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とある日の茶室《師範と弟子》

午前10時、弟子が縁側の雑巾掛けをしているとシュサッ、シュサッという音が聞こえてきた。弟子はその音が気になり、音の鳴る方へ歩いていくとそこは師範が毎夜毎晩『海街diary』を観ている茶室だった。

茶室の障子を開けると、片膝立ちの師範が右手に持った箸で空気を掴み、上に上げるような動作を繰り返していた。


弟子「師範なにしてんのー?」
師範「、、、。」シュサッ、シュサッ
弟子「ねぇ!なにしてんの!」
師範「座敷メインのご飯屋さんでさ、服がはだけて乳頭がポロンしてしまっている女性いるだろ?その女性の服をシュッと掴みサッと上げて隠してあげるための稽古さ。」
弟子「ご飯屋さんで女性の服がはだけてポロンしてる場面に出くわしたことあるの?」
師範「ないね、あってはならないね、女性が恥ずかしい思いをするなんて考えたくもないね。」
弟子「じゃあなんで稽古してるの?」
師範「なんで?かぁ、そう言われると長くなるなぁ、、、。北京五輪で二連覇を達成した北島康介がなんも言えなくなったところまで遡るけどいいかい?」
弟子「じゃあいいや。」
師範「よし、いい子だ。」
弟子「その前になんで茶室なの?茶室じゃないとダメなの?」
師範「なんで?かぁ、そう言われると長くなるなぁ、、、。ベルリンの壁が崩壊したことを知った北島康介がなんも言えなくなったところまで遡るけどいいかい?」
弟子「じゃあいいや。」
師範「よし、いい子だ。」
弟子「片膝立ちなのは?なんで?」
師範「なんで?かぁ、そう言われると長くなるなぁ、、、。黄色いピーマンを初めて見た北島康介がカバ用の金歯だと勘違いして怯えてなんも言えなくなったところまで遡るけどいいかい?」
弟子「北島康介ってそんななんも言えないの?」
師範「言えないね。なんも言えてこれてないと聞いているよ。」
弟子「ふーん、、、。ていうか手でいいじゃん、別にわざわざ箸使わなくてもさ。」
師範「フェアじゃないだろそれじゃ。ジェントルマンはフェアじゃなきゃダメなんだ。」
弟子「フェア?それが?、、、師範にとってのフェアってなーに?」
師範「それは簡単だね、谷原章介がフェアと言えばフェアだよ。」
弟子「、、、、、。」




会話している間もずっと箸を上に上げる動作だけを繰り返していた師範。しかし、フェアという言葉が出た辺りから箸を上げて下げて上げるという動作に変わっていることに弟子は気付いた。


弟子「あれ、上げて下げて上げてない?」
師範「速すぎてそう見えるんだろう?わたしはこれをかれこれ一ヶ月はやっているからね。そりゃ速くもなるさ。ふっ、ふっ。」
弟子「いや絶対上げて下げて上げてるって。、、、、、わかった。ポロンした乳頭が不意に目に入るより自分で上げて隠して、自分で下げて目に入る方が一枚噛み感あってより興奮するからでしょ、きもっちわり〜。絶対そうだよ。ねぇ、そうだよね?」

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