第1話 カッコいいヒーローよりブサイクなぬいぐるみが好きな男の子

兵庫県高砂市という都会とは言えない
家の周りは田んぼだらけの田舎町に
産まれ育ったその男の子は
今日も2つずつ離れた弟たち2人と遊んでいた。


男の子「今日もゴハンは
キャットフードかニャン!
もっと豪華な飯をだせニャ!」

次男「僕なんてドッグフードだワン!
僕だって肉とか食べたいワン!」

男の子「お前はドッグフードでいいワン!」

次男「うっさい!ブサイク猫のクセに!」

三男「ばぁぁあぁぁっ!」

まだ言葉を喋れない三男を尻目に
2人は猫のブサイクなぬいぐるみと
可愛い犬のぬいぐるみの手足を
グイグイ引っ張り、動かしながら
遊んでいる。

その“猫のぬいぐるみ”がどれくらい
ブサイクかというと、
このnoteのサムネイルに使っている
画像のぬいぐるみと瓜二つだ。

この画像は僕が岩手に住んでいた頃に
盛岡駅ちかくの商店街で見かけて
幼少の頃に遊んでいた猫のぬいぐるみに
あまりにソックリだったので
思わず写真を撮ったものだ。

母親に聞いたところによると
まだ男の子がもっと小さく
鼻水を垂らしまくって鼻の下を
カピカピにしていたくらいの頃、

親戚のオジサンの車に
乗せてもらった時に
「これほしいぃーーーー!!」

と駄々をこねて頂いたものらしい。

実はもっと可愛い犬やウサギのぬいぐるみも
あったらしいのだが
なぜか男の子はそのブサイクな猫が
どうしても手中に収めたくなったらしい。
(実は親戚のオジサンもブサイクな猫が
一番お気に入りだったらしく
男の子にあげる事をしばらく渋って
いたのだとか…)

1番の古株ぬいぐるみなだけあって
犬のぬいぐるみは可愛くて毛並みも綺麗なのに
ブサイクな猫のぬいぐるみは
所々ハゲていて毛並みも汚い。

その上毎日めちゃくちゃな力加減で
引っ張られたりするので
たまったもんじゃない。

両親はカッコいい特撮ヒーローのロボットや
仮面ライダーのフィギュアとか
なんでそういうのを欲しがらないんだろう?

と不思議に思っていたという。

そりゃ男の子だから
特撮ヒーローの合体ロボとか
世代的にはポケモンとかデジモンとか
ミニ四駆なんかで遊びたい時もあった。

でもそういうのは子供ながらに
高くて日常的に買ってもらえるものではないと
わかっていたし
せっかくクリスマスとかにサンタさんが
届けてくれたとしても

一時的には夢中になるが
すぐに飽きてしまっていた。

結局
自分の好きなように動かせて
自分の好きな事喋らせて
眠くなったらそのフワフワした体を抱っこ
しながら眠るのが男の子にとっては
一番心地よかったのだ。

男の子はずーーーーっと
そのブサイクな猫と犬のぬいぐるみで
兄弟と遊んでいた。

時にはドラゴンボールにハマり
犬と猫を戦わせたこともあった。

その戦いにどっちが勝ったのか
兄弟でケンカになることもあったし

家の押入れの中の一番下の引き出しは
「精神と時の部屋」と呼ばれるようになり、
戦いに負けたあとは強くする為に
ブサイクな猫を精神と時の部屋に
押し込んでいた。

もちろんスーパーサイヤ人にもなる。


ところが男の子が小学校高学年にもなると
スーパーサイヤ人になりすぎて
元々年期の入っていたブサイクな猫は
さらにくたびれてしまった。

毎日一緒に寝すぎて毛が抜けてハゲは増え、
強烈なパンチを繰り出し続けたせいで
脇は破れ、
首の後ろからは致死量の綿が飛び出ていた。

オカンに泣きついた

「ニャンちゃんが死んでまう!」

今思えば「死んでまう!」という言葉には
ぬいぐるみながらも
ブサイクながらも
その猫に命を感じていたのだろう。

あまりに泣きじゃくるので
オカンは裁縫セットを取り出し

ブサイクな猫の首と脇を治療してくれた。

ただオカンの腕では
ハゲまでは治せなかったようだ。

それでもいい。
男の子はブサイクな猫が元気になってくれた
ことを喜んだ。
弟も一緒に喜んでくれた。

その日男の子は猫に誓った。

「もう戦わせたりせーへんからな…」

それ以降
動かしたり喋らせたりはするものの
男の子はとても優しく猫を扱うようになった。

中学生になると
一緒に遊ぶことは無くなったものの
いつも枕元にいてくれた。

そして、
高校生になったある日

ブサイクな猫と仲間たちは
精神と時の部屋とは違う
押入れの中のダンボール箱にしまわれた。





次回
【進路に悩む男の子とブサイクな猫】


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