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長男と次男

 FESTAも終わり、そろそろまた次の盛り上がりが来そうな予感がしているけど、皆様、いかがお過ごしですか。グクとテヒョンのマンネコンビがアップを始めている気がしますが、その前に私は宣言通りSINについて語らなければならない。そうしないと自分が次に行けないんです。あー忙しい、忙しい。

 もう遥か昔の気分ですが、シュチタが素晴らしかったのでまずは貼っておきますね。

似てるのか似てないのか

 ジンくんとユンギは正反対なはずなのに、総合的に見ると似てるのがとても興味深い。共通点を挙げろと言われたら挙げられないんです。でも何かが確実に通じ合っている。2人が長くルームメイトとして過ごしているうちにこうなったのか、元々通じるものがあったからルームメイトとして過ごせていたのか。うーん、謎。大好きなコンビだから書いてみたいと言ってはみたものの、実はこの時点でノープラン。こんな調子で書き上がるのだろうか。

 まず言えるのは、バンタンは全メンバー絶妙なバランスで成り立っているけど、特にこの年長2人の配置は素晴らしいということ。こんなにタイプの違う2人が仮にあまり仲良くなかったら、グループはジンニョン派とユンギヒョン派に分かれて面倒臭いことになっていただろう。逆に2人が似すぎてて色々な意見が一致しすぎていたら雰囲気的に上2人に従わないといけなくなって色々とやりにくかったんじゃないだろうか(特にリーダーが)。

 シュチタでもルームシェアの秘訣について話していたけど、2人とも周りを見ているし、ちゃんと物申すけど、慣習にとらわれない、人に過干渉しないという共通点があるかも。「こうだといい」はあるけど「こうあるべき」はない、みたいな。部屋選びの時に年上2人が相部屋で小さいとこでいいやーとか言っちゃうほど仲良しでありながら、部屋を区切って、お互いの領域を侵さないって組織としてこの上なく最適解なのよ。小さな部署や中小企業なんかで置き換えてみても理想的。下がとても働きやすく生き生き育つ環境ですよね。

尊敬するクリエイター

 次に私がユンギとジンくんが確実に違うと思っている点から掘り下げてみようかな。

 ちょっと調子に乗らせてもらうと、私の感性はメンバーの中で一番ユンギに近いと思ってます。ダークで救いがあるようでないようであるような、厳しい現実を突きつけながらも希望的で、社会風刺も入っていて善悪の境界が曖昧な作品が大好き。単純に好きというより、自分が書いてみたい脚本・演出という意味で憧れる映画はクリストファー・ノーラン監督作品(インセプション・ダークナイトなどなど)と香港映画のインファナル・アフェア(覆面警官VS覆面マフィア)三部作。

 つまり、DaechwitaやHaeguem、AMIGDARAのMVはツボ中のツボなんですよ。更にD-Dayのライブをご覧になった方は分かると思いますが、合間に流れる映像や演出含めて、かなり花様年華のカラーが入っていましたよね。私は自己紹介でも述べている通り、バンタンにハマるより先に花様年華にハマったレアオタクです。花様年華はパンPDが主導してはいただろうけど、ユンギやナムさんの好みがかなり色濃く反映されていたんだなと再認識しました。振り返ってみると、花様年華に登場するユンギ=AgustDでも割と辻褄が合うようになってるんだわ、すごい。

 創作のために一時期心理学本なども読み漁っていたので、ユンギがエリザベス・キューブラー=ロスの著作をストーリーでシェアした時はテンション爆上がり。坂本龍一さんの楽曲も元々大好きで弾けるように練習したりしてた。

 バンタンを好きになったきっかけはひとつじゃないけど、Shadowのカムバは確実に私の中で大きな転機になりました。アイドルがこの歌詞を歌うの?!って大きく衝撃を受けたんです。

Please, don't let me shine(俺を輝かせないでくれ)
Don't let me down(俺を下に降ろさないでくれ)
Don't let me fly(俺を羽ばたかせないでくれ)

 じゃあ初めからミュージシャンになるなよって話なんですが、それも含めて本人が一番分かってるんですよね。多くの人に自分の作品を広めたいのに注目はされたくない。上に行きたいのに上に行くのが怖い。高いところから景色を見たいのに飛びたくない。この矛盾した葛藤を叫ぶユンギに一瞬で心を奪われました。
 あれから今回のソロ活動を経て、本格的にAgust DとSUGAの融合を果たしたユンギ。クリエイターとしてとても尊敬しています。

やっぱり貴方がいて良かった

 ここまで絶賛しておいてなんでユンギペンじゃないんだって言われそうだけど、ユンギの作風が好きすぎて、逆に「推しとファンの関係じゃないんです!」という変な拗らせ方をしているのかもしれない。もはや勝手に同志のような感情を抱いている気がする。

 ライブを観客席で見るのはなんだか悔しいと思っちゃうし、ファンミやヨントンに応募してみたいとも思わない。でも普通に好きな作品とかコンセプトの裏話とかなら飲みながら何時間でも話したい……あれ、なんか前にも書いた気がするけど、私って結局いつもナムさんのポジションになりたいのでは??

 以前【最年長とリーダー】という記事でも少し触れたけど、ユンギやナムさんを見ていると、クリエイター職に就いていた自分の若い頃と重なって心が騒ついてしまうことがありました。創作を仕事にする中で湧き出た不満を解消するために時間外で更に創作しようとするけど、仕事がうまく行くほど自分の時間がなくなっていき結局スランプになってプライベートも仕事も辛くなるという負のスパイラルが私にはリアルすぎた。

 私は業界から離れてそういう苦しみから解放された。まぁ逃げたとも言えるけど、私の場合はそもそも何かを作るのは好きだけど、それで注目されたりお金を稼いだりすることに興味がなかったのだからわざわざ仕事にすることもなかったのだ。特に後悔してないし、戻りたいとも思わない。好きを仕事にすれば幸せになれるわけではないという典型例が私である。でもバンタンを推してる身としては、2人の幸せを願いながら私と同じ結論に至ってしまったら困るというジレンマを常に抱えていた。

 でもこの2人ならきっと大丈夫と思える理由がジンくんの存在なのだ。だから私はジンペンなのだと思う。彼の方が優れてるとか言いたいのではなくて、私はどちらかというと彼らがジンくんをリスペクトしてるのに近い感覚なんだと思う。だってユンギもナムさんも結構なジンペンだよねw(バンタンはメンバー全員が全員のペンだけど)

 創作の過程で闇を覗きすぎて深淵に落ちそうになってる時に自分と違う感性で「俺は別にそう思わないけど?」と言って引き戻してくれる人。でも考えを否定するわけでもなく寄り添ってくれる人。しかも年上(なんだかんだで歳って重要)。そんな人が近くにいることがどれだけ2人の救いになり、創作を続ける力になってきたかを勝手に感じ取り、ジンくんの存在に感謝している。ジンくん本人はあまりそれを自覚していないだろうね。まぁ自覚してないからいいんですけど。

努力の天才

 以前「ジンくんはアーティストというよりエンターテイナー」と書いたことがあるけど、彼はアイディアマンだけど、元々自主的に0から1を創りたいと思うタイプではない気がする。だから一番フラットで大衆に近い目線だとも言える(これはメイプルストーリーの面接でも少し話していましたね)。クリエイターや表現者はどうしても作り手の目線に偏りがちだから。

 ジンくんはジンくんで、ダンスも歌も未経験というハンデだけでなく、こんなにクリエイティブな能力が必要とされるグループで他と感覚が違うことに焦りを感じ、「自分が何かを創りたくなるほど心を動かされるものって何?」という壁にぶち当たってかなり苦労しているように思う。そこからユンギに相談し、Abyssを作ることになったというエピソードがまた素晴らしい。見事な相乗効果。

 Chapter2では自己分析した末、手始めに自分が好きなゲームやお酒から始めてみたのだろうし、「結局僕はアミにしか興味がない(創作意欲がアミに対してしか湧かない)」という話をよくするのかもしれない。

 シュチタでジンくんが「僕は当時デビューしてはいけない人間だった」と話した時、まさにユンギの返しが私と同じすぎて、もはや私が言わせたのかと思った(そんなわけない)。

 好き嫌いがはっきりしている私からすると、ジンくんがなぜそこまで好きでもこだわりがあったわけでもないのに、こんなに険しい道に居続けることができたのか不思議でならない。「あまり何も考えないで言われたことをやってきただけだよー」って本人は誰でもできるかのように笑って言うけど、私なら絶対無理だけど?

 しかも普段は合理主義者であまり物事に執着しない感じなのにどうやって思い留まれたんだろう?「流されるままに」っていかにも楽そうに聞こえるけど、洪水並の濁流だからね。その流れに逆らわず、でも飲まれもせず、むしろ波乗りを覚えて楽しむことにしたんですよーってどんだけ能力高いのよ。しかも元々泳ぎは得意じゃありませんでしたと来たもんだ。マジでリスペクトですよ。

あれ、パンPDって…

 こういう話をしていくと、改めてスカウトされる前は歌も踊りも未経験だったジンくんをグループに入れてデビューさせようと思ったパンPDの目もすごいなと思うわけです。ジンくんのみならず、7人ともよくこんなバラバラな感じの人たちをひとつのチームにしようと思ったよね。

 HYBEに対して色々な意見があるのは承知の上で、私はやっぱりスタッフ贔屓なんですよ。だって、若いアーティストやクリエイターを消耗品感覚で扱うプロデューサーやらエラい大人たちやらを実際に目にしてきたことがあるから。少なくともパンPDはその類じゃない(と信じたい)。多分、いや絶対クセは強いと思うんですよ? ただちゃんと理念がある。少なくともクリエイターが幸せになれる構造改革をしようとしてるのが分かるから好感が持てます。

 私のパンPD好きを決定づけたのはソウル大学卒業式でのスピーチでした。

 今回記事を書くにあたって読み直してみたら、「流されただけ」とか「覚えていません」とか「夢がない」とか「目の前のことに最善を尽くす」とか結構ジンくんに通じるものがあるじゃないかと思ったんですよね。もしかしたら何か自分に似たものを感じたからパンPDもジンくんに一目置いてるのかもなぁと思ったり。

 真意は不明だけど、パンPDがジンくんの中に、歌と踊りの経験がなくても光る何かを感じ取ったからこそメンバーに残したのは間違いない。あれだけダンスの才能が光るジミンやホビが脱落するかもって危機感を募らせていたのに、ジンくんが危なかったってエピソード聞かないのも結構不思議だなと思って(表に出してないだけかもしれないけど、そういうのがあったら本人が真っ先にネタにしそうだけど言わないよなと)。

 上で述べた卒業式のスピーチに以下の部分があります。

 私は革命家ではありません。 ただし、音楽産業の不合理、不条理について私は見逃せません。 そっぽを向いて安住して妥協するのは、私の生き方ではありません。 遠大な夢があったり、未来への大きな青写真があるからではありません。 それが今私の目の前にあって、私はそれが不当だと感じるからです。

 これに関して言うと、シュチタで2018年のMAMAのスピーチの話が出て、ジンくんが休みが1日半しかなかったって状況に怒ったんだという話が出てましたね。

 こういうのって業界問わず、ベンチャー企業によくありがちな状況だと思う。「今が踏ん張り時だから皆で頑張ろうぜー!おー!」って空気になって休み返上とか予算度外視してやりすぎちゃう。薄給でも力を合わせて良いものを作ればいつか報われるって空気になっちゃったりする。その中で怒ったジンくんは素晴らしく真っ当。仕事がどんなに好きでも音楽がどんなに好きでも人間として休みは絶対必要。怠け者の発想じゃない。

 そしてその直後、彼らは1か月の長期休暇に入りましたね。私はこの当時はまだほんのりチェックしていただけだったけど、この稼ぎ時に1ヶ月丸々休むと聞いて事務所の好感度が上がったのを覚えています。まぁそうなる前にもっと計画的に休ませろよって話だけど、普通はアーティストが文句言ったからって休み取らせないもん。むしろそんな意見すら言わせないもん。「甘えんな」ってキレられて発言を闇に葬られる。そういう主従関係じゃないんだなと思って、この事務所には今後期待していきたいと思ったんです。

 パンPDがこのインタビューで「ワークライフバランスじゃなくて、ワークライフハーモニーを目指したい」って言っていました。

 大事なことですよね。日本のクリエイターも直面してる問題だと思うんですけど、無駄に忙しすぎると、それ以外の分野の人と交流したり、遊んだり、勉強することができなくなる。結局狭い人間関係を築いて物を作るから、人間的に豊かになれず、表現の幅も狭まるし、どれも似たコンセプトの新鮮味のないものになる。ナムさんが会食動画で嘆いていたのも結局そういうことだと思います。

 昔私が休み返上で働いてた時期に、とあるアメリカ人の現地スタッフに「今日は5時で終わらせてくださいよ。僕7時からバーでサックス演奏するんで。なんなら見に来ます?」と言われて衝撃を受けたことがあります。でも本来はそういうゆとりがあった方が絶対良いアイディアが降ってくるはずなんですよね。社会全体がもっとゆとりを作っていかないと、忙しいのになぜかクオリティが落ちていく。これはエンタメ業界に限ったことじゃないと思うので、働き方改革は本当に今後の課題だと思います。

………あれ?SINの話してたのに、いつの間にかパンPDの話になって、働き方改革の話になったな???
 こういう風に好き勝手書いて結論が明後日の方向に行きがちだから、やっぱり私は書くのを仕事にしてはいけないんだろうなw

 皆さんが期待してくれてた通りにSINのことをうまく書き切れたかよく分からないけど、とりあえず言いたいことは言えたのでここで終わっておきます。

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