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遺言執行者とは⁈〜遺言執行の手続きの難しさ〜遺言執行者はつらいよ

 ご自身で公証役場に行かれて、公証人と相談しながら公正証書遺言を作成したとします。この場合でしたらば通常、遺言者や相続人の方の戸籍関係を確認します。
しかしながら自筆証書遺言を書いた場合、ご自身の推定相続人は誰なのか、隈なく確認せずに書いてしまうケースもあるようです。

ここまで書いて、⁈⁇と疑問に思われた方もいらっしゃるでしょうか。
配偶者と子供がいる方は「何も確認する必要は無いだろう」と思われるでしょう。
そう予め、推定相続人の特定が必要な方は、「子供のいない方」や「独身の方」でもう既に親が亡くなられている場合、つまり第三順位の兄弟姉妹や代襲の甥姪が該当するケースです。

遺言者Aさんが、自筆証書遺言で「金融資産を、亡兄の子たちに金三百万円を均等の割合で、亡長姉の子たちに金二百万円を均等の割合で、亡二姉の子たちに金三百万円を均等の割合で相続させる。」と書いた場合、これはこれで有効だと思います。この場合、遺言者は、「亡くなったきょうだいたちには、確か〇人ずつ子供がいて、そうするとみんなが仲良くできるように頭割りすると壱百万円ずつ渡せそうかなと想定して書いたとします。そして遺言執行者として金融機関に勤務している(事務に詳しいと想定し)亡兄の子:甥のAさんを指定したとします。

果たして、Aさんが亡くなった場合に、甥のBさん(亡兄の子)が遺言執行者として、戸籍関係を取得してみたところ、なんと亡長姉には子が三人いた、亡二姉の子供は一人だったといったことが判明!(最近は甥っ子、姪っ子さんとの交流はあまりないケースも多く、勘違いしてしまうことも多いでしょう)
しかしながらこれはこれで、遺言書の記載通り、それぞれの金額を頭割りすれば問題はありません。(亡ニ姉の子には三百万円が相続されることになります)ただし甥Aさんが他の相続人たちに連絡をとってみて、分割がこういう金額になると伝えた場合、遺言者の本当の希望とは変わり、各甥姪に均等額が渡せない状況なのです。また甥Bさんが他の相続人の甥姪さんたちから、甥Bさんが、この分割内容を亡Aさんにそそのかしたのではないか、とあらぬ疑いまでかけられてしまいます。

お父さんのお土産の焼鳥、串3本を4人の子で分けて食べようとすると難しい💦


遺言書の記載内容に忠実に執行を行えばよいのですが、甥Bさんも気まずい感情が湧いてきて、なんだか後味が悪い、、、。

そう、それだけ自筆証書遺言(執行含み)は難しいのです、たとえ法律文書として間違えが無かったとしても、執行面で想定外の事態に遭遇するケースもあるのです。
この想定外の事態について、次回以降もケースをあげて書いていきたいと思います。

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