見出し画像

堀内たかおの府議会ウォッチ 16「ライドシェアは交通の未来図か」

 安倍内閣時代の国家戦略特区政策の中に「ライドシェア」があり、その焼き直し感が強く、当時懸念された問題が、解決されぬまままたもや持ち出された。
 アメリカでは、Uver(ウーバー)を利用してのライドシェアが先行しているが、婦女暴行(約1,000件)や暴力問題が多発しており、自己防衛を原則に運用されていて、今後見直しの可能性が指摘されている。
 シンガポールでは成功しているから、見習いたいという話を森 和臣議員がしていた。
 しかし実際は、配車するにはタクシー事業者免許が必要であり、また20以上の台数確保の義務や、専用運転免許の取得など、それに料金体系の規制や保険、車点検の規制があり、日本のタクシー免許とあまり変わらないくらいの規制が存在点は、全くスルーされていた。
 日本のタクシー業界のように、アルコール検知義務や健康診断義務などに近い規制もある。
 森議員は、アプリでの相互評価で、悪質なドライバーは淘汰されるので安心だ、というあまりにも短絡的な感想を語っていた。
 実際には、淘汰されるには飽和状態にならないとその効果は表れず、その間は野放しの状態という、不安定要素が残るままです。
 中国のようにタクシー文化が浸透していない国では、政府が号令をかけ、とにかく実行して後から規制をする「ライドシェア」導入もあり得る。
 絶対的な統治方法の中国とは異なる法体系の我が国では、同じような実験は不可能です。
 「ライドシェア」を導入した国や検討している国は、タクシーや電車、バスの交通手段が未発達の国が多いのが実情で、OECD加盟国では8割の国が禁止し、導入していない。
 つまりタクシーや公共交通機関が発達している国では、解決すべき問題が多くあり過ぎるため、「ライドシェア」は導入しないのではないだろうか。
 投資も少なく、誰でも参入出来る、夢のような準公共交通機関と過大に喧伝する傾向もあるが、逆に価格競争から安全性が軽視される可能性もある。
 既存の交通機関利用者を奪うことで、バスや電車の赤字化から廃線を早める結果を招くことにもなりかねない。
 現に今年、南河内の金剛バスが廃業を決めたことは、採算の取れない今後の公共交通を、どういう形で50年先まで見据え、確保していくのかが問われている。
 万博で目玉にしたい、話題づくりのための「ライドシェア」は、決して今後の交通の未来図とはならないし、既存の交通機関の淘汰を招きかねず、市民の移動の不安定化を促進する可能性すらある。
 国の法整備の中で、問題点がより鮮明化されること。また、交通機関と市民の利便性の問題が、利権誘導に流されることなく、安全で適正な価格で、なお且つ便利に、運営されることが問われています。

 公共交通機関の確保に今後も関心をもって、議会ウォッチを続けていきます。

※「ライドシェア」は、有償で相乗りによるサービスを提供することを指す。現在、岸田内閣や、吉村知事ら維新議員が提案しているのは、配車アプリを使って、一般ドライバーが自家用車で有償で乗客を運送するサービスを指す。
アメリカ圏のUber(ウーバー)やLyft(リフト)、中国資本の(ディディ)、東南アジアでシェアを持つGrab(グラブ)やGoTo(ゴートゥー)などが提供している。
現在、国内でUberなどの配車アプリが行っているのは、タクシーの配車サービスに限定されている。

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?