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虹ヶ咲OVA『NEXT SKY』あらすじ・感想

虹ヶ咲OVA『NEXT SKY』を振り返りながらの感想です。私なりの分析もあるので、読んでいただけると嬉しいです。


OP

通常ならOPに使われる尺ではR3BIRTHの新曲「Feel Alive」のお披露目。TVアニメで使用した風景を振り返る映像が流れます。

この後、ライブ中のR3BIRTHから物語が始まると思うと、ライブシーンを付けてほしかったとは思います。あくまでTVアニメの延長で作られた作品なので、まぁライブシーン2本分のカロリーは重いんですかね。

R3BIRTH

遂に始まった本編。劇場で流すことを意識してか、上空からライブ会場を見下ろす仰々しいカットから始まりました。劇場の音響機器も相まって謎の迫力がありましたね。
そして満を持してR3BIRTHの3人が登場。TVアニメでは拝めなかったユニット衣装に身を包んでいます。嵐珠、ミアのMCに続いて栞子のMC…というより自己紹介が行われますが、その固さにファン一同も一瞬呆気にとられます。無事に歓声は返ってきましたが、栞子自身、ファンの反応に戸惑ってしまいます。

「ラブライブ!虹ヶ咲学園スクールアイドル同好会 NEXT SKY」PVより🄫2022 プロジェクトラブライブ!虹ヶ咲学園スクールアイドル同好会

長々と畏まった挨拶をする栞子が可愛い点は言うまでもないですが、このシーンはアイドル三船栞子を短時間で表しているシーンでもあります。というのも、TVアニメの栞子は「三船栞子がどういうスクールアイドルなのか」ではなく「三船栞子がスクールアイドルになるまで」を焦点に当てられていたので、スクールアイドルや姉・薫子への憧れは伝わってきましたが、栞子のアイドル像が不鮮明でした。虹ヶ咲のメンバー主役回、特に1期は自身のアイドルとしての動機・在り方やその想いと向き合っているので、アイドル栞子の主役回を行うにはそれらを明らかにしなければなりません。
これらの回答を、力業でもやっつけでもなく1分足らずで露にしました。本編は30分も無い作品なので、テンポよく問題提起ができて偉いですね。

帰国

場面は変わって羽田空港。ようやく虹ヶ咲学園スクールアイドル同好会の登場です。忘れている人の為にしずくが2週間の短期留学であることをおさらいしてくれます。皆が歩夢の到着を心待ちにする中、昨日のライブが気になってしまう栞子。自身にはスクールアイドルの適性が無いのかもしれないと吐露してしまいます。適性が無いんじゃなくて、それが君の個性だと励ましてあげたい。
そして皆さんが物語のメインになると思っていた歩夢の帰国とロンドンからの留学生・アイラの登場です。まぁあんなPV見せられたらこっちがメインだとも思いますよ。クソデカクラッカーも出番終了です。

「ラブライブ!虹ヶ咲学園スクールアイドル同好会 NEXT SKY」PVより🄫2022 プロジェクトラブライブ!虹ヶ咲学園スクールアイドル同好会

ここではスクールアイドルになった後も栞子の「適正」に対する考えが変わっていないことがわかります。最終回では凧揚げ同好会の設立を2つ返事で許可するなど柔らかくなった印象を受けましたが、やりたいことへの挑戦を肯定するが、それはそれとして適正の有無はあると考えている訳ですね。そして自身のことになると厳しく考えてしまう。悩む栞子には悪いですが本当に可愛いですよね。

歓迎

見慣れた部室でアイラを歓迎する一同。和気あいあいとしながら、アイラの真面目な一面が見られます。そんな彼女と栞子は似ていると嵐珠は指摘します。この時点で栞子自身はあまり感じていませんでしたが、後に嵐珠に指摘された部分とは別の共通点を見出すことになります。
そして、せつ菜の提案から「アイラちゃんスクールアイドル体験プロジェクト」がスタート。ここからはラブライブ!シリーズゆかりの地に足を運ぶことになります。

「ラブライブ!虹ヶ咲学園スクールアイドル同好会 NEXT SKY」PVより🄫2022 プロジェクトラブライブ!虹ヶ咲学園スクールアイドル同好会

アイラがどんな女の子なのかを重点的に伝える為のシーンであり、上述通り栞子に似た真面目さを持っていることをアピールすることで、この後の栞子との関係が深まることを示唆しています。
つまり、ここまでで既にイベント発生条件をクリアしているわけです。この後にサービスシーン交えながら丁寧に話を進めていくのに最高のテンポですね。
話に関係ないですが、かすみとアイラのやり取りに苦笑する歩夢、最高。苦笑いをする上原歩夢からしか得られない栄養分がある(1期2話、2期5話など)。

秋葉原

まずは侑、歩夢、愛、璃奈の4人による秋葉原の案内が始まります。
行先はUTX(実際はUDX)、神田神社など無印所縁の場所に赴きます。道中、サンシャインでお馴染みの沼津のフェアが開催してるCHABARAに立ち寄り、みかんジュースを飲んだりします。私はどちらも1話しか見たことがありませんが、それでも分かるサービスシーンですね。
さらに侑の要望からメイドカフェ(CURE MAID CAFE')でメイド体験をすることに。CURE MAID CAFE'はラブライブ!シリーズとコラボ(2023年6月17日~8月16日)しているお店なので宣伝も兼ねてでしょう。

「ラブライブ!虹ヶ咲学園スクールアイドル同好会 NEXT SKY」PVより🄫2022 プロジェクトラブライブ!虹ヶ咲学園スクールアイドル同好会

侑ちゃんのメイド服が見られる!やった!!なんて喜んでいると…愛さんが!!!!!眼鏡をかけている!!!!!顔面偏差値高すぎ金髪ポニテ眼鏡メイド!!!!!ありがとうございます!!!!!(愛さんに夢中になりすぎて4回目位まで璃奈ちゃんの猫耳に気づかなかったのは内緒。許して。)

お台場

続いてしずく、エマ、せつ菜の3人はお台場観光。お台場ゲーマーズではロンドンにはない沢山のスクールアイドルのグッズを目にして興奮するアイラ。表情もちもちで可愛いね!その後、屋形船を貸し切った嵐珠と合流。中では彼方が料理を準備してくれています。用意するのはあくまで屋形船までで料理は彼方に一任しているところが、嵐珠の同好会の皆ともてなしたい気持ちが表れていて良いですね。

このパートではニジガクグッズの逆輸入が確認できます。栞子とミアのアクリルキーホルダーや、ニジガクボックスぬいぐるみなど、微妙にTVアニメでは出ていないものが見られて、同好会の人気が高まっていることがわかりますね。

渋谷

最後はかすみ、果林、栞子、ミアによる渋谷散策。渋谷はスーパースターで使用しているそうですね。
かすみやミアは食べ歩きをしたがっていますが、ここでは生徒会長・栞子の目が光っていますので買い食いは禁止です。買い食いしたさに地団駄を踏むかすみんが若干デフォルメされてて可愛いです。
スクールアイドルの皆が渋谷にいると人が集まってしまうと心配するアイラですが、心配したとおり読者モデルもしている果林を筆頭にファンが集まり始めます。栞子のもとには冒頭のライブに来ていたファンの女の子2人が。前回のライブの感想を栞子に伝えると、「いただいたご感想は今後のスクールアイドル活動…」と咄嗟に出たとは思えないほど丁寧なお礼を伝えます。これにはファン2人はまた呆気に取られてしまいますが、流石栞子のファン、すぐさま笑顔で返事を返します。

「ラブライブ!虹ヶ咲学園スクールアイドル同好会 NEXT SKY」PVより🄫2022 プロジェクトラブライブ!虹ヶ咲学園スクールアイドル同好会

今まで学外での同好会の人気が見えづらかった本作ですが、ファンとのふれあいでその様子が伺えました。栞子とファンの交流というのも、アイドル像が不鮮明=学外での印象が捉えづらい栞子の掘り下げとしてよく機能していたのではないでしょうか。

THEキャラCAFE

各グループの案内が終了し、アイラちゃんもご満悦の様子。しかし、肝心のスクールアイドル活動をまだしていないので、残りはライブに向けて練習に励むことに。ガーデンシアターなど校外で開催できれば喜ばしいですが、三船生徒会長いわく校内行事の一環では難しいと。ついでに屋形船を貸し切った嵐珠は反省文ポイント+1。

「ラブライブ!虹ヶ咲学園スクールアイドル同好会 NEXT SKY」PVより🄫2022 プロジェクトラブライブ!虹ヶ咲学園スクールアイドル同好会

そういえば屋形船の貸し切りの時には旧生徒会長の中川菜々様が居られましたが…1期3話では屋上ライブ後に逃げ出したり、10話で音楽室使用権をネタにピアノを弾く侑を脅かしたりと、優木せつ菜さんの時は寛容になるんですね。一方で同好会がうまくいっていない頃や、合宿時の練習の時には真面目に取り組む様子が見られます。このオンオフの切り替えも彼女の魅力ですね。好き。

練習

いよいよアイラとのライブに向けた練習開始、西棟屋上での柔軟や、交差点付近での走り込みなど、いつもの練習風景が見られます。ダイバーシティ東京のフェスティバル広場で休憩する歩夢は栞子にきっかけとなったせつ菜のライブを語ります。ついでにユニコーンガンダムノルマ達成です。すると嵐珠と同じように歩夢もアイラと栞子に近いものを感じていたと明かします。対して栞子は自分は固いし愛嬌も無いしと、ライブの時から悩んでいたことを僅かながら吐露します。ここでは歩夢に励まされますが、後にアイラと向き合うことで、自分と向き合うことにもなります。
そして夜、ライブを控えたアイラはロンドンの友人・ペネロペと通話をしていますが、なにやら良くない様子で…

「ラブライブ!虹ヶ咲学園スクールアイドル同好会 NEXT SKY」PVより🄫2022 プロジェクトラブライブ!虹ヶ咲学園スクールアイドル同好会

このパートはTVアニメでは非常に少なかった、しおぽむ民への貴重な供給ですね。憧れからスクールアイドルになったという二人の共通点や、アイラを見て栞子を思い出す歩夢、栞子にとって悩みを打ち解けられる頼れる先輩歩夢というお互いの存在の大きさが感じられます。

ライブとその後

そしてライブ当日。学園の講堂(東京ビッグサイトのレセプションホールだったかな?)でアイラを迎えた同好会のライブが始まります。アイラもおそろいの衣装で憧れの歩夢と同じステージに。焼き菓子同好会の3人や演劇部部長などお馴染みの面々もサイリウムを振って応援。ここの演劇部部長カメラ目線でウインクしてて草。
ライブも大成功し、明日帰国するアイラへスクールアイドルを頑張るよう応援する一同ですが、なにやらアイラの歯切れは悪く…それに気づいた歩夢は三船生徒会長に相談します。

このライブがダイジェスト形式で飛ばされたことに不満を感じる方も少なくないですが、30分のOVAかつアイラというイレギュラーもいる中でライブシーンはおろか、音源も難しいのでまぁ妥当な判断だと思います。
そしてここでも歩夢が栞子を信頼している様子が伺えます。

早退

授業でアイラの帰国を見送ることができない同好会一同。昼休み中、栞子は歩夢に頼まれたアイラについての相談を解決する為、アイラの通うロンドンの交流校に連絡をします。すると、アイラの出したスクールアイドル部設立の申請が通っていなかったことが判明します。あの様子はスクールアイドルを諦めていたから。そう気づいた栞子は「所用につき早退します!!」と生徒会室を後にします。状況の読めない優木せつ菜のオタクこと副会長は呆気にとられ、その背中を見送ります。そういえば右月と左月は出ませんでした。
真相を知った栞子は歩夢を通して同好会に事実と場所を伝えます。ここは果林いわくお人好しの同好会。全員で早退を決意。アイラのもとへ向かいます。
一足早くアイラと会った栞子。スクールアイドルを止めようとしていることを問うと、アイラはその理由を打ち明けます。そしてアイラと向き合ったことで、自身とアイラが似ている点を見出します。諦めが早いこと。決めつけてしまうこと。ですがその回答も自身と同好会が既に持っています。

「ラブライブ!虹ヶ咲学園スクールアイドル同好会 NEXT SKY」PVより🄫2022 プロジェクトラブライブ!虹ヶ咲学園スクールアイドル同好会

早退して授業をサボるなど、栞子にとって初めてのことでしょう。ですが、フライトの時間に間に合うかどうか、それ以外のことは気にせず、真っ先にアイラのもとへと向かうその姿は、誰かの為に頑張れる栞子を象徴しています。嵐珠が帰国しそうなときには一度同好会に相談していたことを考えると、成長したと言えるでしょう。

覚醒

栞子がアイラを連れてきたのは先ほども登場したダイバーシティ東京のフェスティバル広場。同好会の面々が集まり、最初は上手く行っていなかった事、ここでせつ菜のステージを見た侑と歩夢によって今の同好会が始まり、築き上げられたことを伝えます。栞子自身もスクールアイドルに対する適正に悩まされていることも。ですが今があるのは諦めなかったから。限界を決めないこと、その過程を思いきり楽しむこと。なにかを理由にやりたい気持ちを抑えてはいけない。それが同好会がこの地でアイラに伝えたかった事。そして何より、その夢を一緒に追う仲間の存在があることを伝えたかったのです。歩夢の言葉に励まされた栞子は、アイラに限界を決めない、好きなことを楽しめる今の自分を見せつける為、リボンをほどきポニーテールで結びなおし、あの日の優木せつ菜と同じ場所に立ちます。

ここでも栞子のらしからぬ行動が光ります。ポニーテールはもちろん、階段は一段飛ばしと、楽しもうとする姿勢がその動きに表れています。
このシーンはアイドル三船栞子が完成するシーンではありますが、個人的注目ポイントは優木せつ菜が抱えているものが露になったことです。視聴者の中で菜々とせつ菜に対して好意ばかりでない人が少なからずいることは私も認知していました。特に同好会を廃部にするという選択には、未だに納得がいかない人もいるでしょう。
余談ですが、私はこの決断が間違っているとは思いません。設立間もない同好会が最低人数の5人を切ってしまった、自身が設立した部活は自身がけじめをつけるべき、この公的理由と私的理由の2つに自身に対する憤りと皆にはスクールアイドルとして新たに出発してほしいという思いが加わり、強引な廃部に至ったと考察しています。この頃は部長だったので、自身で決定することにも道理があります。
話を戻すと、この騒動の罪の意識に今も悩まされていることが明らかになりました。まだ1年も経っていないので、当然と言えば当然ですが、2期11話で嵐珠にラブライブに出場できないことを申し訳なさそうにしている辺りからも、あと10年は引き摺りそうという印象を受けます。ですが、その失敗から今の同好会が生まれ、その活動からアイラのような次の世代に繋がりました。それでもせつ菜は、菜々は自分を許そうとしません。だからせめて、周りやファンは彼女を認めてあげなくてはならない。今回のせつ菜の姿から、そう感じてもらえる人が増えることを願っています。

Go Our Way!

決意を新たに覚醒した栞子によって、新曲『Go Our Way!』のお披露目。ニジガクお馴染みの侑ちゃんフィルター(今回はアイラちゃんかな?)によりライブが始まります。
栞子の新曲…と思わせR3BIRTHの新曲…と思わせ同好会の新曲。しかし特徴的なのはセンターが栞子ということ。基本ソロまたはグループで活動している同好会なので、全体曲そのものが少なく、故に基本は歩夢がセンターと決まっています。ですが今回の立役者は三船栞子。彼女を中心にアイラに同好会の全てをぶつけます。
そのライブシーンはまさに同好会史上最高峰のクオリティ。CGは1期から2期で急速に成長しましたが、またその上を行く完成度(には見えました)。MVパートはR3BIRTHの3人が住むシェアハウス?のような場所に集まっていく同好会が描かれていますが、流石、虹ヶ咲学園スクールアイドル同好会。圧倒的ビジュアルに幸福感で心が満たされます。ラフな部屋着に眼鏡をかける栞子、冷蔵庫を除く姿がどこか妖艶な嵐珠、互いに見つめ合う今にもおっぱじめそうな夕焼けのミアと璃奈など見所盛り沢山。一番好きなのは「一緒に行こうよ Go Our Way!」でイェーイってしてる栞子です。可愛すぎる。
曲そのものも今どきのJ-POP風でテンションを上げやすい曲です。同行させた関係ない友人にも好評でした。5chサラウンドに対応した構成で、映画館で聴くにはもってこいの曲です。ただ、本編の画面がTVアニメのアスペクト比(16:9)なのに対し、ライブシーンだけ2期9話の『stars we chase』ようにシネマスコープ(2.35:1)をテレビサイズの中で採用しているため、映画館だとライブシーンが小さくなってしまっています。このパートのみ全画面で流したりできませんかね。

【TVCM】『ラブライブ!虹ヶ咲学園スクールアイドル同好会 NEXT SKY』 Blu-ray 8月30日発売告知より🄫2022 プロジェクトラブライブ!虹ヶ咲学園スクールアイドル同好会

ポニーテールという髪型はもちろん、全体曲とはいえセンターが栞子の曲であの曲調、へそ出しコーデや、曲に合わせてDJ風のパフォーマンスをするなど、アイドル栞子の皮がひとつむけたことがよく感じられるライブシーンとなっています。また、歩夢にとってのせつ菜のステージが自分にとっての姉のステージと表現した栞子が、このステージに立つということは、2期8話で薫子と同じ紫苑女学院のステージに立った「アイドルになる栞子」と重なるものがあり、「アイドルになった栞子」を強く感じさせられます。
全員の配置がそれぞれグループ毎に別れていますが、グループ活動を経ることで同好会としてのまとまりが強くなっていく様子が感じられ、衣装が黒+パーソナルカラーというカラーリングによって、その上でそれぞれのカラーは健在という同好会らしさと成長が表れていると言えるでしょう。

決意と旅立ち

同好会圧巻のライブを見たアイラ。その直後、ペネロペから諦めたくないという連絡が届き、スクールアイドルを諦めないことを決めたアイラは、友人とスクールアイドルに励む決心をしました。ユニコーンガンダムも覚醒カラーでお祝いしています。
その姿を見て安堵する同好会一同。早退は早退なので、このままアイラを空港まで見送ることになりますが、同好会皆での反省文の提出も決定しました。かすみは生徒会長顕現で揉み消すよう頼みますが、そんなものは無いときっぱりお断り。嵐珠は屋形船の件も合わせて2枚提出するようにと言われ、苦い顔をする嵐珠でひと段落します。

スクールアイドル志望の女の子と、応援する友人、また二人の髪色からもアイラとペネロペの関係が歩夢と侑の関係に相当していることがわかります。そしてあの場所でアイラにスクールアイドルをすることを決意させた栞子は、あの時の歩夢にとってのせつ菜だと言えるでしょう。そして1期3話を彷彿とさせる彼方の「この後はどうするの?生徒会長~」の言葉。つまりこの物語は、中川菜々の後を継いで生徒会長になり、優木せつ菜と同様にスクールアイドルの一歩を踏み出した三船栞子が、スクールアイドル兼生徒会長の三船栞子になるまでの物語だったということです。そして、せつ菜以上の真面目さが彼女らしさであり、2人目の優木せつ菜ではなく、栞子をアイドル三船栞子たらしめるものであると気付かせたのです。

ED

EDはいつも通り、めばち先生の優しいタッチの絵によるものですが、今回は侑が各地で同好会メンバーの写真を撮るというムービー。現地の実際の映像とめばち同好会の写真が用いられおしゃれどMAX。そしてこの時の写真がブロマイドとなったものが入場者特典と。そら1週に4周もするはめになりますわ。

アクアシティお台場の階段など、結構人の多い場所でも撮影してるので、実際に撮影したい人は平日の朝などに行く必要がありますね。行ってきます。
あとラストの全員集合写真も、ジャケ絵だけじゃなくてブロマイドにしろ。してください。

エピローグ

後日、同好会に待っていたのは一斉反省文会。飽きる嵐珠に、嵐珠には反省文を書く適性があるというジョークを言う栞子からは、アイドルとして一皮むけただけでなく、人としても柔らかくなったことが分かります。そしてロンドンからはアイラがスクールアイドルをする動画が届きます。結局、学校の許可は下りませんでしたが、動画投稿によるスクールアイドル活動を決めたのでした。海を越えた先にスクールアイドルを広めた、虹ヶ咲学園スクールアイドル同好会。そのスクールアイドルが好きという気持ちがまた広がっていくのでした。

親友の嵐珠にすら畏まった態度で接していた栞子が冗談を交えて会話できるようになった姿からは著しい成長を感じざるを得ません。この時、かすみが「塩対応のしお子も可愛いけどね~」と発言しています。わりかし自由奔放なかすみにとって徹底している栞子は対極的な存在とも言え、時折かすみの要望を跳ね除けるやりとりも見られますが、そんな栞子も好きという関係性が垣間見えて喜ばしいです。
その璃奈ちゃんボード、反省文を書いているタブレットでは…?

エンドロール

デフォルメされた同好会とロンドン組が可愛いです。曲も『わちゃごなどぅー』タイプの曲で盛り上がります。
あとはノーコメントです。ノーコメントです。

そして…

夕暮れ時、はんぺん一匹のみの同好会の部室の机に置いてあるのは「SCHOOL IDOL GPX」と書かれたメッセージカード。果たして在学期間残り1ヶ月少しの3年生に何が待ち受けるのか…

総評

ロンドンへ短期留学した上原歩夢とそのファンでありスクールアイドルを志す女の子という、他のラブライブ!なら物語の中枢を担うグローバルな要素をあくまできっかけとして起用し、TVアニメ本編で注目される回が少なかった栞子を完全に主役に置いたストーリー構成は流石と言わざるを得ません。実際、30分という尺にも綺麗に収まる内容となっていまし、本作は従来のラブライブ!シリーズへのアンチテーゼ的な側面も持ち合わせているので、同好会海外案件をすっとばす姿勢も頷けます。これらをクリアしながら、あくまでTVアニメの補完となるような仕上がりはまさにOVAのお手本でしょう。また、尺や構成的にはTVアニメ1本分と変わらない製作だと感じられますが、作画はトップレベル。映る顔の9割が顔面偏差値を振り切っていて(残りの1割は遠方からの省略顔)、OVAとしての価値が表れていると思います。

悪いところは値段。劇場はたかが30分に1,500円払わせるぼったくり仕様。子供向けの映画だって1時間2,000円=30分1,000円だぞ。またBlu-rayも7,700円と驚き価格。恐らくキャスト出演の特典映像が付いているせいなのですが、それをなくして1期2期の1巻と同じ値段に直してほしい。ニジガクというか業界の風潮が悪なんですが、全員が全員キャストやそのライブに興味あると思わないでほしい。
そしてエンドロール。先ほどは伏せましたが、あの参加企画は2度としないでいただきたい。どうして同好会の皆の活躍を見て感傷に浸っているときに、無関係なオタクの決意表明を見せられなければならないのですか。その時間でもう一本ライブシーン作れ。100円でもいいからその分の金返せ。

しっかり悪いところも書きましたが、5点満点中4点は付けられます。というか内容だけなら5点満点。

そして不安な点が劇場3部作。
本作公開後に発表された新作ですが、恐らく、というか十中八九「SCHOOL IDOL GPX」に関する物語でしょう。GPXというくらいだから大会なのですが、私は同好会メンバーの顔に惹かれただけでなく、「規模も成果も評価も関係ない、好きなことを全力でやれば良い」という方針に心惹かれたので、ラブライブのような大会の場に出る為に紆余曲折を経る姿は望むところではありません。私は『ラブライブ!』ではなく、虹ヶ咲学園スクールアイドル同好会が見たいのです。

最後はあまり関係無い話になりましたが、入場者特典は全部集めたし、Blu-rayも買ったし、満足度で言えばとても満足しています。
これからもアニメ『ラブライブ!虹ヶ咲学園スクールアイドル同好会』、もとい横田氏の絵柄のグッズにはお金を落とし続けたいと思っているので、劇場3部作は上記の不満と不安が解消されていることを願うばかりです。

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