お金の実態を知るハナシ

最近経済を勉強してきて、ようやく「信用創造」の実態を掴むことができた、と思う。
一応社会の授業で習っていたが、やっぱり当時はまだピンときていなかった。ていうか教科書の説明だと、本質を掴むにはどうもモヤモヤとした感じがする。

昨日、ようやくこの信用創造の仕組みを比較的簡単に理解できる話の存在を知った。
イギリスの銀行の始まり、ゴールドスミスの話である。
有名な話なので、知ってる人からすれば常識なのかもしれないが、これこそ学校で教えるべきお金の実態の話であると思う。

まあ、今さら私なんかが再掲してもあれなので、箇条書きで簡単に説明してみます。

・かつては金(ゴールド)で決済していた
・現物を所有していると邪魔な上、窃盗などのリスクもある。
・金細工師が堅牢な金庫を持っていたので、金の預かりサービスを始めた。
・金を預けると、「幾ら預かりました」という預かり証を発行され、それを金細工師の元へ持っていくと、そこに書いてある分だけ金を引き出せた(一部を引き出すこともできた)
「金の価値=預かり証の価値」となったため、預かり証自体が金の代わりに流通するようになった(銀行券=紙幣の始まり)
実際に金を引き出す人はほとんどいなかった
・金庫に保管された金は金細工師のものではないが、大量に保管されっぱなしなので、その金を(勝手に)貸し出すことを考えた。
・その際、実物の金を貸し出すのではなく、貸した額面の「預かり証(借用書)」のみを発行した
・↑この時点で、実際に保有している金<流通している預かり証の額面 となった。
・借りた人は預かり証で決済し、その預かり証を受け取った人は、それを金細工師の元へ持っていけば金と交換できた。
・それでも実際に金と交換する人はほとんどいなかった
・預かり証を持っている人々は、預かり証の額面だけの金を金細工師が持っていると信じていた。
・すなわち、自分の持っている預かり証が、書かれた額面の金と同じ価値があると信じていた。
・金細工師は、「金を持っている(はずだ)」という「信用」によって、無からお金を創り出した。

※細かいところは違うかもしれませんがご勘弁を

箇条書きとか言いながら長くなったけど。
とにかく肝は、終盤の太字。ただの紙切れを、金と同じ価値があると人々が「信じた」ことによって、その紙切れはお金として流通したのである。

この原理は、現在でも行われている信用創造と何も変わらない。
それどころか、今は金を使うまでもなく、完全に「信用のみ」で価値を成立させている。

つまり、お金は基本的に実体を必要とせず、そこに「信用」さえあれば、どんな形であっても構わないのだ。

ちなみに、この信用創造において銀行家(金細工師)が最も恐れているのは、預金者が一斉に現金を引き出しに来ることである。
そりゃ当然で、全ての「預かり証(預金)」を「金(現金)」に換えることはできないからだ。
このような、バブル崩壊時などにもあった銀行取り付け騒ぎというのは、銀行の信用が損なわれると起こる。「銀行は現金を持っていない」と人々が一斉に銀行不信になると、銀行そのものが成り立たなくなるのだ。

ところで、信用創造が発明されたことによって、経済が活発になったそうだ。「金」という物質を必要としなくなり、さらに流通するお金の額面が増えたことによって、取引のスピードが上がったのだ。

このことから、人々が何かを生み出す活発な創造活動には、「お金=信用」の取引がスムーズである必要があることがわかる。
「金は天下の回り物」「お金の流れが良い・悪い」などといった言葉は、そういった事実を背景にしているのだと思う。

そんなわけで、私の思う学校で教えるべきお金の話、ゴールドスミスの信用創造の発明についてでした。
信用創造を理解してるかしてないかで、だいぶお金の見え方が変わるのかなあと思います。

一応習うんだけどね!だけど感覚として根っこからわかってる人はまだまだ少ないのかなあと思うのが現状です

【追記】
現代の信用創造について、ここが結構わかりやすくも詳しく説明してくれてるので、もし興味があればぜひ。
https://www.mag2.com/p/money/20085

この記事が参加している募集

お金について考える

大学中退病弱フリーター。病気で中途半端な障害を負って、身体という資本をほぼ失いました。あるのは思考大好きな頭と、ちょっと硬くなった手。あなたの支援は、私の存在価値の裏付けになります。