見出し画像

【お天気コラム】線状降水帯

こんにちは ウエノです。

毎週月曜日更新のお天気コラム。

まずは、先週の天気を振り返ってみましょう。

1.先週の天気 〜九州南部で大雨〜

先週は九州南部が記録的な大雨に見舞われました。

鹿児島市の7月3日の雨量は375ミリで、1ヵ月の平均降水量に匹敵する量の雨がたった1日で降りました。鹿児島県では、この大雨で土砂崩れが発生し、2名の方が亡くなられています。また、5日には熊本で発掘作業中の工事現場で土砂崩れが発生し1名が亡くなられてます。大雨との因果関係は発表されていませんが、大雨の後は地盤が緩んでいるので雨が止んだ後でも警戒が必要です。

2.今週の天気 〜梅雨の合間〜

梅雨前線は九州の南海上に停滞してますが、水曜日頃から低気圧を伴って北上をしてきそうです。梅雨前線の動きによっては再び大雨になる可能性があるので、注意が必要です。

3.お天気コラム 〜線状降水帯〜

一昨年の朝倉市、昨年の中四国地方、そして先週の九州南部で発生した豪雨は、いずれも線状降水帯と呼ばれている現象が引き起こしたものです。

線状降水帯とは

次々と発生する発達した雨雲(積乱雲)が列をなした、組織化した積乱雲群によって、数時間にわたってほぼ同じ場所を通過または停滞することで作り出される、線上に伸びる長さ50~300km程度、幅20~50km程度の強い降水を伴う雨域。(気象庁 雨に関する用語)

今回の豪雨も線状降水帯が鹿児島から宮﨑南部にかけて発生し、大雨を降らせました。

豪雨をもたらす積乱雲は、短時間で激しい雨を降らせますが、寿命が短く累積雨量は災害をもたらすレベルまでは至らないものの、線状降水帯が発生すると、積乱雲の後ろから常に暖かく湿った空気が供給されて、積乱雲が次から次へと発生し、非常に狭い地域でまとまった雨を降らせます。

線状降水帯の発生による大雨の予測は非常に難しく、現在はせいぜい九州地方全域で大雨になる可能性が高いぐらいの精度でしか予測ができません。

先週も、前日までに「50年に一度の大雨の可能性」の時に発表される大雨特別警報が出されていました。気象庁の会見では「『自らの命は自らが守る』という意識をもって早めの避難を行って頂きたいのでこの会見を行います」と、異例の呼びかけが行われました。

幸いにも、232名もの死者行方不明者を出した、昨年の西日本豪雨と比較すれば、今回は被害が少なくてすみましたが、あと1時間豪雨が続いていたら、被害はもっと拡大していた可能性があります。

今年は太平洋高気圧の勢力が平年より弱く、梅雨前線が日本付近に停滞しやすい気圧配置になっています。この太平洋高気圧のふちを回って、湿った空気が南から日本付近へ流れ込みやすい状態であるため、これから梅雨明けまで、再び大雨が降る可能性があります。

お住まいの地域に「大雨特別警報」が発表された時は、発表される気象情報に注意して、いつでも避難できる準備をしておいてください。

自らの命は自らが守る

決して他人事ではありません。


「スキ」で応援いただくと毎日の励みになります。