ヨーダの物語 67

【前回までのあらすじ】
 少年ヨーダはジェダイ・アカデミーに通うジェダイ・イニシエイト。
 親友ギークは、元シス・ツキシマとの戦いで顔に傷を負い、さらに謎の老人レイゴウと戦うが完敗する。そしてレイゴウのもとで修行をし、ツキシマと再び戦って圧倒的な力で勝つ。一方ヨーダは・・。


 シューマ博士の顔は見えない。作業所はかなり荒らされていた。
 「シューマ!」
 ヨーダはシューマに駆けより、大きな頭を抱きかかえると、シューマはうっすらと目を開けた。(生きてて良かった!)頭から血が少し垂れていた。
 「おお、ヨーダ・・」
 「大丈夫?まさか、ギークが・・?」
 シューマは少しだけ頷き、「ギークとレイゴウじゃ・・!」と応えた。
 「レイゴウ?あの白いローブの・・?」
 「そうじゃ。わしの研究データを奪っていった。おまえもかつて見たじゃろう。巨大な星をも破壊する兵器の設計図じゃ。まだプランの段階じゃがな・・。レイゴウはあれを完成しかねない。そうなれば銀河はお終いじゃ。わしはなんてモノを考えてしまったんじゃ・・!」シューマは咳き込んだ。
 「シューマ、もう喋らなくていい!医者を呼ぼう」
 「もうそいつが信号を送ってくれた。出てこい、QQ11(イレブン)」
 シューマがやっと作業台に目をやると、小さく青いタブレットのような板状のものが変形し、四つ足のドロイドになった。頭の部分では収納型のヘッドライトのような二つの目がピョコンと出てきた。
 「まだ音声プログラムを入れてなくてしゃべれないが、頼りになるぞ。こいつがギークとレイゴウのいまの居場所を割り出してくれた」
 ヨーダは、シューマ博士が白いローブの老人(レイゴウと言うらしい)を知っていることに驚いたが、傷にさわると良くないのでそれ以上はきかなかった。
 やがてシューマの知り合いの医者が来て(ギークが顔にケガをした時にも来てくれた医者だ)、応急処置をしてくれた。命に別状はないということで、ひと安心した。
 ベッドに横たわり頭に包帯を巻いたシューマ博士は言った。
 「ギークとレイゴウは、他の星にいった。レイゴウの目的は不老不死を手に入れることととんでもない数のクローン兵を作ること。最終的には、この銀河を支配することじゃ。ふたたびシスの時代を作ろうとしている。わしから研究データを奪うときに長々と語ってくれたわい。今はまだクローンの技術は完成していないから、今はドロイド兵を作っているはずじゃ。わしが作ったドロイドの設計図と、大量生産技術のデータも持っていった・・。わしはいったい何のために研究を続けてきたのか・・。やつらのためでは決してない、ただ好奇心に突き動かされたのじゃ・・。
 ヨーダよ、ジェダイ評議会にかけあって、あのふたりを食い止めるように言ってくれ。ギークはもうダークサイドに堕ちてしまったようじゃ・・」
 「いまのジェダイ評議会には頼れません。ツキシマが人間狩りを繰り返した時にギークが何度もアカデミーを通してお願いしても、対応してくれませんでした。レイゴウを倒すのを決めるまでにも相当な時間がかかるはずです。もっと大きな被害が出ないことには、評議会は動かないでしょう」
 「星が吹っ飛ぶくらいのことがないとジェダイ評議会は動かないと・・?」
 「僕にはまだ修行が足りません。いまレイゴウやギークを食い止めるために戦ったら間違いなく負けます。あなたは銀河でも顔が広い。誰か、僕に修行をつけてくれるジェダイ・マスターはいませんか?僕が強くなって、ギークをなんとかダークサイドから引き戻して、ギークと協力できれば、レイゴウを倒せるかもしれない・・!」
 「うーむ・・。ギークを取り戻せればあるいは勝てるかもしれんが・・」

 (ヨーダの物語 68につづく)