フルコーラス聴かない人が大多数の世の中で

どうも。
企画書作りと打合せという、お金生まれてないのに仕事しちゃってる感だけが降り積もるWinter Againなガリバーです。
フリーランスあるある怖い。


さて、最近、サービスエリアでプレイしてバズった旧知のDJ、「DJ和」という人がいまして。

J-POPやアニソンを専門にミックス(短くつなぎ合わせること)するDJとして活動しつつ、なんとソニーのA&Rとしても働くという異色の経歴。

ていうか、ソニーさん懐が深い。

で、何でバズったかというと、サービスエリアで耳にした人たちが「なんだこりゃ!ほとんど知ってる有名曲のオイシイトコばっかり流してるじゃん!」「CD売ってんのか!実演販売っぽい!」となったわけです。

DJって既存曲のオイシイトコを流したり(ミックス)、別の曲と混ぜ合わせたり(マッシュアップ)、オリジナルのアレンジをしたり(リミックス)、前後の曲との流れを上手いこと繋げる演出で盛り上げる存在。

僕らにとってはそれは当然の状況なんですが、一般の人にとっては発見だった。
または、青春を思い出した。

そもそもサービスエリアではCDが売れやすいというのは、興行の世界の人にとって昔から秘伝の技のように囁かれ続けていました。

ドライブするから、イケてる曲仕入れて気分変えてみよーぜ的な。

正直「今さら?」と思うようなリスナーさんのリアクションがフォーカスされたんですよね。

なぜだろう。

もちろん、DJ和の戦略は素晴らしいんですが、キーワードは「有名曲のサビだけ」「通りすがりに2〜3曲聴ける」という海鮮丼状態じゃないかと思うんですね。
特上天丼でもいいけど。


一般的にヒット曲を耳にして知っているつもりでも、ほとんどの人はフルコーラス(フルサイズ)を知らないんじゃないかな。

テレビサイズや、ワンハーフって聞いたことありますか?

「イントロ、Aメロ、Bメロ、サビ、もう一回サビ」みたいな構成に曲を短くして、曲のオイシイトコだけをお届けする。

だから、「1番からフリがきいていて、ラストまでフルで聴くから染みる」といった技法があんまり機能しなかったり、変な繋がりになってしまうことがよくあって、アーティストによっては「フルコーラス歌えないなら紅白出ない」といったこともよくあったそうです。


情報過多で効率化を追求するこの時代に、じっくり時間をかけて味わう娯楽って減った気がします。

いや、減ってないな。
興味がある物だけを深掘りできたり、選べるようになったんですよね。

僕はAmazonプライム会員なので、松っちゃんがやってる「ドキュメンタル」とか観るんですけど、あれも6時間ぶっ通しで収録したものを5回くらいに分けて放送してます。

地上波なら多分30分にまとめられると思う。
それをあえて長尺で、好きな人だけにじっくり見せる。

「エンタの神様」でも、「あの面白いネタをそんなに短くしたら伝わらないじゃん」と思うことがあっても、「ここに出てる人は面白いに違いない」とか「お笑い通はフルサイズを知ってるから笑える」といった構図もあった気がします。

YouTubeでフルサイズ見れるし、見つからなければ劇場かレンタルで。

決してフルサイズのニーズが無いわけでは無いけど、オイシイトコをまとめた地上波番組があるからこそ、その宣伝効果や反面教師的にコアなコンテンツのニーズが増していると思います。


と、いうことは・・・。

僕はある若かりし日に抱いた恐ろしい疑問を再び呼び覚ましてしまったのです。

ほとんどのアーティストがフルコーラスの楽曲を作ってるけど、そもそも「無名のアーティストのフルコーラスの楽曲のニーズって何なのだろうか?」と。

マーケティングの話になっちゃうとややこしいので割愛しますが、要するに、「フルサイズよりワンハーフに凝縮しちゃった方がいいんじゃね?」と。

プロモーションとしてラジオやCMで20〜30秒またはワンハーフくらい流してもらうとします。

その目的って、良いと思った人にフルサイズを聴くために購入してもらうことですよね。
またはライブに来てもらう。

でも、これからの時代、「再生するための」CDは必要とされなくなっていく。
コレクションの1つとしては残るとして。

その代わりになっているストリーミングの再生数は、ドンドン増やす必要があります。

もちろん、物理的な問題で曲を短くする必然性は無いです。

ただ、リスナーの聴ける曲の数や選択の自由度が増した分、「一曲を長く聴きたい」より「短く沢山聴きたい」ニーズの方が上回ると思います。

好きな物を深掘りできる時代なので、オススメされた物に闇雲に時間を割くことはますます減るでしょう。

ならば、「エンタの神様」のように、短時間でも有名な人と新人が同時に並んで、自然に知ってもらう状況をいかに生み出すかが大切です。

それこそDJに有名曲と繋げてかせてもらうことも。
これは海外でも未だに根強いプロモーション方法です。

だから、ちょっと乱暴ですけど、無名のうちはワンハーフの曲を量産する方がいいんじゃないかな。

そもそも「間奏とか、そのサイズ、本当に作りたくて作ってる?」みたいなとこありますし。
自分の胸に手を当ててみると、ヒヤリとする部分もね、、あぁ、、あるね。。


知名度を上げたいと思うなら、今の時代のリスナーの嗜好に合わせることは大切ですよね。

表現者として、その中でどんな表現ができるかやってみるのもいいと思います。

「やっぱもっと長くなくちゃ表現しきれない」というのもあると思うんで、それはそれで良い発見になるかと。

ちなみにポップスが3〜5分なのは、だいたい「1番〜サビ〜2番〜サビ〜大サビ」の構成だとそのくらいになるから。

あと、著作権の利用料は5分を超えると2曲分にカウントされるので、流通の妨げにならないように5分に収めたり、逆に売れると分かっていれば5分を超えるように作ったりしてるみたいです。

時代とともに表現の仕方も変えて良いのかもしれないと思っています。

ポイズン。


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ガリバー宇田川
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