さよなら

なんと15年も使い続けた財布ととうとうおさらばした。
謎にサプライズ好きな夫が新しいのを買ってくれたのだ。

あまりにボロくて、
元の色を思い出せないくらい黒光りしていて、
もはや自分の皮膚と同化していた。
だから買い直すもなにも、
替わりのものが欲しいという発想がなかった。
未練とか、情ではない。
皮膚だから。

でも終わりが来た。
急に来た。
突然にフワちゃんみたいなギャル財布がやって来た。

ギャル財布にカードやお札を移していくわくわく。ほくほく。
「やば〜い、めっちゃお金流れ込んできちゃうかも〜」
フワちゃん憑依。

そして空っぽになった「旧」財布に目をやったら、
便所サンダルを超えて、腐ったぬれせんべいのようだった。
みすぼらしくて、よれよれで、見てられない。

とはいえ、
さすがに生ゴミで捨てる気にはなれないし…
七輪で焼こうか…
それとも土に埋めるか…

とりあえず最後にきれいにして棺桶にいれる。
おつかれさまでした。

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