2019SS Paris & NY COLLECTIONの感想

2019SSのRTWコレクションが一区切りした。みなさまお疲れ様です!
僕は数年ぶりに真剣にオンタイムで動向を追ってみました。感想としては「うん、やっぱりモードっていいよね!」っていう(語彙力のなさ)。
一方で食傷感は否めなくて・・・。デザイナーへの負担、環境負荷のことを配慮すると、大掛かりなコレクションはオリンピックと同じ、4年に一度くらいのスパンでいいのかもしれないね。


まずVOGUEのパリコレTOP10にRick Owens師匠が選出されていることを言祝ぎたい。ゴツゴツ&ヒョロヒョロ、叶愚呂兄弟をデフォルメしたような服ばかりだったので心配して見守っていましたが、識者はセクシーだと高評価。やったぜ!

わかる奴にはわかる、それがRick Owens。彼の凄みを理解できてはじめて真のモード体験が始まると言っても過言ではない。
MIDWEST様が非常に丁寧に2018FW商品の解説をしているので紹介しておきます。独自の素材調合?が作り出す気品と優雅さを纏った、1mm単位にまでこだわっている?ことで生まれる立体感、空気感そしてシルエットが圧巻の?珠玉の一枚となっております。是非この機会にお買い求めくださいませ。お支払いにはMIDWEST CORE CARDがオススメでございます。かしこ。



Demna Gvasaliaに操られ、ハイパーレイヤードを量産してきたBalenciagaがついにシンプルに変化!っていうか、ほぼ90年代のおまるたんじゃねーか!!っていうコレクション。アイテムもカラーもシルエットもアノ頃のアレに似ていて「アァ〜!アノ頃がよかったんじゃ〜!!」とアラフォー、丑三つ時に思わず失禁。ひとしきりコラボという名のパロディを楽しんだ総仕上げとして、非公式海賊版をブッ込むという荒技。シビれます。

おまるたん軸とは別に、彼が「ネオ・テーラリング」を打ち出したのは注目したい。その筋の人が聞いたらゲバルト即確定案件だが、つまりは「適当に着てもめちゃかっこええねん!ハイテクやねん!若い衆はぜひ買うてくれやで!!」ってことらしい。あれだけフーディー売ってからの熱い手のひら返し。



コンフォートなスーチングというところでは、Louis Vuittonのショーに登場したレディースとメンズのペアルックが気になった。襟と肩の作り、フロントジップ、ヴィヴィットカラーのカジュアル合わせ。Nicolas Ghesquiere、半端ないって。
ブランドアイコンもあり、キャッチーなものもあり、ジェスキエールなものもあり。総合力&完成度が非常に高く、パリコレ選手権準優勝。




ヴェトモンと同じくCommes des Garconsも大転換。なんと!5年ぶりに服を作った!!残念ながらTOP10入りしていないが、昨今のモードへの態度を表明する、象徴的なコレクションだったのではないだろうか。

川久保女史曰く、新しい物を作り続けることは難しく、原点回帰(パンク)的な位置づけの模様。裂け目や鎖はギャルソンの定型表現。一層パーソナルなところから産み落とされたのだろうと想像したくなる、妊婦姿を模したような例のコブ。



パーソナルなイメージとマーケットの関心との合致という意味では、Stella McCartneyは外せない。彼女が一貫して提案するエシカル志向、コンフォータブルな女性像の探求は、モード/マスを問わず今後一層進むだろう。

今回は強く印象に残る服っていうのは正直少なかった。Keringグループからの独立後はじめてのショー。「パパは独立後に日本でパクられたけど、あたしはダイジョーブョ♡」というメッセージやね、と。


同じく軽やかな身体をテーマにした、ステラと類似したカラートーンで揃えたChristian Diorと対比すると、パリの伝統的なナオン観が逆に透けて見えて面白い。Maria Grazia Chiuriのデザインは解毒したMiucca Pradaみたい。
無垢な気持ちで「モードって最高よね♡」と言えるブランドが減少気味なので、ひと際安心感がある。
Louis Vuittonはストリートの側に移行済みなので、Diorはコンサバでスマートな女性の避難場所としてLVMHのポートフォリオに位置づけられているのだろう。



エッ、CELINEの位置づけ?もちろん僕達アラフォー限界オタクをフゴフゴ搾取するのが究極目標でしょう・・・!
「フィービーじゃない!」「女性を軽視してる!」など、いろいろな意見が飛び交っていますがお話になりません。それでもプロなのか?と小一時間説教したくなるよ。よく調教されたHedi豚の反応はこちら。invitationとseason photoがローンチされた時点でお察し。コレクションは最初と最後の3体ずつしか見ません。なぜか?全部同じだからです。心の目で見るんです。


僕がtwitter見てる限りでは若年層の反応が現状乏しく、グループの目論見通りの成長の形になるかは不透明なのかな、と。
ちなみに日本のGeneration Zのハートを釘付け♡ 話題沸騰中のガールクラッシュグループ♡ BLACKPINKのLiSAも早速例のブツをお持ちの模様。


コンフォート、ジェンダー、更に人種という「正しい」キーワードに注目するなら、LVのメンズ担当、Virgil AblohによるOFF-WHITEは必見!なんだけど、正直彼の凄さが未だによくわからない・・・。

ブランドのコンセプトは“Making a new aesthetic by crashing two things together that are not related.” (関係のない二つの物事をぶつけて、新しい美を創造する)。

とはいえ、大胆なコントラストを同じく披露したRAF SIMONSのCALVIN KLEINと比較すると全体的に平凡に見える。ラフの十八番、ツイーディーなボックスシルエットのジャケット×ネオプレンのハーフパンツのような一撃必殺、戸愚呂(兄)で言えば武態がない。
John GallianoのMaison Margielaのような引用に込められた知的な諧謔も、セクシャリティーへの言及も見当たらない。アウトドアとエレガンスを掛け合わせたDries Van Notenと並べて見ると、ヴァージルの造形の引き出しのなさ、素材セレクトの狭さが目につく。
何より彼のコレクションは、ルックで見ても、ひとつながりのコレクションで見ても、調和を欠いているように思う。もしかしたらこのフラットでフラクタルなムードが今っぽいのかな、と最大限好意的な解釈をしてみたものの・・・。
実際、どうなんでしょう??その筋に詳しい方にお伺いしたい。


「パーソナルへの回帰」をいち早く見抜いたのはAnna Wintour大明神。慧眼すぎる。CFDA賞候補にノミネートされた若手ブランド、Pyer Moss、Telfar、Vequeraは要注目とのこと。

Ralph Lauren直伝の「自らの信念とヴィジョンを信頼する」というアメリカン・スピリットを引き継ぎながら、前向きでエネルギッシュなファッションを提案するという姿勢が彼らの共通項。ネクスト・ヴァージルというところで、若干層の薄いNYコレクションを牽引するかもしれない。

特に興味深かったのはKerby Jean-RaymondによるPyer Moss。あまりに政治的に偏ると表現の幅が狭くなりかねないっていう、よくない意味での発見があった。

今回は「差別の歴史が存在しなかった場合の、黒人の普通の生活」がインスピレーション源。アフリカ系アメリカ人がアメリカ史上はじめて自由な黒人コミュニティを形成したWeeksville地区でショーを開催するというガチっぷり。
一方で発表したコレクションそのものは収まりのよい、お利口な感じで。「ボクシングやってたヤンキーの先輩、FUBU好きだったな〜」っていう印象しか残らなかった。Derrick Adamsによる黒人の父親と子の日常風景を描いたモチーフをジャカード?プリント?で表現したワンピをベストルックとしてVOGUEが選んでいるのだけど、うーん、ランウェイで発表するファッションとしてどうなの?っていう素朴な疑問。



アメリカのポリティカル・コレクトネスへの意識の高さは世界有数だ。モード界でも目下行なわれているジェンダーの問い直し作業は、アメリカ発祥のMe too運動がきっかけ。で、そういった政治意識が高い=解釈や表現のアプローチが豊富、にはならないのがファッションの(表現メディアの)不思議で、面白いところ。

伝統的な女性観が根強いパリの方が、バラエティーに富んだ女性像を提出している。上に挙げたブランドはPyer Mossのような重々しさはないけれど、アイデンティティを偽らない、魅力的で生き生きとした、現代的な女性像を描き出している。

「アトリエの差かな?」とも考えたが、Thom Browneの超絶技巧を惜しみなく無駄遣いするショー(通称T-1グランプリ)がある以上、技術論だけでは片付けられないよね、と。NYはマーケティング重視と言われように、今後もジェンダー、人種の表現は意外と控えめ→先鋭的なデザイナーがパリ進出、という流れになるのかもしれない。

それにしてもトム・ブラウンである。なんだろう、X JAPANと同じノリだよね。無観客ライブでも「We areeeeeeeeeee!!!!!!」ってとりあえず叫ばなきゃいけない。とにかくネタに走らなきゃいけない。形式の呪い。予算が厳しくてショーを泣く泣く取りやめるブランドがある中、破滅に向かって突き進むトム。
そのうち「カレーが辛い」的な理不尽なブチ切れが引き金になり、モード界から突然引退するんじゃないだろうかと少し心配している。インタビューから伝わってくる人柄がよすぎるから、なおさら心配である。



僕的パリコレ選手権優勝はCHANEL!
とにかく見ていて気持ちいい。気持ちいいという言葉しか出てこない。結局モードは金なんや!モードは歴史なんや!!
今回はビーチを造作するという規模の大きさ。わけがわからないよ。手すりがあるから通常は女子供を杖代わりに使って会場を移動するカール大帝も一安心です。



この記事が気に入ったら、サポートをしてみませんか?気軽にクリエイターを支援できます。

12

#ファッション 記事まとめ

ファッションデザイナーやブランド、サービスについての考察、コラムなどをまとめていきます。 無料部分でも十分記事が読める有料記事、読み物として面白い宣伝記事は、入れていきます。
コメントを投稿するには、 ログイン または 会員登録 をする必要があります。