AI・IoT時代の会計学

 オズボーン・フライ氏による論文(というかワーキングペーパー)と野村総合研究所との共同研究による出された報告書により会計の職は将来、AIに置き換わる、ということがまことしやかに言われています。

彼らのレポートはオックスフォード大学を代表するものでも、Aジャーナルに掲載されたものでもないのに、いつの間にか、オックスフォード大学によると・・・と置き換わっているのが怖い(笑)

もとのなる論文はこちらから入手できます。

こちらは野村総合研究所との共同研究結果についてのものです。

AI・IoTの発展によって会計士、会計に携わる人たちの業務の在り方は変化していくということが正しいのであって、なくなる、という表現は適切ではないと思います。

ともあれ、 AI・IoT時代の会計学を提言するとすれば何が言えるのか、を考えていこうと思います。様々なことが思い浮かんできますが、一言で言えば、「人の判断」の重要性、そして、その判断を行う上での人間的な素養を培うことの重要性だと考えます。

膨大な事務作業が機械化されたから、といって実際の業務が減るとは限りません。むしろ、判断に費やす時間がより多くなると推察されます。例えば、ビッグデータにより解析されたデータに基づき、判断の選択肢が用意されたとしても、それをどういった基準で『選択』すればよいのでしょうか。
 機械(AI)は判断の責任を負えない。あくまでも人が判断の責任を負わなければなりません。その判断は何を基準におこなえばよいのでしょうか。判断の基準となる指針も重要になってくると思います。また判断を行う上での組織としての考え方を理念という形で統一する必要もあると思います。しかし、最終的には、自分自身としての判断基準を持ち、決断しなければなりません。

そしてその決断に責任を持たなければなりません。これは、我々、日本人が最も苦手なことかもしれません。これまでの人生において、教師、親、友人など、「誰か」の判断に身を委ねてきた記憶はないでしょうか。膨大な情報を処理できるようになり、選択肢の質が向上すればするほど、『判断』の必要性がむき出しになるように浮かび上がってきます。

判断を行うための素養は、マニュアルではなく、倫理観、道徳観も問われます。AI・IoT時代の会計にはこの素養をどう培っていくのかを真剣に議論しなければならないと感じています。

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?