孤独なふりした世界でC

『孤独なふりした世界で』粛々と、孤独に生きるP・ディンクレイジ×エル・ファニングのディストピア 公開中

ピーター・ディンクレイジ、あるいは「ゲーム・オブ・スローンズ」(GoT)のティリオン・ラニスターと聞いて、どれだけの人が「むむっ」と反応してくれるでしょうか。現在、同作の最終章が世界同時にスタートしています(宣伝)。

そんな彼と、エル・ファニングという大好きな2人で描かれるディストピアは、終盤にある変化球が投げこまれ、いっそうクセが強くなっております。

原題:I Think We’re Alone Now ★★★★☆

↓「未体験ゾーンの映画たち2019」として公開。青山シアターにてオンラインでも配信中です。

https://aoyama-theater.jp/feature/mitaiken2019

我らがピーター・ディンクレイジ主演のディストピア。なぜか、彼が演じる主人公デル以外の人々が突然死してしまった世界が舞台。彼はたったひとりで、町中にある死体を弔い、空き家を整理していく作業を粛々と続けています。

デルは地球が“普通”だった時から、孤独に慣れっこ。いえむしろ、群衆の中にいる時のほうが孤独をより強く感じてきたのです。


そんな中、彼の静寂と秩序を破る闖入者として、底抜けに明るい少女グレースがやってきます。自分以外にも「生きている人がいた!」と歓喜するグレース。

その終末世界に突然舞い降りた最後の天使のような少女をエル・ファニングが演じていますが、どうやら事情があるようで…。


デルの営み、思いには共感できるところがあります。人混みや、むしろ家族の中にいるほうが増幅される孤独感。それこそ「ゲーム・オブ・スローンズ」のティリオンのような、『ボヘミアン・ラプソディ』でも描かれたフレディのような感覚。


「ハンドメイズ・テイル/侍女の物語」の数エピソードでもメガホンをとったリード・モラーノだけに、随所随所でかなり、ぽい。

人っ子ひとりいない路地がずっと続いていくさまを、ピーターの背中から見つめる描写は、より孤独なふりした世界を際立たせています。


しかし、そんな2人にさらに創造もしていなかった展開が、待ち受けます。これはまた予想外で、そう来るのか、という形。

確かに、途方もない喪失感の中、自らが生き抜くためにそう考える人々が出てきても全くおかしくはないでしょう。

ただ、その点で好き嫌いが分かれそうではありますが、私には好物の部類でした。

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