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Duolingo の攻略記事・あるいは徒然としたコース感想記

語学してますか?(挨拶)

ここ2年近く Duolingo という語学アプリをやっているのは、私の知人なら周知の通りだと思う。ここ数日背中をやっておりPCも触れていなかったが、インターネット活動のリハビリがてら Duolingo のおすすめ用途やコースの感想を書き散らしておこうと思った。ただ、筆者 (@udzura) の環境は主に iOS 版、時々PC版という感じでやっているので、環境によっては実装されていない機能も紹介しているのはご留意を。

ちなみに私は Duolingo さんと何の関係もないいちユーザですが、もし気に入ったら この招待リンク から Duolingo に登録していただけると喜びます。

Duolingo を楽しむためのTips

最初にいくつか、初めてDuolingoをする人がもしかしたら見逃したり、誤解を受けそうな箇所を補足したい。

英語コースのレベルが低いって?

この感想は筆者の周りのDuolingoを始めた人からよく聞く。それを聞くたびに、ちょっと違うんだけどな〜という気持ちになる。そのちょっと違うポイントをここで言語化したい。

まず、Duolingoにとって英語学習コンテンツは重要な位置づけである(もともと、Duolingoは中南米のスペイン語話者の人たちが無料で英語を学ぶために作られたそうなので)が、全てではない。また、Duolingoが効いてくるフェーズはゼロイチの学習なので、確かに日本ですでに英語教育を受けた人にとってはレベル感が物足りなく感じるのかもしれない。

ということで、英語コースが物足りない方は、ぜひ日本語話者あるいは英語話者向けの他言語コースで、できればゼロイチで言語習得にチャレンジしてみてほしいというのが一つある。今はDuolingoは大進歩していて、日本語で韓国語と中国語が学べる。各言語おすすめコースは後述。

で、一方で、その人の英語力によるが、今のDuolingoの英語コースは通常のLesson以外にも楽しみ方があり、もう少し広いレベルの人にとって有益なんではないかと思っている。

まずStories(ストーリー)。これはやや短めの対話形式のコンテンツを用いて語学練習をするものだが、意外と内容が面白い。

そして、単に一問一答形式で読み解く形式に加えて、最近はリスニングモード、スピーキングモードが全ストーリーで実装された。リスニングは会話内容のうち半分の字幕が非表示になり聞き取る必要があるモードで、スピーキングは会話の一部を音声入力する必要があるモード。

ストーリーはかなり内容が豊富なため、特にリスニング教材としてわりと魅力的なように思う。

また、XP Ramp Up Challenge(XP増強チャレンジ)という仕組みもある。これは、短時間で16問程度の問題を解いていき、達成したら最大40XP(通常のレッスンが10XP+最大5XPのボーナスなので、時間に対し破格の効率)をゲットできるというものだが、短い時間で反射的に連続で問題を解く訓練になり、反射神経を鍛えるのは学習内容の定着にとって重要である。通常レッスンに制限時間がないのと比べて難度も上がるので、このモードだけでも繰り返すと英語の訓練にはなると思われる。

この増強チャレンジは、週始めは1分45秒で16問程度の問題を解くモード、最終日のみ突破すると徐々に獲得XPが上がり制限時間が短くなるモードに移行する。難易度としては週始めのモードの方が易しいので、上位リーグ(週の獲得XPによって所属する「リーグ」が上がっていく。スプラトゥーンの腕前的な)を目指す人は週頭に猛烈に増強チャレンジをすることになる...。

英語話者向けの豊富なコンテンツを楽しむ

さて、英語もいいけどいろいろな言語をつまみ食いできるのがDuolingoの重要な楽しみ方だと思う。今は日本語でも韓国語、中国語が学べてこれはこれで良いコースだが、英語話者向けコースを選択するとさらに増え、現在36言語のコースが利用できるらしい。

スペイン語、フランス語、ドイツ語などそもそもメジャーで人気のコースもあれば、ヘブライ語のような教材を探すのも難しそうなコース、さらにナバホ語やグアラニー語(これはスペイン語話者向けしかコースがないが)など少数話者の言語もある。果てはラテン語、あるいは高地ヴァリリア語のような架空の言語まで...。

Duolingoをやってみると、「とにかく続けるための障壁」を徹底的に下げる体験の設計になっていることがわかると思うけど、この体験設計が本当に効くのがゼロイチフェーズなので、ただの興味本位でぜひ一言語始めてほしい。そのプラス一言語があなたの人生観をほんの少し変えるのだ。

期待のaudio lesson

これは今後、日本語話者向け英語コースにくるのは先だと思うけど、個人的にめちゃくちゃやばいと感じたのがaudio lesson。

今のところ英語話者向けフランス語コースにしか実装されていないため、体験した日本語話者の人は多くはないと思うけど、すごくびっくりした。まるでフランス語会話教室にいるような体験ができる。

語学サービスは会話練習という要素があるため、とにかくスケールしない、スケールに苦労するというのが定説なんだけれど、アプリでの体験を練りに練ることで会話レッスンのような効果を生み出そうとしている(そして、こういう整え方をすると会話レッスンの追体験ができるのだなあと示している)これは意欲的なコースだと思われた。筆者がメインでやっているコースの一つ、英語話者向けスペイン語での実装も進んでいるとの噂なので非常に期待。

このaudio lessonの驚きは体験してみないとなんとも伝えられない... なのでフランス語始めましょう(?)。

筆者の体験した各コースの感想

以下、体験したコースについてつらつらと感想を残すので、気になったものは挑戦してみてほしい。

日本語話者向け韓国語コース

これは素直にお勧めできる気がする。筆者は英語話者向け韓国語コースを通しているけれど、結構単語学習のペースが厳しめだったため、それに比べ日本語話者向けのコースは学習勾配が調整されて無理なく進められる感じがする。

また、やっぱり言語の特徴として韓国語と日本語は近いので、英語を通さなくていいのは便利。例えば韓国語の指示語は日本語のいわゆる「こそあど」に対応しているのに、英語の場合Here/There/Over thereのように訳さざるを得なくてピンとこない、などなど...。

あと英語話者向けコースでは、たとえば김밥や불고기のような単語は、英語で対応する概念がないせいかGimbab、Bulgogiのような対訳がついてしまった。日本語ではなんてことない、「海苔巻き」と「焼肉」なのであるが。そういうことが減るのも良さそう。ただまあ、コースのコンテンツの多さは今でも英語話者向けが勝るので、日本語話者向けの進化に期待。

日本語話者向け/英語話者向け中国語コース

これは、少し前まで日本語話者向け中国語コースは本当にベータ版でコンテンツが少なかったのと、英語話者向け中国語にはTips(レッスンごとの簡単な発音、文法の解説)が実装されているので、英語話者向けの方が結局進めやすいかもしれない。英語話者向けはわりとよくできているし、一応発音問題もある。日本語話者向けも少し実装が進んだので、今ならそっちをまずやってからでもいいかも。

ただ中国語という言語の特徴上、どこかで会話教室に通うなどした方が、声調などをちゃんと身につけられるんじゃないかなあとは思う...。

これは中国語、韓国語、他の言語もそうなんだけど、基本的には副読コンテンツを探した方がいい。特に発音理論についてはあまり踏み込んでくれていないので。

ニューエクスプレス(プラス)シリーズなんかもいいし、おすすめは(ある言語なら)東京外語大の言語モジュール。中国語と韓国語については一通り眺めた方が効率がいいかも。

じゃあ会話教室や副読本でいいんじゃ...となるけど、Duolingoはとにかく毎日触れる障壁が低いという強みがあるということで。毎日触れられる効果は侮れない。

英語話者向けスペイン語コース

とりあえず英語以外どの言語でもいい、という人はスペイン語をやるといいと思う。話者数が多い(4.8億人程度)、発音が日本人にとってかなり楽(母音が5個しかなくて癖のある子音もない)、英語みたいに綴りとかけ離れた発音がない、など。いろいろな意味でモチベが続きやすい。

なによりDuolingoのスペイン語話者コースは、北米ユーザ向けの主力コンテンツの一つで、コースが長い(checkpoint 8まで。人によって9が出てるとか?)。Storiesもめちゃたくさんある。

正直韓国語や中国語コースは、全部通しても使えるレベルまではもう一踏ん張りが必要そうだけど、スペイン語に関してはDuolingoだけで日常会話は問題ないレベルまで到達できるのでは? と思われる。それくらいコンテンツがある。Duolingo自ら、CEFR B1レベルはいけると想定している(フランス語コースの回答だがスペイン語コースも同じ量のコンテンツがある)。

CEFRは馴染みがない人が多そうなので、英検との比較を置いておく。B1は大体英検3級の上位〜2級らしい。ふーんとなるかもしれないが、無料のアプリでそのレベルにいけてしまうかもしれないとなると驚きがある。

フランス語やドイツ語コースでも同様のレベルに到達できそうな肌感はあるが、スペイン語が総合的に一番コンテンツが多そうに見える。

(そして筆者自身が、checkpoint 3の真ん中までしか到達できておらず、CEFRなどと言っている場合でないのは悔しい ^^; とにかくレッスンが多い!)

英語話者向けフィンランド語コース

日本人はみんなムーミンで育って、毎日サウナに行っているので、みんな楽しめるコースだと思う。

「他言語を学ぶことで目から鱗が落ちる体験」をするにもぴったりかもしれない。フィンランド語の面白いところは:

・冠詞がない。
・国の呼び方が根本的に違う(Suomi、Ruotsi、Venäjä、どこでしょう?)
・I have... に相当する動詞がない

などなど。あと、(他のコースもそうだけど)食べ物の話題が多い。コーヒーとシナモロール、食器が恋しくなるコース。

このコースはベータ版なので、非常に短い。個人的にも物足りなく、もっと学びたい感がある。今後の発展に期待しつつニューエクスプレス プラス フィンランド語を買った。

ところでムーミンは実はスウェーデン語系フィンランド人トーベ・ヤンソンの作品ですが... ああ、スウェーデン語のコースももちろんありますよ!

スペイン語話者向け英語コース

Duolingoの立ち上げ時の目的の一つであるコンテンツ。checkpointは8まで実装。そしてStoriesの分量が半端ない。日本語話者向けの数倍はあるのでありがたい。Duolingoで英語をやるのなら、スペイン語話者向けコースが一番だと思う

...なので筆者はスペイン語コースから始めることにした(?)。

はい。これも一応進めているけど、例えば現在完了形の問題が出たとして、そもそも筆者はスペイン語の現在完了形を習得していない...という問題がある...。スペイン語と並列で頑張る他ない。

ただ、Storiesがめちゃくちゃたくさんあるのは本当に助かっていて、質問文を雰囲気で読みながらある程度高度な英語の読解/リスニング問題として活用している。以前は、後半の問題はまで進むと問題文含め全てが英語になり、汎用的英語コースとして楽しめたんだけれど、今はクラウン数で到達できるセットが制限されるので、簡単にはできないかもしれない...。

ちなみに、Duolingoにはスペイン語でしか学べない言語がいくつか存在する。なので前提スキルにスペイン語が存在するスキルツリーの先の存在となる。その言語は今のところグアラニ語カタルーニャ語。なので、パラグアイやボリビア、バルセロナに行きたい人はまずスペイン語から学習することに...ってスペイン語が話せれば十分かもしれないけど...。

その他

アラビア語のコースがあり、これは文字から学習できるが、しんどい。checkpoint 3近くでもまだ文字のレッスンが出てくるのでちょっと笑ってしまう...。

アラビア語はそもそも日本人に馴染みがない喉音が多く、音と文字のイメージがつきづらいのも辛い。いい副読本があればDuolingoも活用できるのかな?

またヘブライ語やロシア語のコースは文字学習のためのレッスンがなぜかなく、ハードコアになっている。文字だけ覚えて挑戦するしかない(キリル文字はともかくヘブライ文字は大変そうだが...)。

ちなみフィンランドとスウェーデンで思い出した。Duolingoで一番レッスンが多いコースはノルウェー語です(checkpoint 12!!)。

今後注目のコース

Duolingoにはincubatorという仕組みがあり、開発中のコースの進捗状況を確認できる。新作の入荷状況というわけだ。ちなみに、一部のコースを除きDuolingoのコースはボランティアのバイリンガルが開発している。したがってコースの多少の間違いなどは、報告して貢献する気持ちがあると幸せだと思う。(筆者はプログラマなので)オープンソースソフトウェアを使うときの気持ちになっている。

で、この中から筆者がベータ版リリースを注目しているものをピックアップする。

日本語話者向けフランス語コース

日本語話者向けコースは、Duolingoの日本本格進出に伴い強化されている。スペイン語でもドイツ語でもなくなぜかフランス語だが、日本語でも4言語学べるとなるともっとユーザの裾野が増えそう。

スペイン語話者向けユカテコ語コース

いきなりユカテコ語って何? ってなるとおもうけど、マヤ語族ユカテコ語のこと。そう、古代マヤ語の娘言語なのです...。

いや、それだけなんですが、マヤ語をアプリで学べるって熱くないですか? 同意していただいた皆さんは、今からスペイン語を練習して学習できるように準備していきましょう。あと、マヤ語族には放出音というすごい難しい発音があるそうです。楽しみ。

中国語話者向け広東語コース

ある日見てみたら突如出現し、完成間近らしいがどうなっているのだろう...。

ご存知香港、マカオでの公用語。「中国語族」といわれるように大陸やその周辺で使われている言語には幅があるそうで、いちど体験してみたい。

そして英語話者向けがない(イディッシュ語は面白そうだけどよく知らない。あとタミル語は気になるけど開発されるのかな...)。

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ちなみに、始めたばかりの頃にはてなダイヤリーでも記事を書いていた。

あと昨年はpodcastで、Duolingo友達のjkoremuraさんとのおしゃべりも配信していた。

Duolingo、面白そう!と思ったらこちらも読んだり聞いてみてください。

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Duolingo、今年は日本本格上陸とのことでコンテンツも拡充し、頑張っている。これを機会に語学を楽しんでね(Duo風)。

筆者にとって語学は100%趣味だし、とある知人が言っていたように学習に投資して経済的見返りが一番大きいのはどうしたって英語という厳然たる事実は認識している。でも、だからこそ基本無料でいろんな言語をつまみ食いできるDuolingoは興味深く、経済とかを置いといた純粋な知的好奇心を満たしてくれる。覚えたことがワンチャン何かの役に立って、人生を変えたらそれはそれだと思う。ある日、街の掲示板の下に書かれている丸や棒の文字の意味がわかったり、輸入した家電に書いてある英語じゃない説明書きが読めちゃったり、どこかの勉強会で出会った海外のエンジニアとその人の母国語で挨拶したり、それだけのことが人生を面白くすると思いませんか?

僕は、昔から日本人全員が日本語、英語、そして第3言語を知ることで日本が良くなると本気で思っている人なので、そこを突き抜けてくれそうなDuolingoを応援しています。

最後にもう一度: この記事は投げ銭はいいので、よろしければこの招待リンクからDuolingoに登録していただければ...。はい。

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