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朝が嫌いだった私が歌う朝の歌



朝が嫌いだった。
また1日が始まってしまうから。
”今日”が始まってほしくなくて、
毎晩、寝るのを躊躇った。
目を閉じなければ、朝はやってこない。
寝る時間が日に日に遅くなった。


朝が嫌いだった。
なるべく”今日”が始まってほしくなくて、
いつもギリギリまでベットの中にいた。
30分以上前から何回も
目覚ましをかけては止めを繰り返して。
家を出るまでは現実に抗いたかった。


朝が嫌いだった。
寝たら全てがリセットされればいいのに。
前日の辛い出来事を忘れたいのに、
目が覚めてもあの感情は残ったまま。
夢は思い出せないのに。


朝が嫌いだった。
清々しい綺麗な朝なんて誰が言ったんだ。
世界が動き始めるキラキラした朝に腹が立った。
こっちはどんよりとした重い朝を
日々過ごしているのに。
綺麗な朝は過ごせなかった。


朝が嫌いだった。
でも責任感だけは無駄に強かった。
休むなんて、逃げるなんてできなかった。
ギリギリに家を出る代償は駅までの猛ダッシュ。
気づけば3ヶ月毎朝走ってた。


朝が嫌いだった。
それでも今日も一日乗り越えないといけない。
だから好きなバンドの曲を
イヤホンから大音量で流して、
頑張らねばと無理やりテンションを上げた。
音楽がいつも私の背中を押してくれてた。


朝が嫌いだった。
とある時から、目を覚ますのが怖くなった。
毎朝、破裂しそうな鼓動音が部屋に鳴り響く。
爆発寸前のカウントダウンのようだった。




でも、誰かが言った。
私の歌は、声は、朝に聞きたいと。



だけど、私にとって朝は嫌な思い出で溢れている
周りが思う私と私の抱えた感情には差があった。



それでも、あの時、
私の朝を支えてくれたのは
確かに音楽だったから。



ならば、私も誰かの朝を、
誰かの背中を押すことができる歌を歌おう。



朝を迎えたくない気持ち、
朝が醜かった気持ち、
朝の辛かった気持ち、

それでも、朝はやってくるから
頑張れるように鼓舞するあの気持ちを


キラキラしたメロディで隠すように
でも、伝わる人には伝わるように




「いつだって綺麗な朝は迎えられないけど」

「朝起きただけで、君は十分すごいよ」

「生きよう、今日を。」



そんな朝を、歌おう。





やうちまりな ▶愛知県在住。ギター弾き語りのシンガーソングライター ▶Tiwtter @marina_yauchi55  2年前に仕事のストレス解消を理由にギターを始める。その後仕事を辞め、人前で歌い始める。恋の歌から飛び降り自殺の歌まで、ポップなメロディに載せて歌う。