on the pavement vol.16 の下書き

今回の収録に関して、下書きのテキストも共有し、アクセス可能にします。
ではどうぞ。

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「きらめく拍手の音」

まず、めちゃくちゃいい本で、かつ難しいところがなく、ろう文化や手語に関してもわかりやすく説明されていて、皆にお勧めできる本。
(以下、本の表記に合わせて、手話を手語と表記する)

手語の文化の話はよかった。音声言語で表現できる名前でなく、手語名をつけるところの話は素直に興味深かった。全体に、ボラさんの卓越した観察眼、描写力とバランス感覚で手語を取り巻く状況を鮮やかに描いている。多分、そんなに言葉にこゆいがない人ですら、ぐいぐい読み進んでしまうのではないか。

その上で、この本の主題は「少数言語」の使い手の描写と、バイリンガルの悲しみみたいなところにありそう。少数言語についてはまた他の本も読みたいと思っているが、主語の場合その人のアイデンティティを形成する言語としてすらみなされない現実も少しだけ描かれている。そのあたりの認識が少しでも変わるといいと思う。

コーダ(CODA)という人々について知った。

本書で描かれる、子供の時からの「通訳」係の苦しみは、音声言語と手語の場合はまたさらに複雑なのかもしれないが、例えば移民や難民で子供だけ現地語を話せる場合とかに似ていそうに思う。また、あれだけ手語ユーザとして苦しんだのに、それでも主語を話す人々に近親感を覚えてしまう感情を描写し切るのも著者の力量を感じる。

バイリンガルであることは単一の言語に自分のルーツがある人よりも、いろいろな難しさを抱えるのだと思う。その理解の一端を持てたのは意味があった。

言語から離れて障碍者とかマイノリティ?という話をすると。

僕は近しい知人に障碍者の方がいないため、わからないことが多いというのが正直なところだけど、例えば「左利きであること」ひとつとっても、なんとなく社会に阻害されている感じを覚えたりする場面があるのかもしれない。僕は母も兄も左利きで、むすめもおそらく左利きなんだけど、左利きであることに関し心ない言葉を投げかけられた経験はある。

当事者でないとわからないことがたくさんあるので、僕は理解をしたフリをすることだけは絶対にしたくない。ただ、知りたいことは知りたいし、僕が知らないことについて指摘を受けたらちゃんと受け入れる人間になりたいなと思っている。

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この本の感想を音声だけで残すことに疑問を覚えたんで、この回については収録前のメモだけでもnoteかなんかに置いとこうかな。ということでこういう形に。

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