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入場料で200円をいただく理由。現実的で持続的にするための、大事な“お金”の話

地元を面白くしよう!と全国各地でイベントが生まれているのを見かけます。運営するのは、自治体や有志、企業などさまざまです。

主催者の中でも度々話題に上がるのは「お金」の話。「儲からない」「なかなかお金が集まらない」「資金不足で続けられない…」など、どこも悩みはつきません。

うだつのあがる古本市も、例外ではありません。毎回、運営資金に悩まされており、誰かが苦しい思いをしない、そして持続可能な運営方法を常に考えています。過去にはメンバーで出し合ったり、地域の協賛をいただいたり、様々な形で資金を集めてきました。それでも、どれも“持続的”な仕組みだと言い切れませんでした。

運営資金について検討するため、“そもそも、イベントはどうやってお金が成り立っているのか”をゆっくりと考えることにしました。検討を重ねた結果、次回以降の開催で「入場料」として200円を頂戴するという結論にたどり着きました。

実験的なものではありますが、この方法が今のところしっくり来ています。今回はその考えのプロセスを共有できればと思います!まずはイベントのビジネスモデルについて考察してみました。

イベントのビジネスモデルについて考える

CASE1: 出る側に利益がある場合

企業が開催するイベントは「出店費(出展費)」が主な財源になっています。例えば、
・来場者1万人
・出店費(出展費)5万円
のイベントがあるとします。

主催者は、「1万人を集客するため、5万円払って出店してもも御社にはこれだけの利益がありますよ」と口説いて出店してもらいます。実際に、出店者は「1万人来るならこれだけの売り上げが見込めるので、5万円なら納得できる」と思って参加します。出る側は主催者に「売り上げを作るきっかけ」を作ってもらっているので、そこに対して5万円の対価を払う、とも言い換えられます。

主催者はこのような出店者を集めることで、出店費を集める、会場費や人件費をまかない、利益が出るような仕組みを作っています。他にも当日パンフレットの広告掲載費や、会場でのサンプル配布などで別途出店料を設けて売上を増やすように設計しています。

主催者は、たくさんの人に来てもらうために、多くの場合そのイベントへの入場自体は「無料」になっています。それでも、出店料や広告料で利益が出ているという仕組みです。

CASE2:助成金を申請する場合

自治体が出している助成金を使ってイベントを開催するケースもあります。その場合は、多くの場合はイベント開催費1/2や2/3が助成されます。残った金額は自分たちで負担するケースが多いです。助成金を獲得するためには、過去の開催実績が必要であったり、何かしかの正式な団体である必要があるため、イベントのためのある程度の資金がある状態がほとんどかもしれません。

また、助成金の使用のためにはイベントそのものが営利目的である場合は助成されないケースがほとんどなので、イベントへの入場は「無料」であることがほとんどです。

CASE3:できる範囲でやる場合 

主催者が、企業でも、助成金をもらう場合でもないケース。例えば、私たちのような有志でのイベントは「できる範囲でやる」がメジャーなのではないでしょうか。例えば、出店料をいただき、それに加えて協賛や自分たちが足りない分を補完して続けていくスタイルです。

ずっとこのまま続けていくのか?


私たちも、今までパターン3でできる範囲で続けようとしてきました。それでも、少しずつ必要な資金が増えていく中で、自分たちだけでカバーすることへの難しさも感じていました。とは言え、出店料を大幅に上げることにも違和感がありました。そもそも、「ワンデイブックストア」のようなケースは営利を目的とした場ではないため、ケース1のような、利益が見込めるから出店する、という思考で出ている方はほとんどいらっしゃいません。“売れるか、売れないか”の世界で、私たちはうだつのあがる古本市を開いているつもりはありません。そもそも、本の方な利幅の小さい商品での取引で、多額の出店料を受け取ることは、双方にとって気持ちの良い場にはならないと考えています。

協賛に対する違和感

私たちは、前回の開催にあたり、地域の企業の皆さんから協賛金をいただきました。ありがたいことに、たくさんのご協賛をいただき、会場費をまかなうことができました。しかし、終了してから、小さな違和感が残っていました。それは、地元の企業とはいえ、ずっとお金を支援してもらうことは果たして持続的なのだろうかと。また、企業だからとお金をいただくのは、フェアとは言い切れないという違和感が残っていました。

パターン1で述べたように、開催されることそものもに多大なメリットがある場合は企業からの協賛(広告)は理にかなっているかもしれません。しかし、私たちがやっていることは、ゆくゆくは地域に何かしかの良い形をもたらす可能性があったとしても、今ここにあるものではありません。そこに対して、ずっとお金を払い続けていただくことは、果たして気持ちの良いことなのだろうかと考えました。

お金がない、大変だからなくなっていった過去

かと言って、お金がないなどの様々な壁が原因で姿を消していくイベントをたくさん見てきました。そして、この問題は日本各地で見られていると思います。ずっとずっと課題に上がっているはずです。

みんなで少しずつ出し合うという提案

そこで、次回から「入場料」をいただく形で開催できないかと考えています。200円ほどの入場料をいただいて、運営資金とさせていただきたく思います。本のイベントでなかなか入場料をいただく場はめずらしいかもしれませんが、続けるための一つの形として、提案できないかと考えています。みんなで楽しむ場のお金を、みんなで少しずつ出し合う、というのが健全なのでははいでしょうか。まだ、200円でもトントンまたは少し赤字が出る、という計算なので果たしてこれが正解なのかは不明です。古本市を通して儲けようという気はありませんが、交通費や実費はせめてまかないたいですし、メンバーで打ち上げにいけるくらいの黒字は出して、気持ちよく次回を迎えたい。

もしかしたら、今後200円ではまかないきれず少しずつ料金をあげたり、200円でまかなえる範囲で開催するなどの模索はあるかと思います。それでも、資金を理由に諦めることはできるだけ少なくして、私たちのやりたいことは実現できるように努力したいと思っています。

200円をいただきますが、私たちはそれ以上の楽しさを皆さんにお届けできるよう、変わらず企画して参りますので、何卒応援いただけますと幸いです。それでは、引き続きよろしくお願いいたします。

今回、自分たちの運営に関して書いてみましたが、他の地域やイベントではどのようにされているのか、ぜひ知りたいです。同じような課題のある方や、事例をご存知の方はぜひDMやコメントで教えていただけますと幸いです。


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