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ありがとうレターno.2おしやまさん

ふと、おしやまさんのお顔が浮かび、いろいろ思い出してみた。

おしやまさんは、みねちゃんが連れてきたカメラマンさん。当時の私はお料理本の制作中で、みねちゃんは編集者、料理撮影はおしやまさん、お料理制作はみきちゃん、私は企画兼、執筆者。

おしやまさんの何を思い出したかというと、生き方です。彼の振る舞いは、とても刺激的だった。

おしやまさんに常識は通用しなかった。体の中心から湧き上がる情熱だけで動いている人だった。手順や、大人の都合に、迎合する人ではなかったから、おしやまさん以外、全員女性だった私達のチームは、おしやまさんを受け容れて仕事がはかどるように気を配った。

破天荒なおしやまさんが撮る写真は、生きていた。

そして私達チームは、良く笑った。

おしやまさんは、小学生のお子さんを、台風の日に外に連れ出すようなお父さんだった。自然の厳しさを肌で感じ、怖れることなく、親しくなることを小さい頃から伝えたかったんだって。

危険から逃げるんじゃなくて、危険を知る。どの程度まで近づけるのか、本当に危ないときはどうするのか。それらを人や社会の常識で判断するんじゃなくて自分の肚で決める。

そんな人がおしやまさん。

お料理本の制作も、当然、妥協はなく、どちらかというと世間の都合に合わせて呼吸していた当時の私には、おしやまさんの態度はわがままに映っることもあった。

予算やスケジュールがあるのに、とか。

それでも人間的なおしやまさんの魅力に屈服するよりなかったな。

何もかもが常識外れで、型が世間にないってことは、未知すぎて興奮した。

そんな人に私も成りたいと思ったけど、当時は世間の常識から反れる勇気はなかったし、生き方に憧れるだけだったんだよね。

あれから何年たっただろう?17年くらい?

満月に向かう昨日の晩にふと思い出したのは、おしやまさん的生き方が、本当に大切だったことを、時代が証明したことを感じたのと、あきらめてないで再びそこを目指したい私の本能だったのかも。

だ~いぶ、今はおしやまさんに近づいているけど。

人との出会いほど宝物ってないですね。

ほんの数か月、一緒に仕事をしただけなのに、相手の記憶に深く残るおしやまさんってステキ。

この記憶があるだけで、私は自分の目指す場所が分かる。ありがとう。灯台のようなおしやまさん。


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