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【サブスク】ゲームの定額課金とesports

定額課金とは、AmazonPrime,Netflix,Spotifyのように月や年に1度支払いをすれば、次の支払いまでの期間サービスを受け続けられる仕組みです。

IT業界ではセールスフォースのSaaSから始まり、2CではAdobeが2012年から大批判を受けながらも買切りから定額制の舵切りに成功し、そして今ようやくゲーム業界でもその波が来ようとしています。

そしてそのゲーム業界で始まりつつある定額課金は、ゲームではどう活用されてるのか、FortniteとRainbowSixSiege(以下:R6S)が既に行ってる施策からそれぞれ整理して纏めていきます。(↓「定期課金,サブスクとは」の要約ドキュメント)

【目次】
1.大事なのはストーリー作り
2.Fortniteはストーリー作りを内製
3.R6Sはストーリー作りを外部委託
4.定額課金やサブスクは根付くのか


1.大事なのはストーリー作り

タイトルでは「定額課金」と大まかに括っていますが、定額課金もサブスクリプションモデルもどれも共通してるのは、単発買切りでなく「継続的に課金させる」支払い方法だという事です。

例えば買切りゲームで、都内にいるなら気付いた人もいるかもしれませんが、秋は沢山ゲームタイトル発売されるのにCoD:BO4とRDR2の広告の掲載量だけ異常だったはず。理由はその2タイトルは旧来の買切り型で、「大勢に認知されて大勢に買われる」事が目的で発売前後が勝負だからです。

しかし逆に、今回取り上げるFortniteとR6Sは無料または安価でゲームを配り、一部から定期的に課金してもらうモデルです。その場合だのゲーマーの元に製品がDLされてからが勝負になります。

「既存のユーザーを”離脱させないよう”良コンテンツを更新→口コミでゲームの良さが広まりユーザーが増える→そのうち一部が課金する→その資金でコンテンツ投資...」のサイクルがサブスクリプションモデルの継続させる仕組みです。

そしてその飽きさせないコンテンツ(ストーリー)作りは、Fortniteは内部に、R6Sは外部にもってます。


2.Fortniteの定額課金とストーリー作り

先日ユーザー数2億人のユーザー数を突破したと発表されたFortniteは基本無料でプレイ出来るフリーミアムモデル(パズドラやモンストと同じ)で、マネタイズはスキンの購入と、1シーズン(10週間)で切り替わる約1,000円の定額課金「シーズンパス」です。今回は後者のシーズンパスの方に注目します。

このツイートはFortniteのイベント「ワンタイムイベント」に対してのツイートです。

Fortniteでは1シーズン毎にテーマが決められており、この記事で話題にするシーズン6では「マップ上に巨大なキューブが現れて湖まで向かい溶ける→浮遊島が現れて湖まで向かう→日本時間3時に浮遊島が爆発して白い世界に飛ばされる」の流れのイベントが催され、このイベントの2ヶ月間、SNSはFortnite内イベントの話題で連日大盛り上がりでした。

見て分かる通り、ゲーマーが「継続的にプレイしていたい!」と思わせる惹き付けられるストーリーを、Fortniteは自ゲーム内で作り内製しています。
ですがFortniteのようなストーリーの内製はリソース的にそう簡単にどこもが出来るものではなくありません。

最近でいえばストーリー内製型のFF15がストーリーの続編追加を止めました。買切り以降の2年間定額課金者にのみ続編のストーリーを追加していたのですが、田畑Dが辞めたのが理由だけで無く、AAAタイトルを前にして多大なコスト(無形資産の減損損失等 3,733 百万円)に売上が見合わなかったのでしょう。


3.R6Sの定額課金とストーリー作り

Fortnite以外のオンラインゲームでは、ストーリーを内製せず大抵esportsに頼ってストーリー作りをしてます。最近見てて上手いなぁと思うのがR6Sです。

【余談】思うに言葉を選ばず言えば、esportsはパブリッシャーや周辺産業からしたら「簡単にストーリーを持ってきてくれる存在」。Fortniteのイベントようにリテンションを生むストーリーを、UbiSoftは内製せずとも外部のプロ(ESL)に委託する事で作ることが出来る。当たり前体操を述べましたがこれもesportsの側面,役割だと思ってます。

そして買切りで始まったR6Sももう3年、Ubiはシリーズ新作を作ることはせず、スターターエディション(2千円)でハードルを下げユーザーを増やし、一部ユーザーから継続的に遊んでもらう定期課金のスタイルに舵を切り、↑の画像の通りユーザー数は伸び続け4,000万人、アクティブ率は驚異の47%。

半年に一度プロリーグが開催され、年に一度更新される3,888円のシーズンパスの告知がユーザーのテンション最高潮の世界大会決勝戦の直後に行われる流れです。公式のSNSアカウント運営も他タイトルと力の入れ具合が違います。

【売上予測】4,000万ユーザー×YAU47%×課金率0.5%(仮)×3,200円(Steam&クレカ手数料)=年売上30億円


4.定額課金やサブスクは根付くのか

FortniteやR6Sだけでなく、Origin(BF5,FIFA),Dota2,PUBG,etc…でも定額課金やサブスクリプションは採用されてますが、デバイス革命と比べると僕はまだまだ根付くのに時間がかかると思います。

理由はデバイス革命はユーザーが主体なのに対して、ビジネスモデルの改革は人(株主)が絡むからです。FortniteやR6Sは見ての通り成功しましたが、先日も発売から数日の売上で世間に称賛されたCoDやRDR2のようなタイトルをいきなり「サブスクで安価に発売します」と宣言したら株主からの反発、株価に影響しかねないからです。

ゲーマーにしても、旧来の買切りに慣れてるので、既存の買切りの方が安くなる場合新しいモデルには不満が出るはず、定額課金を受け入れるには恐らく時間がかかるでしょう。コンテンツ次第ですが。

「ゲーム×定額課金」は追い続けたいので随時更新します。

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