見出し画像

『フロントランナー』“紳士”ヒュー・ジャックマンが演じるギャップの妙 公開中

ヒュー・ジャックマンが演じた大統領選の最有力候補は、言語明瞭だが、真実は不明瞭、逃げ口上ばかりのかつてない役。

ジェイソン・ライトマン監督らしく、政治劇でも軽妙に物語が進みます。

原題:The Front Runner ★★★☆☆

あらすじはチラシ上部にてほぼ説明されておりますが、そういうことです。

結果、めちゃくちゃモヤモヤしたままに。



だから、あれほどヴェラ・ファーミガを怒らせるなと。彼女演じる妻の怒りに共感至極。

天才作家でも政治家でも、内助の功ってなんなんでしょうね、“糟糠の妻”という言葉、私も好きではありません。

そう今回のヒューさまは、清廉潔白な、フェミニストの紳士…に見えて実はそうではなかった人。さらにいえば、次期大統領選のフロントランナー。

ちらっと出向いた選挙キャンペーンで、現地のイベントに軽やかに登場するや、さらっと“みんなが望み、期待すること”をやってのけ、喝采を浴びてしまうような人。

俺は山男だ、出馬表明もレッドロックマウンテンでやるんだ、と思いつくような人。

しかし

ゲイリー・ハートのこのスキャンダルは、アメリカの報道や政治を大きく揺り動かすことになります。

そんなヒューさまには、やはり違和感ありあり。彼の確固としたパブリックイメージがあるからこそ、この役を演じているおもしろさがあると言えます。

『グレイテスト・ショーマン』のモデル、P.T.バーナムも実際は相当うさんくさい人だったようですし。


ジェイソン・ライトマン監督×「ハウス・オブ・カード」のジェイ・カーソンらしく軽妙に事が進み、わいのわいの当時人物が多いですが、どこの陣営の人物か把握していればそれほど混乱しないのでは。

選挙陣営、ワシントン・ポスト、マイアミ・ヘラルド…。

『ペンタゴン・ペーパーズ』でトム・ハンクスが演じたポスト紙のベン・ブラッドリーはアルフレッド・モリーナが演じています。


「裏切ったのはマスコミか、国民か、それとも彼自身か」 とありますが、

何の権力もない(しかもモデルの)女性は、そのすべての餌食に。それって今と少しも変わっていないと思いませんか。彼女の尊厳の回復は?


この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?