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ヨーダの物語 66

【前回までのあらすじ】
 少年ヨーダはジェダイ・アカデミーに通うジェダイ・イニシエイト。
 親友ギークは、元シス・ツキシマとの戦いで顔に傷を負い、さらに謎の老人レイゴウと戦うが完敗する。そしてレイゴウのもとで修行をし、ツキシマと再び戦って圧倒的な力で勝ち、不老不死の研究データを「取り返す」。


 「もうひとつ質問してもよいでしょうか?」ギークは顔を上げた。「あなたの最終的な目的は何でしょうか?」
 レイゴウは後ろで手を組み、動物の死体が入った無数の容器を眺めながらギークに背を向けた。
 「不老不死、そして完璧なクローン兵の編成。そして未来永劫つづく銀河の支配じゃ。シスの支配する世をふたたび作り出すのじゃ」
 ギークは自分のマスターの背中を見つめた。顔の左半分は鉄仮面に覆われ、その表情は、マスターへの服従なのか、はたまた反骨か、畏怖なのか、誰にも読み取ることはできないものだった。

  *

 ヨーダは夜明け前の砂漠を、ライトセーバーや衣類、保存食の入ったリュックを背負い、ホバーボートに乗って疾走していた。フォースを使っても今はギークの居場所がわからないため(ギークはフォースによって巧みに自らの気配を消しているのかもしれない。おそらくシスであるあの白いローブの老人も)、行くあてもなくギークがもっとも慕っていた老博士、シューマのところへ向かった。もしかしたらシューマなら、ギークの居場所に心当たりがあるかもしれないと思った。

 夜が明ける頃、ヨーダは砂漠にポツンとあるシューマの自宅兼工房の近くまで来ると違和感を覚えた。建物から発せられる雰囲気が何かおかしい。作業所の扉が開いているのを見てヨーダは一気に血の気が引いた。神経質なシューマが扉を締め忘れることなどなかったからだ。作業所にかけこむと、ヨーダの悪い予感は的中した。シューマは作業台の横にうつ伏せになって倒れていた。

 (ヨーダの物語 67につづく)