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ヨーダの物語 42

【前回までのあらすじ】
 少年ヨーダはジェダイ・アカデミーに通うジェダイ・イニシエイト。人間をさらって喰うと言われる元シス、ツキシマを倒すため、親友ギークと死の渓谷へ降りていき戦うことになるが、ツキシマの反撃をくらってしまう・・



 ヨーダは必死に体を動かそうとしても、ツキシマのフォースに縛られ動けなかった。岩の下敷きになっているギークをフォースを使って救おうとしたが、フォースを使えず友の名を叫び続けることしかできなかった。
 (まだジェダイ・イニシエイトの自分たちだけで元シスを倒すなんて無茶だったんだ)とヨーダは今さらながら悔やんだ。
 ツキシマはゆっくりと倒れたギークに近づく。ツキシマのフォースにより、ギークの上の岩が浮いて離れていく。ギークは、うつ伏せに倒れていた。頭部や背中、足から血が出て、服はところどころ血でにじんでいた。
 フォースによりギークの体は浮き上がり、直立姿勢でつま先が地面から数センチ離れていた。左側の顔面と眼は、岩によってつぶされ血が滴り落ちていた。

 ツキシマは、長いニ本の指をくいっと曲げると、ギークの体がツキシマに近づいた。
 「どうだ?わたしの弟子になるか?その傷もすぐに治してやろう。わたしは冷凍睡眠から目覚めてから、いろんな人間を使って実験し、とうとう病気や人体の欠損の完全な治療や、不老不死につながる研究も完成しそうなんだ。その技術を使えば、すぐに痛みから解放され、この美しい顔も元に戻るだろう。しかし、もし弟子にならないことを選択するなら・・」
 ツキシマは再びライトセーバーを起動し、ギークの首元に突きつけた。岩壁に貼りつけられたヨーダは叫び続けることしかできなかった。
 「ギークを放せ! ギーク!やつの声に耳を傾けるな!」
 ヨーダは何度もフォースを使ってギークと自分を解き放とうとしたが、ツキシマのフォースは強く、ヨーダの体とヨーダの発するフォースをも押さえつけていた。

 ギークは残った右眼を半開きにし、何やらつぶやいていた。「・・する」
 「ん?いまなんて?」ツキシマにも聞こえないらしく、浮いたギークの体をさらに近づけ、耳をギークの口元に寄せた。
 「弟子になるのは断固拒否する。この腰抜けの元シスが」
 ツキシマの目の色が変わり、右手をギークの頭にかざした。ギークの頭が震え、顔の左半分の血が宙に上がり、蒸発していった。ギークは苦痛で顔を歪めた。
 「これでもまだ拒否するか!」
 ツキシマが怒りにまかせて叫ぶと、ヨーダを縛りつけるフォースに一瞬隙が生まれた。ヨーダはそれを見逃さなかった。

(ヨーダの物語 43 につづく)