことに気づき、機械いじりが好きだったから早々にシフトしたんじゃ。遠い昔の話じゃな。ヨーダ、わしの宇宙船を貸そう。ほとんど骨董品じゃが、ワープもできる。それと、あれも持って行くがよい。QQ11あれを」
 QQ11は、ホバーボートに乗ってヨーダの足元にやってきた。そのホバーボートは、以前ヨーダとギークが遊びに来たときに、ワープとコルサントの映像を見せてくれた、シューマ博士お手製の船のミニチュアのラジコンを、ホバーボートに改造したものだった。形は円形の板の頭の部分に台形のツノがふたつ付いたものだった。
 「クローン技術が完成していない今、おそらく敵はロボット兵を大量生産している。小回りのきくこいつに乗って敵陣を駆け抜けるがよい。しかし注意点がひとつある。ワープの機能を残してしまったので、間違っても乗ったままワープしないように。体が粉々になるぞ。
 これを腕につけなさい。これで遠隔操作もできる」
 QQ11の頭の上に小さい腕時計のようなものがあった。それを受けとり腕に装着すると小さい画面がでて、ホバーボートを遠隔操作できるらしい。
 「ものは試しじゃ。ちょっとこれに乗ってきてみい。実際に乗るのはおぬしが初めてじゃ、QQ11を除いてな。この老体じゃあ、とても無理だわぃ」
 ヨーダはごくりと唾を飲み込んだ。ホバーボートを試し試し遠隔操作し(直感的ですぐにわかる操作方法だった)、外にでて浮かせてみた。

 (ヨーダの物語 69につづく)