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【ゲームEC】Discordが3年賭けて「口コミ」を取りに行った理由

約3年で1億人以上のユーザーを爆速獲得したPCゲーマー向けチャット(通話,テキスト)サービスのDiscordが、8月にゲームECプラットフォーム化を宣言し、日本でも10月16日から正式に稼働しました。

Discordが突然「ゲームECを始める」と宣言したときはド肝を抜かれましたね。なんせDiscordはゲーマーがゲームを購入するうえで大事な要素を既に掴めてるので

1.Discordが3年で築いたのは「口コミ」の力
2.近しいSteamとの比較
3.もしかしたらクラウドゲームも…?


1.Discordが3年で築いたのは「口コミ」の力

DiscordPCゲーマーに特化したチャットサービスです。

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( Discordユーザーはここからの説明飛ばしてOK )

キャッチの通り、競合の悪いUI/UXをゲーマー向けに改善した「通話アプリ」として売り込み新規ユーザーを獲得しているDiscordですが、実際のアプリデザインは通話だけでなく、テキストでもコミュニケーションが取りやすいように設計されています。

「今夜はTwitterのフォロワーさん数人とサクッとゲームしたい」
「来月ゲームのオンライン大会を開きたいから専用グループ作る」

というシーンで簡単にDiscord内でグループが作れ、グループ招待機能付きのURLを他SNSで共有できます。

「日頃から遊ぶ人達のグループを作りたいけど、TwitterDMだと億劫だし、LINEだと実名がバレる…」
「数百人が集まるゲーマーコミュニティを作りたいけど、運営や告知を効率よく行えるチャットサービスがない…」

のような痒い所に手が届く、今ではゲーマーにとって無くてはならないチャットアプリとして爆速で成長し、3年間という短さでユーザー数は1.3億人(2018年5月時点、公式発表)。毎日利用しているユーザー数は1900万人ほど、最大同時接続ユーザー数は820万人の数字を叩き出してます。

( ここまでがDiscord自体の説明 )
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【10/16日から日本語圏でも開始されたゲームEC画面】

こちらが新しいDiscordの起動後画面です。左上の4項目自体追加されたのもここ半年ですが、その欄に「ストア」も組み込まれました。

まだ有名なゲームは入荷されてないですが、それも増え、チャット画面からの導線はより強化されると思います。

そういえば、僕が小学生の頃はCMやチラシ等の広告を見てゲームを購入する事もありましたが、1番の購買理由は「友達がオススメしてきたから/やってるから」でした。

当時「口コミ」の距離はその程度でしたが、オンラインゲームが当たり前になってから現実の友達よりネットの友達とプレイするようになり、そんな時世オンラインではほぼ必須となるコミュニケーションツール(通話,テキスト)部分の「口コミ」を、DiscordはゲームECをやるため逆算し、3年賭けて押さえに来た。と勝手に思ってます。

ゲームECを始める前までの3年間、DiscordにはオモチャのようなプレミアムプランNitro(月額490円)しかなくどうマネタイズするんだと思ってましたが、ゲームPF宣言でひっくり返り。でも本当にによくそんなリスク取れたなぁと…


2.Steamとの比較

次はDiscordがそんなリスクを冒してでも参入したかった「ゲームEC」の市場で、一番近しい存在のSteamと比較していこうと思います。

引用(Steam spyを利用したSteam2017年度の分析結果)

Steam(2017年分の分析)
・リリースから15年
・2017年の売上高は43億ドル(約4,600億円)、前年の35億ドル(約3800億円)から22%増加
・2017年末時点のプレーヤー数は2億9100万人、そのうち6300万人は2017年に新たに加入した新規ユーザーで、売上高の推移とほぼ同じ22%の伸び
・直前の2週間のアクティブユーザー数は5700万人、Steam全体におけるリテンションレートは減少傾向。
Discord(2018年5月時点、公式発表)
・リリースから3年
・ユーザー数は1.3億人
・毎日利用しているユーザー数(DAU)は1900万人ほど、最大同時接続ユーザー数は820万人。

Steamは「ゲーム業界のAmazon」のようなもので、DiscordがゲームECを始めたからと言ってSteamオワタと言うのは流石に早まりすぎかと。

が、Discordが持つソーシャル性と成長率で、Steamと遜色ない/超える購買体験,アフターフォローを提供でき、かつまだ公開されてないですがDeveloperからしたら重要な売り上げ手数料がSteamの3割よりも低ければ全然喰えるはず。

むしろ僕は、数年内にこれをやれるDiscordがSteamを追い抜いてると思います。


3.もしかしたらクラウドゲームも…?

「口コミ→購買」だけでなく、Discordはその先の体験ゲームプレイも見据えてるのではないか?という予想がされてます。

クラウドゲーム云々に関しては↑の記事で書いてますが、要は「高いパソコンを買わなくても、重い処理はデータセンターに任せて様々なデバイスからハイエンドなゲームにアクセスできる」というもの。

先日この領域で、GoogleがChromeからアサシンクリードをプレイできる「Project Steream」なるものを発表して話題になり、その技術にはWebRTCが使われてると。

そしてブラウザやElectronがクライアントのDiscordも同じくWebRTCを使用しており、更にWebRTCのエキスパートが揃っているうえで「口コミ→購買」の流れを押さえにきてるので、そのまま「→ゲームプレイ」の流れに持っていくのは自然な流れかと思います。

これからDiscordの一挙手一投足には目が離せませんね…。楽しみです。


〇おまけ -参考記事-

・Discord CEOへのインタビュー 日本語訳

・エンジニア目線の「Discord Game Store」記事

・統計学ツール「Steam Spy」を利用して見たSteam 2017のデータ


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