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ヨーダの物語 55

【前回までのあらすじ】
 少年ヨーダはジェダイ・アカデミーに通うジェダイ・イニシエイト。
 親友ギークは、元シス・ツキシマとの戦いで顔に傷を負い、さらに謎の老人レイゴウと戦うが完敗してしまう。
 ギークはレイゴウの誘いで修行をすることになる・・!


 「部品はそろっておる。あとはおぬしの好きなように作ればよい。おぬしが手に入れた石で、銀河にひとつの、おぬしだけのライトセーバーをな」
 レイゴウは洞窟の奥の部屋へ去っていった。去り際に「わしのペットも解放してやれ」と言われたので、ギークはフォースを使って鎖になった金属を獣の鼻から外してやった。ギークが右手をかざして挙げていた手を下ろすと、金属は再びピンッと棒状に戻り、地面に五本とも一列に突き刺さった。

 レイゴウはギークのために仮面を作り、ライトセーバーの部品を揃えてくれた。作業台に近づいてみると、ライトセーバーの部品が細かいものまで整理され敷き詰められていた。アカデミーのヒュイヤン教授がこれを見たらどんな気持ちだろうと思った。
 ギークは三つの赤い石を小袋から取り出して作業台に置き、アカデミーでやったように完成型をイメージしながら両手をかざした。部品は必要なものから次々と浮かび、回転しながら組み立てられていった。
 ギークはギャザリングで青いカイバー・クリスタルを見つけたあとに三つの赤い石が手に飛び込んできてから、もしこれらでライトセーバーを作るとしたらどんなものになるだろうと思案するのが密かな楽しみだった。赤い石を手に入れたことは、ジェダイ・アカデミーの教授にも、同級生にも、ヨーダにさえ言えなかった。かと言って捨てることもできなかった。

 ギークはほとんど迷うことなく、初めて作った時とは比べものにならないほどスムーズにライトセーバーの骨格を完成させ、三つの赤い石は縦に並んでそれの中に吸い込まれていった。まるでネコ科の生き物がいつもの寝床に自然と入っていくように。
 ライトセーバーを完成させると、ほとんど本能の赴くままに作った二本目の武器をまじまじと見つめた。
 「これこそが俺だけのライトセーバー・・」ギークは小声でつぶやくと、それを起動させた。初めて作った青い光刃より、それが空気に接する時の太い音がさらに重厚さを増し、その中に高い音も混じっていた。ギークの青い瞳に、三つのカイバー・クリスタルから出力された赤い光刃が縦断して反射していた。

(ヨーダの物語 56につづく)